まずは抗生物質軟膏の注入と抗生物質の内服でしょうね。

化膿止めは使わない

日付、時間:2004年4月21日 6:31  氏名:  E.M   
所在都道府県:  香川  職 業:  会社員  年 齢: 44歳      性別:  female 

化膿止めは使わない 質問:
 抜歯後の状態について、質問させて頂きます。よろしくお願い申し上げます。
下右の6番の歯は15年前に治療しクラウンをかぶせてあったのですが、何の前触れもなく、 突然クラウンがはずれ、受診したところ、う蝕第4度で抜歯しかないとの事でした。歯に痛 みもなく、体調も普通の状態で、4月15日に抜歯したところ、抜歯に30分以上時間がかかり、 医師もかなり力がいったようで、首への負担もかなりありました。出血が少なく傷の治りが 悪い可能性があると説明を受けました。抜歯後すぐから24時間経過するまで激烈な痛みが頭、 耳、歯茎、首全体にあり、しゃべる事も出来ない状態が続きました。
 2日目にザクザクする痛みになり、起き上がることができ、3日目から何とか日常生活はこ なしていますが、それ以降今日まで痛みの程度は変わらず、鼓動に合わせて歯茎と周辺の歯 が浮いたような感じで痛むので、階段を上るとか早めに歩くとかはできません。抜歯後2日目 に37.5度の熱が出ましたが翌日には解熱しました。痛みで食事が摂れなかった事もあり、2日 目に2.5Kg体重が減りました。3日目の朝、頬に昨日までなかったシミができていました。
 ほぼ毎日消毒のため受診していますが、痛みが取れるのには時間がかかるとの説明でした。 骨にばい菌が入ると長引くので注意して下さいといわれましたが、具体的にどうすればよい のか聞くと、どうしようもないとの事。傷が化膿しやすい体質なので、イソジンで口をすす いでいる旨を告げると、それで良いとの事でした。

 3年前に他の歯科で、左上7番を抜歯した際は、短時間で抜歯が終わり、我慢できる程度の 痛みで、翌日には痛みもひいて日常生活に戻れたので、それと比べて今回は何が違うのか、 この痛みは、本当になくなるものなのかと心配です。医師に質問すると、時間が経てば痛み はとれるとの返答で、化膿止めは害があるので使わない方針との事。傷跡はまだへこんだ状 態で白く膿んだように見えます。抜歯から1週間が過ぎようとしていますが、痛みの止まった 状態がないので、仕事もこなしきれず、日常生活にも支障があります。
 このまま消毒だけの処置でこの歯科に通いつづけて様子をみるしかないのか、それとも今 の時点で何かとるべき処置があるのなら他の歯科を受診した方が良いのか。正直なところ、 今の医師に不安を感じ始めています。今の状態が異常なものなのか、それとも正常な範ちゅ うなのか、私には判断できないので、アドバイスをいただければと思い、ご連絡をさせて頂 きました。
 実は、昨夜は市販の痛み止めを飲んで少し楽だったので、たまっていた用事も済ませ、寝 不足も解消できると喜んでいたのですが、明け方にズキズキする強い痛みで目が覚めました。 薬がきれると、また同じ状態なのかと辛くなりました。毎日、痛みで寝つきが悪くずっと寝 不足の状態です。同じ眠れないならと、起きて先日から見つけていたこちらのHPに質問を書 かせていただいた次第です。どうかよろしくお願い申し上げます。

  回答
 最終的に治癒のない抜歯はありませんので過度な心配は無用です。まぁしかし、その痛みが 尋常ではないことだけは確かでしょうね。その原因が過度な外科的侵襲によるものか、歯石の 埋入や歯根残存のような原因が存在するのかはわかりません。歯根残存など思い当たるものが あれば、何らかのリアクションがあると思いますので、おそらく過度な外科的侵襲だろうと 想像いたします。

 最も考えられるのはドライソケットですので、まずは抗生物質軟膏の 注入と抗生物質の内服でしょうね。確かに抗生物質に限らず胃を荒らすなどの副作用はありま すのでむやみに服用させることには問題があるかもしれませんが、明らかに炎症を起こしてい るものに対して有効な処置を講じないことはもっと大きな問題だと思います。
 とにかく他の医院に行って、抗生物質軟膏の注入と抗生物質の投薬を頼んでみられてはいか がでしょうか。


返信:2004年4月22日 15:30
 さっそくのお返事をありがとうございました。
個人メールはダメとあり、このメールもお送りするとご迷惑になるのかと心配ですが、感謝の 気持ちだけでも先にお伝えしたくて、ご連絡差し上げます。ありがとうございます。すぐにお 返事がいただけて、とても嬉しかったです。痛みをわかっていただけた事が、すごく心の支え になりました。


