日付、時間:2004年3月30日 21:28
氏名: venus
所在都道府県: 大阪
職 業: その他
年 齢: 39歳
性別: female
質問:
以前、根が割れている件で質問させていただいた者です。その節はお世話になりました。
接着剤で割れているところを封鎖しました。それから約4ヶ月様子を見てきましたが、一向によ
くなるどころか根にできたうみが大きくなってきています。歯科医師が言うには、ヘミセクシ
ョンをするしかないそうです。私が気にしているのは、ヘミセクションをした後の処置です。
ヘミセクションをして残っている根2本の上だけに補綴物をかぶせる(なくなった1本の根
の上には隙間があく)か、ブリッジにするかだそうです。この歯科医院はインプラントは推奨
していないので、どちらかになります。先生もお書きのようにブリッジにするとほかの歯が
弱くなり、ひいては抜歯になるかもしれないので私もブリッジよりも1本1本の補綴のほうが
いいかなと考えています。ヘミセクションをしても今までどおりに大臼歯サイズのクラウン
を入れることは、やはり無理がありますか?
また、たとえば、ヘミセクションでなくなった根のところに部分入れ歯を入れるという選
択肢もありますか?
ご多忙のところ恐れ入りますが回答よろしくお願いします。
最終的に全てを抜歯した後に、インプラントを植えるスペースがあればインプラントが
お勧めですが、その前のつなぎとしての治療という位置付けで考えるべきでしょう。
1本の根っこが割れるくらいですので、残った根っこもそれなりに弱っているでしょう。
いずれ同じ運命をたどるであろうことは覚悟しておかねばなりません。その上で、ブリッジ
にすべき相手方の歯がすでに抜髄してクラウンをかぶっているのであれば、ブリッジも悪く
はないと思います。その歯が健全歯であった場合には、わざわざ削ったり、神経を取って
余命幾ばくもない歯のために犠牲にするには勿体なさすぎます。
過剰咬合負担を避けるために小さな歯は最もな選択ですが、空いた隙間をどうするかが
大きな問題となってしまいます。その場合私なら、隙間を塞ぐ大きめの歯を選択します。
無論早期に割れるというリスクは覚悟しなくてはいけません。でも実際あつかましくその
選択をしても10年くらい保つケースを多く経験しています。さらに保険規則では、大きめ
の歯は保険適応外ですので、自費扱いになることも認識が必要となります。
回答:
学問的には担当医の説明通りです。残った歯の寿命を最優先に考えれば小さくすべきで
す。しかし、隙間があくと後ろの歯が倒れこんできてあとでインプラントを植えるべき
スペースを失います。また、倒れこむことで強度を損ねたり、咬合関係の狂いを生じます。
また、ヘミセクションして残った歯の寿命がそれほど長くはないという前提と、あとで
インプラントが植えられるという前提ですので、その辺の前提が異なると選択も変ります。
また、ヘミセクションすべき歯の部位を上顎6番くらいと想像していますが、正確な場所と
ヘミセクションすべき根っこがどれなのか返信ください。
PS.
ヘミセクションすべき根は第一大臼歯の第二臼歯よりの1本です。第二小臼歯よりのものは
健全です。左下第二大臼歯は根菅治療後約5年は放置してクラウンがない状態なので前に傾
いております。歯科医師に「補綴をする前に小矯正でアップライトをしないと傾いた根にク
ラウンをかぶせても咬合がおかしくなるから、小矯正して欲しいと言ってもやらないで、そ
のままクラウンをつける」といいます。ヘミセクションをして隙間があいてしまうと歯が後
ろに傾くと先生はおっしゃられましたが、第二大臼歯だけでなくヘミセクションで残った根
(第一大臼歯)も後ろに倒れこんでくるのでしょうか?
私が現在の歯科医院に通院するきっかけになったのは、左下第二大臼歯の再根菅治療をリ
ーズナブルな自費でしてもらえることが大きかったのです。ここの根菅治療の方法は保険で
認められているようなリーマー(?)を根管形成のときに回さないで、上下に刺す感じの方法
をとられています。それにガタパーチャーも温めて入れる方法です。根管治療は保険で認め
られている方法だと根管内に隙間ができてしまい、ばい菌のすみかになってしまう恐れがあ
るので、自費でもこの方法を選択しております。
もしも先生のところでも根管形成をするときに回さないでひきあげる方法でされている、ま
たガタパーチャーをつめるときも温めてしているならば転院をしてもいいかと考えておりま
す。先生の治療はやはり自費ですか?また、その場合詳細を教えてください。(現在は1回
3500円で、保険外の薬剤など使ったときには別途請求されています。)自費と言っても、
医院が勝手に決められるということですから、一概に自費=高いと思う前にきちんと説明を
聞こうと思います。
回答:
国民の願いは「保険で良質な治療を」でしょ。インプラントを除いて基本的に私の医院
では保険ですよ。保険でもできる(不採算かも?)根管治療を無理やり付加価値をつけて
保険外治療にしているだけですよ。もっとも通常保険治療は成功率50%くらいですので、
高いお金を払っても価値があるかもしれません。
“ガタパーチャーをつめるときも温めてしている”という手法には大いなる疑問を感じて
おりますので私の医院では絶対に行いません。私には独自のポリシーがありますので、自分
の理論に従って現存する器材や薬剤を使って保険内で治療しています。成功率は90%〜95%
です。その辺のことは根管治療関係のQ&Aにイヤというほど情報を載せていますので参考に
見て下さい。7番のろう孔は痛みがなければ関わりたくない(それ以上の根管治療を確実
に行なう自信がない)ということですが、おそらく根尖病巣だろうと思います。
部分入れ歯を入れるのには通常、バネを支える部分を作るためにわずかに臨在歯を削り
ます。今回のケースでは、削らなくてもそれなりのものができると思いますが、元々クラ
ウンですので、あらかじめ削った形に作るとか金属部分を削るだけですのでそれ程問題に
ならないと思いますよ。後ろがクラウンですので、ブリッジも選択肢に入ります。また、
6番のサイズを大きくすることも一つの方法です。
回答:
的確な根管治療が為されて、破折した部分の封鎖ができるモノであれば治癒の可能性もあり
ますが、現実には破折した部分の封鎖ができるモノがないのでほとんどのケースが保存不可能
です。“接着剤が根管治療の充填剤の代用になっているので、根管治療をする必要はない”と
いう考え方では治癒の見込みは全くないでしょう。いずれにしてもヘミセクションはやむを得
ない選択ですね。
回答:
私の知る限りでは、破折した歯を適切に処理する接着剤はこの世に存在しません。また、正式
な術式というものも存在しません。あくまでも代用品で独自の発想で閉鎖しただけのことですの
で、どのように処置されているか一切わかりません。
一つ確実に言えることは、歯医者の一般的な常識の下で行なわれたその手の処置は必ず失敗す
るであろうということです。何故ならば、“歯医者の一般的な常識”が間違っているからです。