金属ポストの除去には技術差や熱意により取り組みに大きな違いがある。

必要以上に太い芯

日付、時間:2004年1月28日 23:17  氏名:  匿名   
所在都道府県:  西ヨーロッパ  職 業:  その他  年 齢: 29歳      性別:  female 

必要以上に太い芯 質問:
 はじめまして。海外在住の為、言葉の通じる歯科医も少なくとても不安を感じています。 ここのホームページを見ると、他の歯科医で抜歯と診断されても先生ならどうにか歯を残す 方法を見出してくれたというご意見が多いので、宜しくお願いします。
 以前治療し銀歯を被せてある左上の第2小臼歯(前から5番目)が前にも増してズキズキ し、気持ちグラグラするので歯医者で診てもらいました。レントゲン等から判断すると、歯 の根?骨?が溶けてうんでいるとの事でした。銀歯が必要以上に太い芯で定着してあ るらしく、相当な力で銀歯を取らなければならず弱っている歯が割れる可能性が大きいそう で、銀歯を取っての根管治療はできないといわれました。

    したがって治療方法は2つ。
  1. 口腔外科にて歯茎を切ってウミを出す。1・2ヶ月し、歯の根?骨?が多少でも復活し てこなければ、抜歯しブリッジにしなくてはならない。
  2. 抜歯しブリッジ(ただ、問題はその奥の歯も根っこが弱っているらしくブリッジだと 負担がかかってしまう・・・らしいです)。
    今かかっている先生と話をし、歯を残せる方法、つまり口腔外科にてウミを出す方法をまず 取ることにしましたが、いかがなものでしょうか?

回答  治療ができないのでとりあえず“歯茎を切ってウミを出す(切開・排膿)”ことにより、 ごまかしながら延命を計る(骨の回復は期待できない)ということであれば苦渋の選択と して考えられます。しかし、骨の回復を期待するという話しから 歯根端切除術のことだと思います。この手術に対する認識はどうも 世界的な大問題全く誤った術式だと思います。

 私の類推するところ歯根端切除術の成功率は10%以下(失敗リスク90%以上)、それに 対して通常の金属ポスト除去時の破折リスクは数%以下ですので考える余地なくポストを はずして根管治療をすることをお勧めいたします。しかし、金属ポストの除去は、破折リ スクを伴う上に、非常に面倒で不採算(日本では¥500〜¥200)で、しかもそのあとの 根管治療に自信がない歯科医が多いためか誰もが敬遠してしまいます。
 金属ポストの除去には技術差や熱意により取り組みに大きな違いがあって、取れる取れ ないの判定にも想像を絶する違いがあります。実際の状態を見ないと何ともいえませんが、 熱意と技術があると自負する私にも“無理”と判断する例もあります。いずれにしても、 抜歯前のセレモニーに過ぎない歯根端切除は止めて、根管治療による治療を行なってくれる 歯科医を探すしか抜歯を免れる方法はありません。

 上顎の5番ですので、骨量の関係でインプラントは無理かも知れませんが、できれば ブリッジよりインプラントの方向で考えるべきです。

初診時パノラマ
|5 Dental写真


返信:2004年2月8日 4:24
 先日は早速診断いただきありがとうございました。また、突然のお電話にも対応していた だき大変助かりました。
予定していた口腔外科での手術は、やはり歯根端切除術でした。そしてこちらの先生に、 「多少でも後遺症が残ると怖い、歯が折れないようどうにか根管治療でお願いしたい」と 相談し、まず手術という選択はなくなりました。根管治療を進めていただけるのですが、 やはり最悪は抜歯&ブリッジとも言われています・・・。
レントゲンを借りてきたので、一度診断をお願い致します。うまくデジカメで撮れなくて スミマセン。問題の歯は左上5番です(写真向かって右上から3つめ)。

回答:
 金属ポスト除去に際しては多少の破折リスクが伴うものの、十分射程距離だと思いますよ。 根管充填は一見綺麗にできているようですが、おそらく中は腐っています。あとは、根管治療 の腕次第というところです。


返信:2004年2月8日 16:24
 お忙しい中、今回も早速診断していただきありがとうございましいた。主人と相談し「日本 に帰国!」も考慮に入れていましたが、とりあえず射程距離内とのことでほっとしています。

先生のような方がいらっしゃって、すぐに伺うことが難しい環境(海外なので)にいてもと ても心強く思います。日本に帰国する際はお世話になると思いますので、宜しくお願い致し ます。連日お忙しいかと思いますが、数ヶ月も前からなら予約することは可能ですよね?!

