日付、時間:2004年4月20日 19:56
氏名: 藤田 裕
所在都道府県: 兵庫
職 業: 主婦
年 齢: 36歳
性別: female
質問:
はじめまして。私、藤田と申します。早速ですが、ご質問させて頂きます。
今、右下第一大臼歯(6番)の歯の治療がうまくいかず悩んでおります。
去年の5月にしみたりして痛みがでたため抜髄致しました。
抜髄後、定期的に根管の清掃をして経過をみていただいていたのですが(時々体調が悪い
と歯が浮く感じがありました)、今年に入って浮いた感じがしたり痛むことが多くレント
ゲンをとったところ根の先に病巣がうつっており、また定期的に丁寧に根管の清掃(今年
にはいってから一ヶ月に4回から5回通院しておりましてその際毎回根管の清掃をして頂
いております。)をしておりました。
その後、何回かの清掃のあとレントゲンで確認したところ病巣は小さくなりましたが、
体調が悪いと歯が浮くような感じがあったり噛むと少し違和感があったり痛みました。
痛みはずっと続くというわけではなく、特に朝症状が顕著にあらわれそのあとは気になる
ほどの痛みはありませんでした。
私がアレルギー体質で、抗生物質や鎮痛剤でショックを起こしたことがあるので、主治
医の先生はこれまでお薬は使わず、手作業で清掃していただいていたのですが、これ以上
口径の大きい器具を入れると、歯そのものが耐久性がなくなったり割れたりするので消毒
剤(ホルマリン等)を入れる以外に治療法がないといわれました。
先生のホームページを拝見させていただき、消毒剤などかなり身体に影響があるようでど
うしたものか悩んでおります。もともと薬剤アレルギーがあり今度の治療で薬品を使うと
のことでとても不安です。
抜髄の時から現在にいたる根管の清掃の際に、排膿は一度もみとめられず、また根管は
汚れはないそうで先生には原因不明でこんなに予後が悪いのは珍しいケースとのことでした。
治療的には行き詰まりで、薬品をいれてよくならないときは抜歯とのことで落ち込んでお
ります。
是非、先生の御意見をお伺い致したく質問させていただきました。先生に責任を問うこと
は決してございませんので、どうぞいろいろと御教示頂きたいたいと存じます。なるべく
簡潔に書いたつもりですが何分素人でうまくお伝えできたかわかりませんがどうぞ宜しく
お願い致します。
私の既往症は
病気ではないのですが 1992年にカビキラーという洗剤で意識混濁になり薬剤アレルギー
と診断されました。その時に肝臓を一時的にわるくしました。また半年ほど微熱が続きま
した。その時の精密検査で僧房弁逸脱症がみつかり今は半年に一度心エコーの検査をして
おりまして特にお薬は服用しておりません。
1994年に親知らずの抜歯の時に皮内パッチテストでホスミシンで発赤の反応がありました。
またロキソニンで血圧低下がありました。抗生物質のコスモシンの点滴でショックになり
ました。蕁麻疹の治療で抗アレルギー剤のセルテクトを一ヶ月服用してアレルギー性肝炎
になり服用中止となりました。
いろいろとありましてわかりにくいかと思いますが、何卒宜しくお願い申し上げます。
初めてで不躾で恐縮ですが、心中お察しくださり御意見いただけたら幸いでございます。
アレルギー体質ということは、単に薬剤に対して過剰反応を起こすということだけでなく、
炎症を起こすべき原因が存在した場合、普通の人なら炎症が成立しない程度の量であっても
炎症が起こってしまいます。
従って、炎症根管清掃および根管充填をより完璧に行わなくてはならないと思います。現状
でリーマなどによる機械的清掃が完璧であるという認識であれば早々に根管充填すべ
きだと思います。現在毎回行なっているという清掃がどのようなものか分かりませんが、その
際に使用する薬剤の刺激、また充填しないで空洞になったままという条件は通常では炎症を
起こすほどのものではないはずですが、アレルギー体質のあなたにとっては炎症成立を許して
いるのだと思います。
一般には炎症成立は細菌の存在という解釈ですので、より強力な殺菌剤を使用しようとす
る傾向に向かいます。私からみて、その際使われる薬剤はホルマリンをはじめおよそ生きた
生体に使用すべきではない恐ろしい薬剤ばかりです。
アレルギー体質で抵抗力の弱いあなたには、とても耐えられないのではないかと心配です。
私の考える炎症は、細菌の関与は当然ですが炎症を起こす引き金である異物さえないよう
にすれば炎症は成立しないという発想です。この場合の異物とは、根管内に残った汚物とか
根管内に侵入して腐った血液などで、場合によっては刺激の強い薬剤なども含まれます。
口腔内に生存している細菌は、所詮排除きれるものではないけれども異物さえない状態に
してやれば炎症は治まります。
言葉をそのまま信じるならば、丁寧に根管清掃されたということですので、綿密な根管
充填を行って経過を見るべきだと思います。少なくとも余計な薬剤を使って症状をこじらす
よりははるかに望みが大きいのではないでしょうか。
先生のお考えでは、抜髄後は即充填とのことでしたが、私の場合一年近くそのままで心配
ですが今からでも十分間に合うのでしょうか?
