手術も矯正もしない、ただひたすら歯石除去を繰り返すのが最善の方法だと思います。

ポケットの深さが8-9mm

(カナダ)

日付、時間:2004年9月28日 14:12  氏名:   山谷   
所在都道府県:  カナダ  職 業:  その他  年 齢: 44歳      性別:   female  

ポケットの深さが8-9mm 質問:
 始めまして。カナダからの質問です。今 ガムスペシャリストから 歯茎の手術を受け るように言われて悩んでいます。 左上の六番で 七、八番は既に抜いてしまって有りま せん。診断によると ポケットの深さが8ー9ミリも有るとの事で クリーニングではと どかないので手術が必要だとの事。ただこれだけ深くなっている為 手術しても完全に治 す事は出来ないが 4ー5ミリ位に浅くする事が出来るので その後はクリーニングで届く ようになる、と言うのが 医師の説明でした。
 この歯は何年も(十何年も?)前に神経をとってクラウンを被せて有ります。ポケット がそんなに深い割には 一度も痛んだ事も腫れた事も無いので突然の診断にびっくりして いますが 始めにこれを見つけたのは 歯科衛生士で その後スペシャリストに紹介された ので 間違いではないと思っています。また、今矯正を始めていて もうすぐこの奥歯に も矯正器具をつける事になるのですが ガムスペシャリストの意見だと この歯茎の状態 では 器具をつけると歯が持たないだろうとの事。手術をして歯茎の状態を直してから 矯正するべきと主張しています。
 ただ 痛みも腫れも無いのに手術する必要が有るのだろうかと それだけ不安で 先生の ご意見を頂けたらと思います。どうぞ宜しくお願いします。

感想:
 カナダでは疑問が有って不安でも この様な親切なサイトが無いので このサイトを見 つけて本当に嬉しく思っています。実際 手術をするように言われた時には 歯茎の手術 とは何なのかまるで知りませんでした。医師もあまり詳しく説明してくれるわけではな いので どの位の心構えで臨むべきなのかもまったくわからず 不安に思っていました。 このサイトを見つけてようやくどんなものなのか 掴めて来た次第です。他の色々な人の 経験なども大変参考になるし 詳しく説明して下さるこの様なサイトはとても素晴らしい 物だと思います。お忙しい中沢山の質問に答えて下さる先生に 本当に感謝しています。

回答
 手術をするしないの前に、何の為にこの年で矯正するのかを考え直してください。 トータル6年くらいかけて矯正が終わった頃には、歯槽膿漏による末期状態に突入しはじ める年齢です。ましてや、既に歯槽膿漏に犯されている歯は一層寿命を縮めることが予想 されます。矯正よりも徹底したメンテナンスで、せめて健全な歯だけでも生涯残せるよう にする方がはるかに有益だと思います。

 さてその手術、原因が歯槽膿漏によるものか根管治療不備によるものかをもっと突き詰 めて見直す必要があります。そして、もし歯槽膿漏だとしても私だったらおそらく手術し ないでしょう。手術といっても結局は歯茎をめくって歯石をとるだけですので、麻酔をし て根性を入れて歯石除去すれば似たような結果が得られるはずです。ガムスペシャリスト ならそれくらいのことはできるはずです。要はそのあと、常に汚れがない状況を保つこと が重要です。汚れを取りやすい状況を作っても、何か月おきの歯石除去ではジリ貧です。 私の信念からすれば、毎月歯石をとり続ける以上に効果的な方法は存在しません。また、 それ以外の方法は何をしても満足できる結果が得られないという確信みたいなものもあり ます。手術も矯正もしない、ただひたすら歯石除去を繰り返すのが最善の方法だと思います。


