日付、時間:2004年3月30日 16:37
氏名: YK
所在都道府県: 埼玉
職 業: 会社員
年 齢: 31歳
性別: female
質問:
右下の7番を10年ほど昔に治療しました。隣りの親知らずが水平・前向きに生えてきた
ためでした.親知らずを抜歯し、治療後7番は奥側三分の一が無いような状態になりました.
最近、7番で軽く噛むと軽い痛みが走り始め、その翌日の内に重く強い痛みが生じるよう
になり夜も眠れぬ状態になりました.さらに翌日、歯科医院で診ていただき、「歯根の先に
炎症があるから、再度治療しなおせば大丈夫、根の先にある病巣が膨らんで周りを圧迫す
るから痛むのだ」ということで、7番の被せ物や充填物を取り除き根管を広げることをし
ていただきました.
ここまでは、河田先生のサイトを拝見させていただいたおかげで治療の内容について理解
できたのですが、翌日や翌々日の通院までの仮の詰め物をせずに、ヨードのようなものを
染み込ませた脱脂綿をその7番に詰めるだけなのです。食べ物のカスなどが入ったら穿り
出さないで、うがいをするように、と言われました.
治療中の根管の、次回診療時までの保存はこのような処置でよろしいのでしょうか.
段々と腫れが酷くなってきているようなのです.抗生物質と痛み止めのお薬をだして頂い
ております.
「バイ菌が入って化膿する」という考え方からすればとんでもない治療方法のように
みえますが、実は治療方法自体は正解です。
骨に囲まれた限られた空間の中で炎症が起こると、内圧が高まり痛みが倍増してしまい
ます。症状が快方に向かったとしても過剰に溜まったウミが生体に自然吸収されるのには
時間がかかります。その点ウミの出口を作って外にだしてやると、内圧は下がりより速や
かに回復します。
とまぁ、開放自体はその状況下では正しい治療方法なのですが、ちょっと経過が思わしく
ないようですね。時間がかかってもその内治まると思いますので過剰な心配は無用です。
思わしくない理由は、「バイ菌が入って化膿する」という考え方が災いしています。
常々私が主張しております通り、「バイ菌なんてそんじょそこらにいるけれど、炎症を
起こすに足りる異物が存在しなければ化膿しない」という考え方に立脚しないからです。
この場合の異物は、根管内の腐敗物。ウミの出口を作るためにある程度は根管清掃をし
たけれども「こいつが炎症の原因」という発想がないから徹底的には除去していないと
思います。また、「バイ菌がはいったら…」という懸念からヨードを染み込ませた綿で
中途半端な栓をしているもんだから治りが悪いという構図です。
私だったら、徹底的に根管内の清掃を行なって、綿も薬も詰めないでそのまま2日ほど
放置しておきます。無論、抗生物質は処方します。バイ菌が入るなんて心配は全く無用、
その方が数段早く回復します。まぁまぁ、炎症発生メカニズムの根本理論が根底から異な
るわけですから治療方法に若干の違いがあるのは仕方ないことでしょう。最終的に、根管
内の汚物を完全に取り除いて、二度と血液や体液などが貯留しないように綿密な根管充填
が行なわれたとすれば治ります。