レントゲンに写る病巣の縮小を待つとは愚かなことです。

感染根管の治療

日付、時間:2004年5月26日 14:19  氏名:  さより   
所在都道府県:  神奈川  職 業:  自由業  年 齢: 39歳      性別:  female  

感染根管の治療 質問:
 はじめまして。私は現在アメリカに住んでおります。海外での神経治療とクラウンは 治療費が莫大なため、日本に帰国した折に歯科にかかるようにしています。 現在、日本帰国中で限られた時間内で左下6番の感染根管の治療をしています。15年程前 の根管治療の不備による根尖部の炎症で、現在再治療を始めて4週間になります。再渡米 しなくてはならない日が3週間と迫っているのですが、まだ鈍痛がとれず貼薬を入れ替え ては根管内を清掃している日々です。痛みのひどいときには抗生物質と消炎剤も服用して います。

    ここで質問なのですが…
  1. 先生は即根充を提唱していらっしゃいますよね。貼薬はまったくお使いにならないので しょうか?
    症状やケースによって違うと思いますが、効果的な貼薬の種類があればおきかせください。 また貼薬をたびたび変える必要はあるのでしょうか。というのも、私の場合、3MIXを いれ少し調子がよくなった後に今度は水酸化カルシウム製剤(カルシペックス等)に入れ 変え、その刺激のせいか再度また腫れや痛みがぶり返す、などということも起こっていま す。目覚しい症状の改善(レントゲンに写る病巣の縮小、かすかな出血、膿)がないため、 貼薬の種類を時々変えて様子を見るのだろうと察するのですが。
  2. また改善はしていても完全に疼痛、歯茎の腫れがとれない時点で、帰国の期限切れとな った場合、根管充填してもかまわないものでしょうか。先生のように海外の歯科もほとんど 即根充(もしくは一度の貼薬後)を遂行しているところが多いようです。ということは、病 巣が消えない段階でも、機械的清掃さえ完璧であれば、炎症や病巣が次第に薄らいでいく、 ということでしょうか?
    先生の経験では(ケース次第でしょぅが)平均どのくらいの期間で好転するものでしょう?
  3. 最近の効果的な充填材、コアー、そして歯根端切開除術の効果性についてご意見がおあ りでしたら、渡米した際の参考にさせていただきたく思います。
  4. ニューヨークでの神経治療の歯科でご存知のところはありますか? 先生のご意見、アドバイスをうかがえれば幸いです。

回答
 基本的に即日充填ですので、イソジンで消毒する以外、いわゆる根管治療薬というものは一切 使いません。大学で教えられた根管治療薬の効果に疑問を持っていましたが、その呪縛から抜 け出すのに3年、そしてそれらが有害だと確信するまでに10年の歳月を要しました。開業して 23年になりますが、その間根管治療薬というものをほとんど使っておりませんので、どの薬が 有効であるかを全く知りません。というよりむしろ全て有害であるから使うべきではないという 見解です。

 目覚しい症状の改善(レントゲンに写る病巣の縮小)を待つとは愚かなことです。炎症を起こ すべき原因が排除されてから最低でも6か月は連と原因で確認できるものではありません。出血 や排膿は充填時の妨げになりますので根管充填を数日見送ることはありますが、それも根管内の 清掃がキッチリ終わっているからこそ改善するのであって、いつまでも改善しないということは 根管内の清掃(機械的清掃:リーマなどによる根管内汚物の完全除去)が不十分である証拠です。 そこにもってきて、有害と思える様々な薬剤を塗りたくるものですから治るものも治らないという 状況みたいです。
 機械的清掃が完璧であるという自信があるならば、速やかに根管充填を行なうべきです。清掃 と充填が完璧であれば速やかに症状は改善します。直後の3日を除いて約1週間くらいが、症状 改善の目安です。レントゲン的回復確認は約6か月以上先。

 コアは例え少々外れやすくとも、あまり強固にするべきではないという考えです。それは、 完璧な根管充填など稀なことで、再根治というものをある程度念頭に置いておく必要があるから です。歯根端切除にいたっては、全く否定。


返信:2004年5月27日 10:39
 2004年5月26日の質問、回答に関する返信です。

貼薬、コアーのご意見、大変参考になりました。アメリカの”信頼できる”歯科が同じよう な治療を行うことを考えると、先生の姿勢はとても進歩的で貴重なものだと思われます。 私の場合、日本と海外を往復する頻度が多いことを考えても、「コアは例え少々外れやす くとも、あまり強固にするべきではない」というお考えは、納得できる気がします。レン トゲンで確認できる回復は、6か月は要するのですね。気長に様子を見ようと思います。 お忙しいのに快く返答をいただき、ありがとうございました。