常識的にはあと10年くらいは大丈夫です。

小さな病巣

日付、時間:2004年8月4日 12:56  氏名:   MK   
所在都道府県:  大阪  職 業:  主婦  年 齢: 36歳      性別:   female  

小さな病巣 質問:
 第1大臼歯の再根管治療について悩んでいます。
10年以上も前の治療で抜髄後、アンレーが被っています。検診してもらったと ころ、虫歯があり根管にも小さな病巣見られるので、再度根管治療をすすめられ ました。しかし、その際急性の炎症をおこす可能性が高いのでどうしますか?と言われ迷 っています。症状としては全く腫れや痛みも無いし、こちらのHPで河田先生も「寝 た子を起こさないほうが良い」とあったので、無理に治療しなくてもいいのかなと思って いるのですが・・・。

 実は子供を望んでいるのですが、このまま根管治療をせずに虫歯だけの治療をした場合、 妊娠中に病巣が大きくなって痛くなるのではと心配しています。特に妊娠中に急に症状が 悪くなることはありますか?
また、急性の炎症とはどのようなものなのでしょうか?
それは、一時的なものであって根管治療には支障ないのでしょうか?
どちらのリスクを選択すべきか本当に迷っています。よろしくお願い申し上げます。

回答
 全く何事もなければそのまま放置ですが、むし歯の治療はしておくべきとなればこの 機会にと悩むのは当然の状況ですね。でも結論から言えば根管治療には手を触れない方 が良いでしょう。但し、何時か必ず治療の必要な時期がくるはずですので、その時に 備えて、除去しやすい構造(例え外れやすくとも)を選択すべきです。

 根尖病巣の成長は、根管治療および根管充填の精度によって決まります。抜髄直後から 数年間根管治療が長引いたとか、抜髄後わずか数か月で根尖病巣ができたという事例が多 い中、抜髄後10年以上経過して小さな病巣、しかも全く腫れや痛みも無いという根管治療 は成功のたぐいです。おそらく今後も妊娠の有無に関わらず、その延長線上に病巣が成長 するであろうことは予想されます。常識的にはあと10年くらいは大丈夫です。何が起こる か分からないという非常事態を想定すれば1〜2年で症状を現すことだってある反面、20年 間成長が滞ることもある状況です。今の歯科治療レベルでは80点くらいの治療だったと いえます。平均点が50点であることを思えば上出来です。
 それに対して(失礼ですが)50点くらいのレベルで治療されたら帰って寿命を縮めてし まうことが懸念されます。“その際急性の炎症をおこす可能性が高いのでどうしますか?” というのはその時に備えての予防線です。90点の治療をする私も同じ予防線を張ります。 そして、いよいよ急性炎症を起こしたり治療の必然性が切迫したときには治療しますが、 今は見送りましょう。ついてはその時に治療し易いように、多少脱離し易いかも知れませ んが軟弱な土台にしておきますという説明で上部構造だけの治療を行ないます。ちなみに 急性炎症を起こせば歯茎が腫れて痛いということになります。また、根管治療に伴うリス クや治療の難易度はトータル的には今も10年後も同じです。