回答:
 歯槽膿漏の進行(年相応)も気になるけれど、それ以上に既に7本の神経を取っているこ とが問題です。痛くなったり気になる所があってから歯医者に行ったのではことごとく抜髄 になってしまいますよ。たちまち左上7番の二次カリエスらしきレントゲン像が気になりま す。今のうちなら抜髄にならなくても済みそうですので、精査の上必要ならば早急に治療す るようにして下さい。
 それと必ず訪れる虫歯や歯槽膿漏に対して、ケアに励む習慣を身に付けてください。


返信:2004年2月17日 3:26
 1/28, 2/7と質問した者です。主人がPCを出張先に持って行ってしまった為お返事が遅くなり すみませんでした。
 先生の『歯槽膿漏』との診断で年相応とは言うものの随分ショックを受けました。私は幼い 頃からハミガキをきちんとするのに虫歯ができ、歯医者さんのお世話になりっぱなしでした。 これは『虫歯が出来やすい体質(歯槽膿漏にはならない)』と聞き、長く付き合っていかなき ゃと諦めていました。なのに、歯槽膿漏とは!はぁ・・・虫歯&歯槽膿漏。
 老後、私の歯はどうなっているのでしょうか。不安になってきました。今まで『ひどい虫歯 =神経をとって完全に治す』と思い込んでいたので、神経を取ることがこんなに重大なことだ とは思いませんでした。今後は先生がおっしゃるよう、ケアをして多少でも予防できるのであ れば、その努力を惜しまないようにしたいと思います。

さて、問題の左上5番は、近々銀歯を取り根管治療をしてもらいます。1・2週間に1回通い、 薬を入れて様子を見るといわれています。必要以上に太すぎないとのご意見を聞き、少しほっ としました。こちらの先生の腕が良いことを祈ります。
また、左上6番は、3本ある根っこのうち、1本には薬が完全に埋まっていないと言われまし た。いかがでしょうか?
最悪左上5番が抜歯&ブリッジになった場合、この左上6番にかかる負担が相当なものである と言われました。そして、先生がおっしゃるように、左上7番も銀の詰め物の下で虫歯が相当 進行しているし、詰め物がフィットしていないと言われています。現在、左上の奥3本が意識 しすぎかもしれませんがとてもズキズキしていて、精神的にも参っています。

 先生のHPを拝見してから随分と『歯☆』に対する認識が変わり、一生使うものだから大切に したいと考えるようになりました。先生のような歯医者さんが世の中にもっともっと増えて欲 しいです。本当に色々と診断&アドバイスいただき、ありがとうございます。専門的なことが 素人には全く分からないのでとても助かります。本当にありがとうございました。 今後も宜しくお願いいたします。

回答:
 『歯槽膿漏は年相応』ということは、このままいけば、世間同様・60歳前後で大半を失う ということです。幸いまだ若いですから今から手入れすれば、生涯歯槽膿漏によって 歯を失うことはというレベルです。毎月歯石除去を行なう習慣を身に付ければ、“ケアをし て多少でも予防できる”程度のレベルじゃありません。もっと早くから始めていれば、完全 シャットアウト。今からでも絶大な効果があがるでしょう。多少誇張かもしれませんが、 是非これからは同じ過ちを繰り返さないよう努力してください。  “左上7番も銀の詰め物の下で虫歯”はひょっとしたら抜髄もあり得る状態です。普段の メインテナンスはこのような事態もほとんど退けるはずです。当該部位の痛みはこの7番か もしれません。一方6番の根管治療は不真面目ながら幸いにも根尖病巣がないので、この まま何事もなく使える可能性が高いと思います。


返信:2004年5月25日 15:16
 ご無沙汰しています、1月下旬頃最初に左上5番の根管治療について質問した者です。 かれこれ半年も経ってしまいました。

こちらの歯科で『銀歯の芯が必要以上に太く、ムリに取ろうとすると歯が割れる恐れがあ り、根先端切除術を行います。』と言われ、震え上がりましたが、先生にこうしてご診断 して頂き、かなりワガママを言う形(^_^;)になりましたが、こちらの歯科で、銀歯を取り、 根管治療を行っています。ただ、ここに来てまだ歯にと左の小鼻近くに違和感があるので すが、最終的な薬を入れられました。そして、仮歯ではなく、プラスチックをかぶせると のことで、とても心配しています(まだまだ抜歯の可能性が高く、莫大な価格のセラミッ クはかぶせないそうです)。

12月に日本へ一時帰国するので、その時先生をお伺いして、診察してもらうことは可能 でしょうか?
ワガママを言っているのは承知の上で、是非お願いしたいです。勿論悪化してしまう・・ ・と思うのですが、違和感があるのに最終的なかぶせ物をするのに抵抗があります。 プラスチックでもこちらでは、異常な程高いものですし(>_<) もし、先生に診て頂けるの なら、ムリを言って仮歯をお願いしようかと思っています。
お忙しい中、メール上でとても恐縮ですが、先生しか信頼のおける方は存じ上げませんので、 是非宜しくお願い致します。

