出口の見えない根管治療

日付、時間：2004年2月3日 18:28　 氏名： 　KT　　　
所在都道府県： 　岐阜　 職　業： 　その他　 年　齢： 44歳　　　 　 性別： 　male　

質問：
　重複する御質問になるかもしれませんが宜しくお願いします。
昨年　夏より右上7番がうずき、痛みが増し、被せものを外し土台のまま様子をみました。 神経は数年前に取ってあります。当初は表面の歯肉炎でしょうとの事でした。暫し土台の ままでおりましたが秋から年末にかけて歯肉の痛みではないと感じ、かかりつけの歯科医 院で土台を外し、中を見て頂きましたら入り口付近にひび割れがあり出血していたのでレ ーザーを当て、出血を押さえひび割れを修復しました。が、相変わらず痛み、違和感が継 続していました。
　レントゲンでは黒い影も写らず、上顎洞にも炎症はなくなぜ痛むのかわからないという まま期間だけ経過しましたが、やっと最近　根っこの炎症かも・・と根管治療を始め、も うすでにこの半月で薬を7,8回詰め替えていますが一向に痛みは変わりません。

　掛かりつけの先生は親切な方で歯学大学を紹介してくださり、診察して頂きましたらレ ントゲンではわからないけど根っこになにか問題はあるのでしょうとの事でカルシペ クスという薬を入れて様子をみましょうとの事でしたが、その後より痛みが強ま り、時間の経過と共に多少は和らぐもののシクシク痛んでいます。頬の鈍重感、鼻の 付け根の鈍重感も食後に強く、安定剤を服用して気分を和らげています。　耳鼻科でもレ ントゲンを撮影しました。三叉神経痛でもなく上顎に炎症はないというものの根っこはレ ントゲン上、上顎洞に食い込んだようなタイプだそうです。
　先生のQ&Aで大変　色々な歯の仕組みがわかってきました。歯学大学では一応　歯根膜炎 であり、細かな枝の菌もなかなかしぶといようだとお話されています。　しかしレントゲン で見る限りはっきりしません。影もないです。自分では夏からこの違和感、そして最近の痛 みに耐えてきまして、その他も治療中の歯まで生じてしまい、ストレスも溜まって体重も激 減してしまいました。抵抗力をつければ歯根膜炎は治るとのお話もお聞きしたのですが、 自分では抜歯してしまったほうが早い気持ちです。とにかくこの日々の痛み、違和感から解 放されたいのです。

　先生のQ&Aでは抜歯とその予後について　まだなにかしらの情報収集ができませんでした。 治る見込み、治らない見込みという基準でいうと先生のサイトでの根管治療の成功率につい て拝読しますとやってもやらなくても同じような現状が今の日本の歯科医療かもというよう に感じました。このまま　治療を続けて行くべきなのか、抜歯した方が健康的にいいのか そして右上7番を抜歯する場合の注意事項などご教授いただけませんでしょうか。
　先生のご治療ですと明確性と実効性がすみやかになされていますが、私は昨年夏から今日 までにおいて、やっと歯根膜炎かな？とか言われてる状態です。その他の歯もついでといい ますかガタガタ来はじめてる感じです。抜歯・・今　自分の気持ちの中ではスッキリしたい 気持ちから安易に考えてますがこんなシクシク痛む毎日では精神衛生上もよくないと体で感 じています。体力をつけ根っこの治療をするほうがよいのでしょうか。しかも根っこの間に は細かな枝が一杯あって開業医さんではごりごり掃除する機材もないみたいです。
大変　とりとめなく長文になってしまいましたが、ネットでのセカンドピニオンとして先生 のご意見お聞かせ願えれば幸いです。歯の治療ではっきりせず　こんなに嫌な日々になると は思いませんでした。宜しくお願い致します。ｍ（＿＿）ｍ

　数ヵ月以上に及ぶ根管治療は治療じゃない！！　 同感です。むしろ傷害事件（ちょっと言いすぎか）とさえ思っております。治る見込みが あるかどうかを的確に判断して、適切な対処を行なうべきなんですが……。

　炎症発生のメカニズムが的確に判っていないために？あれこれとズルズル試みているのが、 今の歯科事情のようなきがします。精神衛生上もよくないので他の疾患を呼び起こす可能性 も十分あります。
　第一のポイントは“入り口付近にひび割れがあり”というところにあります。これが致命 的な深さまであるとするならば、いくら修復したとしてもまずは見込みがありません。根管 治療に問題があるとするならば解決の方法があるかも知れませんが、ひび割れが原因だとす れば抜歯やヘミセクションに切り替えるべきです。
　このひび割れが致命的な深さでないとすれば、１回か２回の治療で結果を出すような歯科 医を探すことをお勧めしますが、まずはひび割れについてもっと協議されてみてはいかがで しょうか。

治療前
1. 根管治療を始めた頃から鼻に嫌な匂いが常時纏わりついていました（匂いを例えるなら　 石油ストーブを消した時の臭い感じ・酸味のあるすえた感じ・灰皿の吸殻入れを嗅いだ感じ の３パターンです）。
2. 歯のうずく痛み、三叉神経伝いに生じる違和感でした。

治療後(抜歯後）
1. �@の匂いに関して全く変化がありません（タバコは吸います）。耳鼻科でファイバース コープ、X線撮影をしましたが上顎洞に炎症らしき所見も蓄膿もないとの診断でした。MRIで 三叉神経を撮影しましたが、それらしき所見がありませんでした。
2. �Aの痛み等に関してもまだ10日目ですから痛いと言えばいたしかたないかもしれません。 深さも三センチ〜位あります。そして先日　洗浄を兼ねて抗生剤を注入しました。やはり注 入した根の先端に根管治療中の懐かしい痛みを感じました。

感想:ご感想
　とにかく　歯科治療における詳細な情報の数々が悩める患者にも理解しやすく記載され ている事は大変有難く思います。河田先生のご回答や皆様に対するコメントを参考に担当 医ともコミュニケーションを取り　一方的な治療ではない双方が納得しながらやっていく 治療をするためのキーを頂いている気がします。担当先生も私が情報を得ることによって　 自ら精進なさってくださっている気がしました。　開業医の先生にとっても参照すべきサ イトではないかなと思います。　本当に有難うございます。

回答:
　根管治療薬、とりわけカルシペックスの残留による影響だと思います。上顎洞に近接して いるために、根管治療薬が上顎洞に注入されてしまっているのではないでしょうか。根尖部 だけであれば、抜歯の際に除去されるはずですので多少残ったとしても速やかに排泄される はずですが、上顎洞内だと簡単には排除されません。しかし、所詮糊状の薬剤ですので多少 時間がかかっても吸収されるはずです。症状もそれに伴って徐々に消失されるものと思われ ます。