病巣の大きさよりも、治療ができるかどうかだけが問題です。

根尖病巣が大きい

日付、時間:2004年3月5日 15:55  氏名:  J.O    
所在都道府県:  東京  職 業:  会社員  年 齢: 30歳      性別:  female 

根尖病巣が大きい 質問:
 お忙しいところすみません。ホームページの質問コーナーに送るべき事かもしれませんが、 痛みが強いので早く決断したく、こちらに送らせて頂きました。
東京在住の30歳の女性です。1週間前から抜髄済みのいちばん奥歯(親知らずは生えてません) が痛み、歯科医に行きレントゲンをとると、根尖病巣が大きく、膿が骨を溶かしていると言わ れました。また、骨の方の神経や血管に近いため、抜歯するしかないと言われました。そして 部位的に難しいからと、大学病院を紹介してもらいました。もう一軒行きましたが、同じ事を 言われました。なんとか自分の歯を残したくて、そちらのホームページに行きつきました。
 抜かずに済む可能性があるのなら、そちらに予約を入れようかと考えているのですが、病巣 が大きいだけでなく、神経や血管に触るかもしれないというのが、ひっかかっています。また 、痛みのサイクルが徐々に早まってきているので、予約から診察までの日数をどうやってもた せればいいのかと悩んでいます。東京で根管治療をきちんとやってくれる歯科医を探すのはた いへんなので、抜かずに済む可能性がありそうなら、姫路まで行こうと思っています。お忙し いと思いますが、ご意見を聞かせてください。

回答  “病巣が大きいだけでなく、神経や血管に触るかもしれない”というのは関係ないでしょ うね。要は、7番が的確な根管治療できる状態にあるのかどうかです。納得のいく治療がで きればかなりの確率で治癒しますが、全く治療できない状態だと見込みはありません。また その中間というか、或る程度はできてもどうしてもできない部分なんかがあるとその治療の 完成度に応じてそこそこに使えるけれども…という可能性もあります。
 「治療できるかどうか、またその完成度は」という件に関しては、担当医の技術と熱意に 大きく左右されます。トータル的な説明や歯のケアに関しては来ていただいた方全員に満足 して頂いているようですが、果たして姫路まで着ていただいてどの程度の治療ができるかと いうことに関しては、実際に診て、治療してみないと分からないというのが実情です。

初診時パノラマ
|7Dental写真(術前)
|7Dental写真(術後)


診断:
 一見根管充填はできているようにみえますし、厄介な金属コア、更に大きなのう胞と3拍子 揃っています。苦労して治療しても報われそうも無いと誰しもがあきらめそうな症例です。

 のう胞の大きさに関係なく、的確な根管治療と根管充填さえ行うことができれば治癒の可能性 があります。幸い金属コアの除去および根管治療に関しては納得できる治療ができました。一見 ちゃんとできたように見える根管充填は予想通り不十分なものでした。問題は、C状根と呼ばれ る奇形根管であるために十分な根管充填ができたかどうか、また、のう胞の浸出液がなかなか 泊まらなかったために根充材の中に混じりこんだ可能性があるというところです。

 のう胞内に押し出された根充材による一時的な炎症はやむを得ないものとして、根管充填の 完成度に応じた治癒が見込めるものと思割れます。レントゲン的に確実な治癒が確認できるの は1年以上先になりますが、3か月ほど経過を見て臨床症状がないようですと上部構造の製作 に取り掛かっても良いでしょう。


報告:2004年3月19日 14:19
 16日に診察していただいたJ.Oです。
最初、東京の2つの歯医者で「歯を大学病院に行って抜いてください」と言われたときはショッ クでした。激痛もあり、もう抜いても仕方がないかと半ばあきらめていたところ、姫路の河田 歯科医院の先生は簡単に歯を抜かずにがんばってくれるということを、彼がホームページを見 て教えてくれ、根管治療で治してくれる歯医者を東京で探すのも大変かなと思い、姫路まで行 くことを決心しました。
 不安いっぱいで姫路に着いたのですが、先生のお話を聞いて、歯に対する熱意をすごく感じ、 安心して治療を受けることができました。今のところ痛みもまったくありません。これからは これ以上神経を抜くことにならないよう、早めの治療を心がけ、自分の歯のことを真剣に考え、 年をとっても自分の歯をしっかり保たせていきたいと思います。それと、東京でいい歯医者を 見つけて、これからは毎月、歯石とりに行こうかと思っています。お忙しいのに一日中ありが とうございました。