ご参考までに経過をお知らせします。
02/19 銀歯を取り、強い薬を入れる
03/02 銀歯がかぶせてあった頃の薬を完全に取り、強い薬を入れる
03/11 ウミをとり、炎症を抑える薬を入れる
03/19  〃
04/02  〃
04/22  〃
05/10 最終的な薬を入れ、薬がしっかり入ってるか確認の部分レントゲンを撮る (05/25 そして今日、歯科に行き違和感があることをつたえる予定です。)

回答:
 “強い薬”が全く余分ですが、根管清掃と根管充填がまともであれば、多少違和感を引き ずったまま治癒する可能性もありますのでそのまま経過をみておいても急激に悪化することは ないと思います。経過次第では私の医院での治療は可能です。その時のためにも仮歯は無論 のことですが、しっかりした金属ポストも避けていただいた方が良いでしょう。

 今日たまたまあなたと同じ国から根管治療にお見えになっていた患者さんが、このメール の話をしたら「無理言えば根管治療もしてくれるんだ」と感心されていました。でも根管治療 の技術は日本同様、あまり感心したレベルではないような話もされていました。

|5 術前
|5 術後


返信:
 お忙しい中、早々のお返事ありがとうございます。先生の存在・アドバイス、本当に 心強く思っています。
同じ国から根管治療とは・・・
やはりここでは根管治療よりも歯根端切除術が主流なようですね。抜歯も極々フツーに行 われるそうです。

 根管清掃と根管充填がまともかは素人の私にはサッパリなのですが、今日こちらの歯科 に行って先生と相談した結果、もう少しこのまま様子見となりました。まずは、何もかぶ せられず一安心です。
もし、12月に診察していただく際、どのような流れになるのでしょうか?
以前のQ&Aを見ていますと、『遠方からでも泊まりの用意は不要』とあります。1日で、 お忙しい合間を縫って治療を進めていただくと、どこまで終了可能なのでしょうか?
やはり上にかぶせるのはその当日ではムリですよね?!

 またご参考までに、5/10に撮った部分レントゲンを添付します。こちらの先生曰く、根 の先にある骨が回復していない・・・。最悪の場合、抜歯もありうる・・・。が、その奥 も3本ある根のうち1本にしっかり薬が入っていないため、ブリッジにした場合、負担に 耐えられるか??と不安がある・・・。との事でした。先生はどうご診断されますか?

お忙しいとは思いますが、ぜひとも宜しくお願い致します。

回答:
 金属ポストが入っていると絶対根管治療しないで抜歯か歯根端切除を選択するというお国柄 みたいですね。しかも根尖病巣がレントゲンで確認できるうちは最終的な補綴物が装着できな いという保険規則みたいなものもあるとか…。この根尖病巣は、根管治療や根管充填が上手く できていたとしても約1年は消失しないので、それまでは仮歯が普通の選択のようです。その 代わりと言っちゃあなんですが、歯根端切除用の逆根充材は異常に発達していて、日本では見 た事もないような素晴らしい材料があります。でも、その成功率は日本より数段良いとはいえ、 30%程度で、手術して痛い思いをするくらいなら抜歯を選ぶという国民意識もあるみたいです。

 レントゲンでみる限り根管充填はしっかりされていますよ。違和感が根管充填の不備に起因 するか、強い薬によるものか分かりませんが、このまま治癒していく可能性も十分あります。 また、隣の6番の根管充填は確かに頼りないし、上顎洞と重なって写っているので根尖病巣の 確認はとれませんが、症状がなければ治療の必要はありません。それより、7番の二次カリエス を早く治療しておかないとまたまた抜髄になってしまいます(もう手遅れかも?)。

 私の医院での治療は、1日に根管充填までです。治療できる歯の数はせいぜい2本。それ以上 だと宿泊もしくは日を変えての通院が必要です。


返信:2004年11月23日 16:49
 大変ご無沙汰しています。去年のちょうど今頃、初めてご質問させていただき、色々とアド バイスをいただきました。
左上7番の治療に関して、こちらの先生と話し合いましたが、医療環境が違うのか、5番の状 況、6番の状態のせいなのか分かりませんが、結局まだ治療していません。今年年末に一時帰 国できることになりましたので、是非、是非先生の所にお伺いし、治療していただきたいので す。お忙しいかと思いますが、宜しくお願い致します。

以下の期間でしたら、先生の所へお伺いできます。
12月28日以降(・・・たぶん先生はもう休暇中ですよね(^_^;)
1月6日〜19日

また、先生に治療していただき、その後の銀歯を被せるのは、地元(名古屋)で行うことにな るのでしょうか?
それでは、宜しくお願い致します。寒くなる季節ですので、ご自愛下さい。

回答:
 今年の12月28日は治療しています。来年は確か6日からだったと思いますので一度受付と 相談してみて下さい。0792-88-4682
ところで5番の痛みはどうなりました? 痛みがなくなっているようでしたらそのまま被せ てもいいし、必要があれば根管治療も行ないます。7番は連と現でみる限り抜髄の可能性が 高いように思いますが、運が良ければ詰め直すだけで済む可能性もあります。他の歯がどう なっているかわからないのと、これらの治療方針も定まっていないのでどうしたら良いのか 現時点ではわかりません。12月28日、1月6日頃とあと1日ほどあれば通いで治療かのうか も?


