日付、時間:2004年6月24日 6:05
氏名: T.T.
所在都道府県: アメリカ
職 業: 主婦
年 齢: 40歳
性別: female
質問:
2ヶ月ほど前、ナッツを食べていて、中にとても固いのがあり、それを思い切り噛んでし
まいました。その時は、何事もなかったのですが、その後、あごの付近に不快感と口を開け
るたびに音を感じるようになりました。そして、右上下の歯に痛みを感じ始めました。右上
は多分第1または第2小臼歯、下は第1大臼歯だと思います。上下の歯とも有髄歯ですが、
下の大臼歯は大きなフィリングがあります。痛みといっても、何かを噛んだ時を冷たいもの
熱いものを口に含んだ時に感じるのではなく、四六時中ではないのですが時々何もしないで
圧迫感のような痛みです。
ホームドクターに電話で話したのですが、歯のひび割れを疑ったようで、すぐに歯内治
療医(Endodontist)を紹介されました。その歯内治療医は私も以前2度ほど神経治療にお
世話になった先生で、とても信頼できる先生です。その先生のところで、事情を説明すると、
先生は、レントゲンを撮ったり、あごを触ったり、アイスをつけたりし、また、棒をかむ、
くしのような器具をかんで急いで放す、といった検査をしてくれました。結局、レントゲン
に病巣やひび(レントゲンには出ないと思いますが)は現れず、他の検査でも痛みがなかっ
たため、先生もこれと断定できず、しばらく様子を見て、痛みが悪化するようであれば、再
院ということになりました。
その時に、私が「もっと痛くなってきた時には、ひびが大きくなっていて、抜かなきゃだ
めだということにはならないのか。」と訊くと、「そんなことはない。」と答えました。そ
の数日後、ホームドクターの所に、6ヶ月毎のクリーニングに行き、歯内治療医の診断を説
明すると、そのホームドクターは、「顎関節症ではないと思う。もしかしたら、神経がゆっ
くり死んでいるのかもしれない。」と言いました。
「ひび割れ」という可能性は十分考えられます。だけど確証が得られない限り手のほどこし様
がないのも現実です。もしひび割れがあったとすれば、日増しに症状がアラワとなり何れは簡単
に診断できる日も来るでしょう。ひび割れた位置とか形状により、抜髄とか抜歯という処置の
選択が行なわれることになりますが、その発見の早さによって処置方針が変わることはありませ
ん。「ひび割れ」の検査としては最善が尽くされたと思いますが、それでも発見できないことも
あります。
ナッツを食べたこと。あごの付近に不快感と口を開けるたびに音を感じるようになったこと。
右上下の歯に痛みを感じ始めたこと。これらの事実が必ずしも一つの糸で結ばれているとは限ら
ないように思います。ナッツが、元々あった顎の形状異常が症状を引き起こす引き金になった。
同じく問題を抱えた根管治療の症状を引き起こすきっかけになったというような考え方も成立す
るのではないでしょうか。
「もしかしたら、神経がゆっくり死んでいるのかもしれない」という意見が最も正解に近いよう
に思います。エーこの場合の処置としては、明らかな診断がついた時点で該当歯の抜髄という
ことになるでしょう。
感想:
先生のいろいろな角度からの考察には感心いたしました。また、一つ一つの質問に対する
丁寧なご回答には頭が下がります。
回答:
ひび割れがあれば、該当部分が膿をもって腫れてきます。1ヵ月経ってそのような症状が
ないとすれば、ひび割れはないように思います。顎関節の痛みは、顎の形態異常があって、
元々負担がかかっていたものが症状を現したものと考えられます。“何もしないでじーん
とするような圧迫感”というものに対して徹底的な歯石除去は行なっていますか。この手
の痛みで最も可能性が高いのが歯石沈着に伴う歯周炎です。