実は、今度の金曜日の治療で薬品を入れるかもしれない(主治医の先生の御説明では薬品を
いれても予後が100%良くなるわけではなく、かえって痛みがでたりする場合もありあくまで
も補助的な治療とのことでした。)といわれていたのですが、先生にこんなに早く御返信いた
だき本当に心から感謝しております。
主治医の先生に失礼になるのではないかと切り出すのは勇気がいりますが、がんばって相
談してみたいと思います。おいそがしい中、御教示頂きまして本当にありがとうございました。
またどうぞ宜しくお願い致します。
回答:
本来根管充填材は生体親和性の良さを追及すべきだと思いますが、そのような趣旨で開発
されて有効と思われる製品はありません。親和性に関してはキャナルスNという商品が、良い
とされていますが、まぎれこんだ血液に弱く実用上はかえって親和性を損なってしまいます。
その点、一般的に使われているキャナルスの信頼性の方が高いと認識しております。私の医院
でも、キャナルスと類似した開発途上の充填材を使用しています。
反対に望ましくないと思われる根管充填材は、薬理効果をうたい文句にしている充填材です。
FR,カルシペックス、ビタペックス、カルビタールなどがこれに該当します。色々と充填材
の名称を並び立てておりますが、通常1医院にはせいぜい2〜3種類ほどしか常備していませ
んので(私の医院には1種類だけ)選択の余地はほとんどありません。
まぁまぁ、こじらせてから充填しないで即刻充填すべきというのが私の意見ですが、清掃・
充填操作が完璧であれば遅ればせながらでも間に合います。
4月19日 ML WL15.5mm #40まで拡大
4月23日 ML 15.5mm #45
D #70まで拡大
とカルテには書かれておりました。
主治医の先生のお話では、根管の一本は開放?しているとのことでした。
河田先生に、充填剤はキャナルスが最適とお薦めいただき、もう一度先生にお願いしたいと
思っております。それで、今一度、根管の充填の理想的な手順と治療工程を詳しく教えて頂
きたいと思います。
また、左上の6番と7番の知覚過敏にも長いこと悩んでおります。
治療はフルオロボンドを塗布していただいているのですが、塗布していただいた後のうがい
で水がしみて、効果は?です。知覚過敏の治療工程も御教示頂けたら幸いです。一度にいろ
いろとお伺いしてすみません。何卒宜しくお願い致します。
感想:
河田先生のHPを見つけて、時間の許す限り拝見させていただいております。
素人で治療経過が思わしくないときにいろいろとお伺いして、おいそがしい中丁寧に御返事
を頂き、心から感謝しています。
回答:
「詳しく…」はご勘弁ください。一冊の本になってしまいます。
4月23日 ML 15.5mm #45
D #70まで拡大
はいいけど、そこまでたどり着くのに何日も経っているのは、一般的でもあるかもしれないけ
どとんでもなく違和感を感じます。根管充填と全部あわせて1日でできるものを、何を考えて
治療しているのかとね。治療に対する考え方が私と全く異なりますので、それをメールで変え
ることは不可能です。担当医の治療方針を信じてそのまま治療を続けるか、異なった治療方法
を行なう歯科医に転医するかのどちらかです。
知覚過敏の治療方針にしても、私だったら徹底した歯石除去から始めますが、それをその
先生に求めても無駄でしょう。「歯石除去なんかしたら、もっと滲みるようになる」と言われ
るはずですので、知覚過敏発生のメカニズムや事例を挙げて徹底討論でもしないと理解してい
ただけない…おそらくそれでも無理でしょう。