返信:2004年11月24日 3:03
 早々のお返事ありがとうございます。先生のご対応には、毎回頭が下がります(感激です)。
正直なところ、左側では食べ物を殆ど噛んでいません・・・
食べ物なのかタイミングなのか、6番か7番もしくは左下?(自分自身どこか分からないのです) に激痛が走る時があり、怖くて極力右側で噛み砕いています(^_^;) バランス悪いですよね。

5番は、歯は痛みませんが、少しだけ鈍い感じがし、5番の歯茎は右側に比べ膨らんでいます。 通いでも治療可能との事ですが、日数が掛かるのであれば1泊も可能です。無理を言って申し 訳ありませんが、往復の交通費を考えると、、何日か通うよりも助かります。いかがでしょう か?
先生に診ていただき治療していただけると思うと本当に安心です。まだ、診てもらってないの に「すでに完治した」と錯覚してしまうほどです。本当にありがとうございます。宜しくお願 い致します。

回答:
 5番も治療が必要みたいな感じですね。12月28日に日帰りの予定で1日来てください。 その時に、必要な処置を選び出して計画をたてましょう。その計画に沿って連泊を全的に 効率良い方法を考えます。最善は尽くしますが、あまり過剰な期待をしないで下さいね。


返信:2004年11月26日 17:35
 お返事ありがとうございます。御忙しいのに、金曜にメール差し上げてすみません。 お礼と、お返事だけお伝えしたかったので・・・

5番の治療が必要かは、一見したいただいてからお願いします。常に意識が「左上」にあ るので、過剰に敏感になっているかも知れません。まず、12月28日に予約が入れれる か確認させていただきます。そして、先生に隅々まで診ていただき、計画をお願い致します。 先生のお心遣い、大変感謝しています。
日本の保険証を持参すれば、よろしいですね?
それでは、よい週末をお過ごし下さい(もしかして、お仕事でしょうか・・・)。

回答:
 保険証があれば、持参してください。


返信:2004年11月29日 22:10
 保険証、持参します。
先日、新聞に載っていた広告で、“私は「初診料10万円」の歯医者です”という著書が あり、驚くと同時に慌ててしまいました。直接歯を診てもないし、状況はわからない!と おっしゃられるのは十分承知していますが、治療費というのは、どのくらいなものなので しょうか?
また、先生のところでの被せ物とは、銀歯でしょうか?セラミックなのでしょうか?

先生に診ていただける♪と舞い上がっていましたが、やはり金銭的なものも心配なものですから。 保険証を持参するということは、先生の治療に保険がきくということですよね。 大変恐縮ですが、アドバイスお願い致します。

回答:
 あの先生とは、治療に関しては似ているように思いますがお金に関しては全く違います。 基本的に全て保険でと考えています。従って良し悪しは別にして奥歯は基本的に銀歯です。 治療費は、初診料3570円で根管治療が3000円程度。それにクラウン一本あたり3000円前後 でどれだけするかによりますが、せいぜいトータル3万円くらいじゃないでしょうか(全 て3割負担の金額)。


返信:2004年11月30日 16:45
 お返事、ありがとうございました。
先生の治療に関するお考えや意識、意向・・・全てが素晴らしく、患者にとっては神様の ようです。先生のお答えを聞き、ほっと一安心しました。
早速、予約のお電話をさせていただきます。

初診時パンPラマ
|567 術前
|567 術後


診断:
 レントゲン的には一見問題のない|5ですが、実際に治療してみると根管充填材 が容易に除去できる状態でした。一方、|6の近心頬側根の根管充填は明らかに不十 分であり、実際にその根尖部には炎症がありました。それぞれ、納得のいく根管治療ができ ましたので、確率的には90%以上治癒するものと思います。
 かねてより二次カリエスが心配だった|7は、痛みもあるということでしたので予想 通り抜髄になってしまいました。また、左下7番にも大きなむし歯がありましたので早急な 治療が必要と判断いたしました。通常であれば、抜髄・根管治療の経過を十分見定めてから 補綴処置を行うべきではありますが、お国柄どうしても日本で決着をつけねばならないよう でしたので、なかば強引に補綴処置まで行いましたが保険の補綴物を仮歯だと思って当分の 間経過を見守ってください。