返信:2004年4月27日 10:17
 2004年4月21日6:31氏名:E.M「化膿止めは使わない」で、掲示板に掲載して頂いた者です。 「最終的に治癒のない抜歯はありません」という、先生のお言葉に、どんなに安堵したか、 精神的にとても楽になりました。さっそくのご回答、ありがとうございました。その後の経 過のご報告と、新たな質問をさせて頂きます。すみませんがどうぞよろしくお願い申し上げ ます。
 先生のご回答に納得して、別の歯科医院で診察を受けたところ、先ずレントゲンを撮り、 抗生物質軟膏の注入と抗生物質の内服を受けました。やはりドライソケットとの事でした。 さらに驚いた事には、レントゲンに取り残した歯が写っていたのです。今の炎症がおさまっ たら抜きましょうと言われました。抜け難い場合は歯茎を切って取り出すとの事で、前回 の抜歯の苦しみと、仕事も手につかなかった1週間は、全て無駄だったのかと、辛くなりま した。そこで、質問なのですが、この、残った歯は抜いておかないといけないのでしょうか。 掲示板の事例を拝見すると、取れなかった歯については、問題を起こすまで様子を見てもい いのではないかというご回答が多かったようです。私の場合は、骨からは外れていて、抜き 出す途中で折れて残ってしまったようです。最初に注入した薬剤もレントゲンに写っていま した。今の先生には、抜くように言われています。
 もう一度あの痛みを我慢して抜いて、すっきりさせてからブリッジをかけるか、このまま にして、引っ掛けるタイプの義歯で様子を見るか、と迷っています。次回の痛みがどの程度 のものになるのか、予想がつかない事が迷う要因になっています。
引っ掛けタイプの義歯がどの程度不便なものかは、経験していないのでまだわかりませんが、 何年かかってでも、残った歯がいずれ体内に吸収されるものなら、その後にあらためてブリ ッジをかけるのでもよいかなと思うのですが。たくさんの事例を経験(歯を取り残した経験 のない事は存じております)、見聞されている先生でしたら、どちらを勧められるでしょう か。ご意見を頂けると大変嬉しく思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

感想:
 掲示板を始め、情報量の多さに驚いています。先生の豊富なご経験と、先生のところに集 まってくる多くの事例を公表される事で、私のような迷える患者がどんなに救われることか。 また、他の歯科医療に携わる方々の、限られた経験を補う良いバイブルとなっていると思い ます。先生、どうかお体を大切になさってください。ありがとうございます。

回答:
 残った根っこに神経などの有機質が全く残っていない、もしくは存在しても少量であれば 異物性がないので骨に取り込まれるように一体化していきます。有機質の量が多いと腐敗し て異物となりますので、炎症を起こします。炎症を起こせば、周囲の骨を破壊しますので、 いよいよ除去する場合は比較的容易に除去できます。
 まぁまぁ結果オーライというケースが多いようには思いますが、だからといって専門家の 口から取らなくて大丈夫とは絶対に言えません。現実に後々炎症を起こして改めて抜歯しな くてはならないケースも少なからずあるからです。それを専門家が大丈夫なんて言おうもの なら裁判沙汰にもなってしまいますものね。

 ちなみに私の場合とり残したことはありません。自信の塊みたいな私でさえ取りきれない 根っこがもしあったら「ダメですあきらめて下さい。もし何かあったらその時は除去しやす くなっているはずですのでその時とりましょう」というでしょうね。
 他の医院で取り入れなかった例は時おり見かけます。何事もないのが多い反面、何事かある ようだとたいてい簡単にとれますね。「すごい!前の先生は何時間もかかってダメだったのに」 なんて言われて結構いい思いもしていますよ。

 最近の価値観からすると、インプラントが植えれる状況であればインプラントを優先します。 ブリッジは間違いなく周囲の歯を傷めます。入れ歯も結構結果が悪いのと、違和感がきつくて なかなか患者さんが入れてくれないので歯の傾斜や移動による弊害が生じます。インプラント が万全というわけではありませんが、他のどの方法よりも優位であることは確かです。


返信:2004年4月27日 22:18
 2004年4月21日6:31氏名:E.M「化膿止めは使わない」で、掲示板に掲載して頂いた者です。 その後のご相談にも即答下さいまして、本当にありがとうございます。先生のご回答で安心し ました。残った歯は、このまま様子を見たいと思っています。その後の選択は今の歯科医とも 相談しながら検討していきます。
 また、毎月の歯石除去とメンテナンスは、今の歯科医院で行ってくれるとの事なので、これ から実行していきます。これ以上、歯を失わない為に努力します。今回のことでは、いろいろ 気づかされるところがあり、親からもらった歯を(体も)もっと大切にしなければと反省し、 実家の母にもそう伝えました。同時に、娘の歯にも、正しいケアをしてやりたいと思っていま す。いろいろ教えてくださって、ありがとうございました。