根本的な発想の違いがあるためにポイントの置き所が異なります。。

大きな根尖病巣

日付、時間:2004年7月13日 22:10  氏名:  ばらくーだ   
所在都道府県:  和歌山  職 業:  会社員  年 齢: 26歳      性別:   male  

大きな根尖病巣 質問:
 はじめまして。ばらくーだです。質問内容は根尖病巣の治療方法についてです。
今年の3月頃に鼻の下あたりの腫れを感じ、かかりつけの歯科医院に行き、右上2番を中心 とした大きな根尖病巣(親指大程)があると診断されました。その歯には大きな虫歯も無く、 治療もしていないことから、外部からの衝撃による神経の破断が原因である可能性が高いと のことでした。その日から、根管治療を行い、1ヶ月ほど通院したあと、根充を行い、しば らく様子を見ると言われました。2ヵ月半程経過しても症状に改善が見られないとの事で、 一度、大学病院で見てもらうように言われ、先日、大学病院に行ってきました。予想通り、 歯根端切除術を行いますと言われました。その際の説明もあまり納得できるものではなく、 レントゲンを見て、「根充が不十分な箇所があるように見える」と言いながらも、根切前 に再根充を行うかどうかも「どっちでもいい」などと言う始末でした。こうなると、以前 から、河田先生のHPを見ていた自分としては、益々手術が不安になり、今回、河田先生 に診てもらうべく予約を取らせていただきました。
<現在の病状>
かかりつけの歯科医院で根管治療を行った後の状態です。右上2番の親指大の根尖病巣は両 サイドの1番3番にかかっていますが、それらの神経は生きています。大学病院では、手術 の際、1番も切る必要があるかもしれないとの説明でした。2番は指で押すと他の歯よりも 若干動揺があるようです。日常生活で痛みを感じることはありませんが、指で触ると腫れが 確認でき、押すと少し痛みます。
<質問内容>
・上記のような状態ですが、根管治療で治る可能性はありますでしょうか?
・貴医院と他の歯科医院の根管治療の方法に差異があるのでしょうか?
・まだ診て頂いていないので、難しいとは思いますが、貴医院でも、私のようなケースで、 歯根端切除に至ったことはあるのですか?また、その予後は?
以上、長々と申し訳ありませんでした。お忙しいとは思いますが、回答よろしくお願いいた します。

回答
 私は口腔外科出身ですので、かつては歯根端切除を結構数多くこなしております。ところが、 几帳面(アバウトなくせに)な性格のせいか全て根管治療を行なった上で手術を行なっており ました。そのせいか、考えられない程成功率が高く自慢治療の一つでした。ところが、或る症例 がきっかけで、成功率の高さは根管治療のせいだということに気がついてからは、歯根端切除 というものは一切しておりません。ただ紛らわしい話ですが、根管治療後の病巣内に大量の 異物が存在する場合に根尖部掻爬術を行なうことはあります。 確率的には、1%程度でしょうか。

回答です。根管治療で治る可能性はあります。根管治療の方法の基本は他院と同じようなもの かもしれませんが「何故炎症が起こるか。どうすれば炎症を治めることができるのか」という 根本的な発想の違いがあるためにポイントの置き所が異なります。理論どおりの完璧な治療が できれば100%治癒するはずですが、実際の治癒率は90%くらいです。ダメな場合は、もう 一度根管治療のやり直しということになります。

初診時パノラマ
歯根のう胞
2|一見問題のない根管充填に見えるが…
歯根のう胞


診断:
 元々の原因は2|ですが、両隣の歯を巻き添えにしている可能性もあります。 2|の根管充填は一見問題がないようにみえますが、一番に疑ってみるべき存在 です。実際に治療してみると根管充填がスカスカ。少なくともこの歯にも原因があること だけは明白です。まずこの歯の治療をして経過次第では両隣も疑うという方針です。
 2|自体納得のできる治療ができましたので、まずはこれで様子を見て下さい。

報告:
 ご無沙汰いたしております。右上2番の根充をしていただいてから約3週間が過ぎま した。術後の痛みは全くありませんでした。5日間ほど抗生物質と化膿止の服用を続け、 特に問題ないようでしたので、その後は薬を飲まずに現在に至っています。数日前から あたりから、「また腫れてきたかな」と感じ、昨日から薬の服用を再開しました。この 段階で再度腫れてくるということは、やはり、隣の歯も原因となっているのでしょうか? 近いうちに診ていただいたほうがよいように思うのですが、いかがなものでしょうか?

回答:
 両サイドの歯に問題があるかもしれません。しかし今すぐあせって治療するのは禁物 です。特に疑わしいのは1|ですが、明らかな症状が確認されるまでは治療を見送 りたいと思います。今回の治療の結果がレントゲンで確認できるのは6か月以上先です。 それまでは我慢できる範囲の痛みであれば経過をゆっくり見定めた方が得策かと存じます。