一番見落とされがちなのが手前の歯の根尖病巣です。
抜歯後の膿汁

日付、時間:2004年1月14日 13:32  氏名:  親知らず2回目  
所在都道府県: 熊本    職 業:  学生  年 齢: 32歳      性別: male 

抜歯後の膿汁 質問:
 左下顎第3大臼歯を昨年の12月中旬に抜歯した者です。
抜歯後,抗生剤と鎮痛剤を内服していましたが,術後1週ほどで膿汁が出現し,受け持ち 医には「ドライソケットぽいですね。」と言われ,抗生剤の変更がありました。その後, 疼痛,腫張も軽減し,年明けの再診時には経過良好で治療終了と言われました。
 ところが,1/11頃より抜歯部が疼き出し,1/13には腫張と局所熱感が出現し,腫張部に 圧を加えると抜歯窩より膿汁らしきものが漏出してきました。これからまた受診する予定 ですが,やはり化膿でしょうか?
もしかした骨髄炎ではないかと心配なのですが?

回答  骨髄炎という病名には、手足を切断するような怖いイメージがあるせいか、歯科領域では、 骨髄炎という言葉はあまり使いませんが結構日常茶飯事です。ドライソケ ット骨髄炎症ですし、根尖病巣なんかも骨髄炎です。「ドライソケットぽいですね。」 と言われた時点ですでに骨髄炎だったわけですが、通常は抗生物質投与や抗生物質軟膏の 注入により容易に治癒します。
 下顎埋伏智歯抜歯後合併症の発生率は574例中8.89%であった。そのうちドライ・ソケット は5.57%、治癒遅延症例は1.57%、抜歯後感染は0.87%、下口唇麻痺は0.35%、抜歯後出血 は0.17%、その他は0.35%であった(日口外誌、38、1163-1166, 1992. )。と統計されてい るように治癒遅延症例も決して珍しい方ではありません。原因として一番見落とされがちな のが手前の歯の根尖病巣です。無論レントゲン的に明らかな像がある場合には見落とすこと もないと思いますが、慎重に疑ってみる価値はあると思います。抗生物質軟膏の注入などを 試みる一方で、手前の歯を疑いの目で見直してみられてはいかがでしょうか。


返信:2004年1月19日 17:14
 早々の御返事ありがとうございました。
結局、1/14(水), 16(金), 19(月)と瘻孔部よりイソジン生食での洗浄を行い、抗生剤内服と なりました。主治医の先生の話では、抜歯窩のドライソケット部肉牙が思った以上に早く盛 りあがり、感染部を覆ってしまったために膿瘍を作ってしまったとのことで、現在の状態は 歯肉頬部膿瘍ということでした。明日の状態を診て、切開、排膿、掻爬、洗浄するか決める そうです。切開してでも早く治ればいいんですが。