打開策は、破折リスクを覚悟してでも金属ポストをはずして根管治療。

前歯上下12本が差し歯

日付、時間:2004年2月4日 15:11  氏名:  M   
所在都道府県:  大阪  職 業:  会社員  年 齢: 34歳      性別:  female 

前歯上下12本が差し歯 質問:
 私の父は84歳で上顎は入れ歯です。母は71歳のわりには健康な歯で過ごしています。 私には4人の兄弟がいます。4人とも乳歯時になんのトラブルもなかったのに永久歯に生え 変わった時、前歯上下12本が薄茶色のギザギザの歯でした。
特に私と一つ上の姉が悪く・・・親は見かねて私が15歳のなった夏に父の生まれ故郷台湾で 治療(差し歯)を行ったのです。夏季休暇とあって、たった1ヶ月で12本を治療することが 既に間違っており当然のように数年後には根尖病巣と診断され差し歯の裏からに穴を開けての 治療を行いました。また24歳の時突然上顎の差し歯(連結)が取れて、無残にも歯が溶けて る?そういう表現でいいのでしょうか?結局土台を高く作って日本で差し替え(連結)たので す。今回トラブってる歯はその差し替えた上顎の犬歯の1本です。

 1/24(土)に激しく痛み1/26(月)に歯科で根尖病巣と判断されました。応急処置で切開し 膿みを取り出し抗生物質を服用中です。今、数軒歯科を回ってます。治療方法は様々で・・・ どう判断して良いのか困ってます。

    治療方法は
  1. 差し歯を一本抜いての治療、但し金属を削る時に歯に穴を開ける可能性が70%、 その場合は抜歯しブリッジします、もしくはインプラント。
  2. この差し歯はしっかり入ってる。差し歯を削ると隣りのセラミックももろくなる、 当然ブリッジをすれば全部で4本他の歯を削ることになるのでさらに歯に負担をかける。 歯肉から見えないところの膿みまで取り出す、もしくは病巣ごとを取り出す。
  3. レーザー治療で無菌状態にさせる
    でした。いずれかの治療の選択で今後の歯の行く末が大きく関わってくるのではないかと 思うと不安でたまりません。
こんな問題を抱えてる歯なのに甘い認識でした。今は少しでも知識を身に付けようと先生の HPや本など読み漁ってます。先生に一度診て貰いたいです。この犬歯だけでなく全ての差 し歯を診て貰いたい。今の状況に治療法、それから今後のメインテナンス等、真剣に取り組 みつもりです。どうかお力添えをよろしく御願いします。

PS文章が長くなって申し訳ございません

回答  永久歯の歯冠部分が作られる2歳〜3歳頃の飲み物や食べ物、或いはその頃服用した薬 等の影響で生じた歯牙変色のようですね。あなたと全く同じような状況と経緯の質問が過去に もありました。それも台湾でした。失礼ですが、歯牙変色に関しては台湾の食生活と何か因果 関係があるのかもしれません。

 問題は歯牙変色よりも根尖病巣ですね。打開策は、@の破折リスクを覚悟してでも金属ポス トをはずして根管治療を行なう以外根本的な方法はありません。それ以外の方法は、治癒の見 込みがないばかりか、状況を更に悪化させてしまいます。
 抜髄してしまった前歯の寿命は確実に短くなってしまいますが、他の健全歯を含めて今後の ケア次第では十分取り返しのつく年齢だと思います。幸い比較的近くですので、是非一度相談 にいらして下さい。何かしらのアドバイスと成果を挙げることが出来ると思います。
пF0792-88-4682


返信:2004年2月5日 11:50
 早速の回答有難うございます。先ほど2/13の昼より予約を入れました。どうかよろしくお 願いします。
それと「以前にも私と同じような質問が・・・」私の姉です。このHPは姉から教えてもら ったものです。

初診時パノラマ
3-|-3 Dental写真
3-|-3 Dental写真


診断:
 12本はとんでもないプレッシャーですが、幸いにも下顎6前歯は不完全な根管治療ながら根尖 病巣もなく当面治療の必要はなさそうです。今後治療の必要性が生じた場合も、金属ポストは挿入 されていないので、裏に穴を開けて根管治療ができそうな状態ですのでひとまず安心です。  上顎6前歯のうち、3|2は長い金属ポストが挿入されておりますが、幸いにも大きな根尖 がなく早急な治療は不用です。1|1には現在臨床症状はないものの、明らかな根尖病巣があり ますが、金属ポストが挿入されていないので治療は比較的容易です。まずこの2本の治療を行なっ てしばらく経過をみてから次を考えるのが妥当だと思います。

 問題は残る2|3です。撤去が厄介な金属ポストが挿入されている上に根尖病巣と臨床症状 があって治療は必然です。最終的には歯根破折リスクを覚悟して根管治療を行なう必要があります が、今回治療した1|1の経過と病巣の拡大を注意しながら治療の次期を模索するのがよいで しょう。