上顎の7番が挺出してくるという問題以外は大きな問題はありません。

下顎7番の根管治療

(カナダ)

日付、時間:2004年5月12日 2:45  氏名:  KR   
所在都道府県:  カナダ  職 業:  主婦  年 齢: 35歳      性別:  female  

下顎7番の根管治療 質問:
 河田先生、去年の夏頃にこちらのサイトで根管治療などの事につい てご丁寧にいろいろとアドバイスをいただきまして、大変お世話になりました。ちょう ど1年ほど前にまとめて虫歯の治療をして以来、いまだに歯の問題に悩まされております。
 はじめての根管治療をした時は、とても痛みがひどく、2度歯医者さんに行って、特に何 もしてもらえないまま帰宅。あまりにも痛く、腫れもひどくなったため、歯医者さんではな い普通のクリニックにて抗生物質をもらってひどい痛みが引き、その旨説明してようやく3 度目の通院で、レントゲンを撮り根管治療が必要と判断されました。その時はその歯医者さ んで、根管治療(7月・左下6番)してもらいましたが、その後、また別の虫歯治療をして もらった歯が痛みだし、相変わらず診察してもらっても、何もしてもらえず、いろいろな面 で不満を感じた事、痛みがひどくて我慢に限界を感じ、友人から腕の良い歯医者さんを紹介 してもらい、そちらで根管治療(9月・右下7番)していただいて以来、その先生にお世話 になっています。

 前の歯医者さんでは、根管治療をした後に何も説明がなかったのですが、現在お世話にな っている歯医者さんでは、根の状況を説明してくれたり、また根管治療後は、歯がもろくな るので、少しでも長持ちさせるためには、クラウンが必要だと言う事も説明してくれました (前の歯医者さんでは、クラウンの事も何も言われませんでした)。
 この9月に根管治療してもらった歯は、腕の良い先生でもてこずってしまった困り者の歯 で、根っこが3本ある内の1本は普通、もう一本は少し細め、そして最後の1本はかなり細 く、17年の歯医者さんとしての経験の中でワースト3に入るくらいの難しい治療だったと の事です。そのため、通常は1時間程度の治療を、2日にわけて2時間ずつ(計4時間)か けての治療でした。

 治療も無事に終了し、前の歯医者さんで根管治療した歯も含めてクラウンをする必要があ ると言う事と、その前に右下7番に隣接した親知らずが斜めむきで先っちょしか出ていない 歯だったので、クラウンをするまえに、その親知らずを抜きましょうと言う事になりました。 ただ、その後日本への里帰りと、毎年年末に入る仕事の関係で、抜歯とクラウンをするのは 年明け早々にして欲しいと伝えました。
 そして、年末年始にかけて、前の歯医者さんで治療してもらったまた別の歯(左下5番) が痛みだし、顔がぱんぱんに腫れ、年明け早々この歯の根管治療、そのため予定より少し遅 れて2月に親知らずを抜き、3月に左下5番と6番にクラウンをかぶせました。前置きが長 くなりましたが、これからが問題です。4月に残り最後の右下7番にクラウンをかぶせるた め、型を取る段階で、先生が歯茎に小さな出来物を発見して、作業を中断。私は痛みも感じ なかったので、気が付かなかったのですが、あまり良い兆候ではないとの事で、レントゲン を撮ったり、中の詰め物を取って検査をしてもらいました。

 先生は、もしかしたら根っこの洗浄がちゃんと出来ていなかったのかもしれないし、又は 見逃した根っこがあったのかもしれない可能性があると思って調べてくれたのですが、きち んと処理もしてあったし、見逃した根っこも無かったと判断。しかし、歯茎の出来物の原因を つきとめるためにも、根管治療専門医に検査してもらいましょうとの事で、手配してくださり、 昨日その専門医に見ていただきました(ちなみに今まで痛みを感じなかったのですが、一度 中の詰め物を取って調べてもらってから、歯茎に少し痛みを感じるようになりました)。
 専門医が言うには、可能性として恐らく根っこにバクテリアがあって、それが底から漏れて いるのだろうとの事。そして、ちょうど出来物が出来ているあたりの私の歯周ポケットの深さ がなんと11ミリもあると言う事を知らされました。そして、この問題に関して出来る選択は 2つ。選択1として、根管治療を再度試みる。もし上手く行けば、クラウンをつけてめでたし、 めでたし。もし上手く行かなければ、抜歯。選択2として、時間とお金の節約と言う事で最初 から抜歯をする。奥歯なので、歯が無いことを人から気づかれる事もないが、もし奥歯が無い ことに違和感を感じたら、その後インプラントと言う選択もある。と言う事でした。

 専門医によると、私の歯周ポケットがあまりにも深いと言う事もあり、根管治療をしても良 くなると言う約束は出来ないし、可能性としては良くなる可能性は高いとは言えないとの事。 でも、望みは全く無いと言うわけではないので、もし私がどうしても歯を残しておきたくて、 いちかばちかのかけをしてみたいと言うのであれば根管治療をするし、もし時間とお金の無駄 だと思えば抜歯するしかないと言われました。
 私としては、出来れば歯は残しておきたいと思うのですが、治療してもし上手く行かなかっ たら、又は上手く行っても長持ちしないで高いお金をだしてクラウンをしても結局は数年後に 歯が抜けたら、、、と思うと今の段階で歯を抜いた方がいいのかな、、、とも思ったりします。 またインプラントについてですが、私の食習慣では、ステーキや肉の固まりを食べたりする訳 ではないので、奥歯がなくてもそれほど不自由することはないでしょうか?
河田先生は、奥歯のインプラントについては、必要がある(又は無い)とお思いになりますか?
根管治療を再度してみる価値はあるのかどうかと言う事とあわせて、アドバイスいただけたら 幸いです。長文で失礼いたしました。最後までお読みくださってありがとうございます。

感想:
 こちらのホームページは本当に充実していますね。カナダ在住のため、英語での歯医者さ んとのコミュニケーションを理解すると言う事は難しいですが、こちらのホームページを参 考にして、理解するのに大変役立っています。同じく歯の事で悩んでいるカナダ在住の日本 人の友人にもこちらのホームページを紹介しました。又、河田先生のリサーチなどについて、 アメリカ人の友人に話した際には、とても興味を示していました。

回答
 “根っこにバクテリア”って世界的にそんな解釈のようですねぇ。困ったモンです。 そんな考えだから治るモノも治らないという世界的傾向のようです。
確かに難儀した根管治療ですので、しかも最善を尽くしたあと、更にそれ以上の完成度が高い 治療ができるかというと大いに疑問が残ります。従って改めて根管治療をしてもダメである 可能性は或る程度覚悟しておかなければならないでしょう。でも、最善を尽くす意味では一度 であきらめないでせめてもう一度は挑戦してみるべきでしょう。それと所詮完璧な治療など あろうはずも無いので、多少違和感程度の問題があったとしてもむやみにそれ以上を望まない で使える所まで使うという妥協も必要です。

 最終的に抜歯となった場合の対処ですが、上顎の7番が挺出してくるという問題以外は 大きな問題はありません。下顎7番1本だけの欠損であれば、私はインプラントをお勧め いたしません。


返信:2004年5月12日 14:26
 河田先生、お忙しい中、早々と私の質問に対する貴重なアドバイスを大変ありがとうござ います。上手く行かない可能性があると言う事も受け入れつつ、1度だけであきらめず、もう 一度挑戦してみてはと言うご意見、とても励みになりました。またかかりつけの歯医者さん とも話をして週末くらいに決断しようと思っています。