日付、時間:2004年9月14日 14:18
氏名: mitamura
所在都道府県: 兵庫
職 業: 医療関連
年 齢: 25歳
性別: female
質問:
はじめまして。
根尖病巣について検索をしましたところ、貴院のHPがヒットし、拝見させて頂きました。
病院で説明してくださらなかったこと等も詳細に説明されており、大変ありがたく思います。
銀歯をとったことが幸いしたのか、その後3日ほどで痛みも治まり、現在は歯茎の腫れもだ
いぶん治まっているようです。歯を抜いて親知らずを移植することで問題がなくなるなら・・
・と思い、移植に前向きに考えていたのですが、調べてみたところ、移植をしても結局また抜
く事になるような・・・。それなら、なぜ移植をする必要があるのかよく分かりません。たと
え数年だけでも移植という手段をとった方が自分にとって良いのでしょうか?
(担当医からはただ移植を・・・と言われただけで、数年後に再度抜くことになる可能性があ
るといった説明等は一切受けていません。そこら辺も少し疑問に感じました)
前回の時に、「様子を見ることもできる。」とは言われたのですが、抜歯はもう少し後に
していただき、再度銀歯を作って頂いてしばらく様子を見た方がいいのか、主治医に言われ
た通りこのまま2本を抜歯し、移植をした方がいいのか、それとも他に手段があるのかどうか、
河田先生から見てどう思われるかご意見をお聞かせ頂きたいです。
お忙しいところ、大変お手数をおかけいたしますが、一つのご意見としてお聞かせ頂ければ
幸いです。
医療関連という職業柄か、何とはなく親しみのある論調ですね。もしもの為に親知らずを残
しておいたのが正解というか、それ程歯科医にとって神経を取った歯が信頼できない歯だとい
うことを歯医者自信が十分承知していることを裏付けるような経緯です。その延長線上に考え
て移植…即ち抜髄の上場所を移動した歯の運命も計り知れてモノと考えるのが妥当ではないで
しょうか。まだ25歳ということですので、もし抜歯が必然とするならば、抜歯してそのまま
放置しておくことをお勧めいたします。数年の歳月を経て、親知らずは若干傾斜しながらも
7番位置に移動して代替品として十分な機能を果たすであろうことが想定されます。
移植しても必ずしも5年とは限りませんが、現実問題として「抜いても代替品があるから」
という慰め程度の処置であって、実態を知っている者として移植は決して無条件にお勧めで
きる方法ではありません。それよりは、自然な移動を期待してそのまま放置しておく方が
確率的には高い信頼感が望めます。
かつてインプラント(人工歯根の移植)が不安定であった時代、とか骨量の関係でインプ
ラントが不可能な症例に関しては歯牙移植も有力な選択肢だと思います。それしか方法がな
いケースもあるので全てを否定することはできませんが、一般的な方法でないことだけは
確かなことでしょうね。第一保険制度にも取り上げられていないということは、一部のマニ
アックな治療方法だという位置付けだと思います。
マニアックな一人として、かなりの症例数を持つ私としても、今の価値観をもって選べば
一番選びたくない治療方法です。“抜くとするならばそのまま放置”ということですが、
根尖病巣があるから抜くという短絡的な発想には同意できません。まずは最善を尽くして
根管治療による回復を目指すべきだと思います。