返信:2004年9月29日 2:09
 早速回答のメイル どうも有難うございました。昨日カナダから質問した者です。先生が 何故今更...と思われている 矯正の件ですが、私の左上の犬歯は 子どもの頃は上の方の歯 茎の中に埋まっていてほんのり薄く透けて見える程度だったのが 20歳を過ぎる頃から表 に出だして だんだんと降りて来て 30歳位には 笑うとにょっきり見えるようになって来 ました。さらにだんだん伸びてくると 隣の歯との間に隙間が有るように見えるようになり 見た目に悪くて悩んでいたのですが 犬歯と言う事で どの医師も抜くのには反対、隣の健康 な歯(4番)を抜いて矯正するようにいつも言われていました。でも虫歯でない歯を抜くの に抵抗があったので 踏み切れずにいました。それが去年 そのまた隣の歯(5番)、治療済み でクラウンを被せて有ったのが 隙間から菌が入ったらしく 突然歯が取れてしまい 気が付 いたときには抜くしかないといわれて 抜いてしまったため 丁度良く隙間が出来たので 矯 正に踏み切る事にしたのです。
 歯並びが悪くていつも隙間から虫歯になるし その上反対交合で噛み合わせも非常に悪く て健康にも悪いので この際思い切って全部治すのがより長く自分の歯を使う為に良いだろ うと思って 矯正プランには反対交合の為の顎切手術も含めています。 更に“この年になっ て”と言う理由の一部には、 海外に住むようになり 日本にいたときにはそれほど気になら なかった歯並びの悪さがここでは大きな問題で有る事と、数年前迄ダンスの競技をしていた ので 矯正に踏み切れなかった事も有ります。もうこの年でと言われる年ですが まだまだ人 生先が長いと思うと ここで遂に今までの悩みを解消できると 何年もかかっても 顎の手術が 恐くても それでも頑張る甲斐は有ると思っていました。私の場合犬歯の件や 反対交合やら と 問題が多すぎて 表面的に美容上の見かけを治すのも難しく この様に根本的に治さない とならないという事も大きな理由ですし、また自分自身歯槽膿漏が有るという自覚がまった く今まで無かったせいもあります。  痛みも膿も無いので。 ただ 先生のお返事を頂くまで 矯正が歯茎の状態をそんなに悪く するものとは知りませんでしたので 今ショックで 戸惑っています。ガムスペシャリストに よると 下前の歯茎がとても薄くなっているので 歯茎を加えて厚くするための手術も必要と の事。 矯正医師によると この件は 顎を前に引き出す場合は歯茎へのダメージが大きいが 私の場合は 押し込む形なので大丈夫だろうとの事。手術が必要なら 矯正の後でも良いだ ろうとの診断なんですが 先生はどう思われますか?
これも不安になって来ました。この様に様々な理由が有るのですが 先生はやはり矯正は しない方が良いと思われますか?
また矯正に踏み切るなら 歯茎の状態を先にしっかり治すのが この年になって矯正する者 にとっては 歯茎にダメージを与えない、 歯の寿命を延ばす為にも絶対に必要な事でしょ うか?
矯正をした場合 先に先生がおっしゃった様な 麻酔をして月々クリーニングをする事は可 能ですか?
長くなってしまって申し訳有りませんが どうぞ先生の考えをもう一度お聞かせ下さい。 本当に感謝しています。

回答:
 過去にさかのぼった選択になりますが、犬歯にこだわりすぎる歯医者の価値観に間違って いると常日頃思っております。自分たちが治療と称して患者さんに行なう処置がどれほど 重大な損失を招いているかを考えている歯医者は少ないでしょう。“破壊者”と陰口をたた かれていることにもっと謙虚になるべきです。そんな歯医者を利用して歯の健康を保つため には、犬歯を抜いて毎月歯石を取ってもらう…その中で見つかった小さな虫歯をこまめに 治す(この治療だけは有効で信頼できます)ことを徹底すれば5番7番を失うこともなか ったし、6番や歯槽膿漏で悩むことはなかったはずです。
 では将来にむけてはどうでしょうか。考え方は過去も未来も同じですよ。外科的な矯正 は究極の美容整形ですから、得られるものもあるけれど将来失われるものも大きい。それ でも今を選択するかどうかです。その価値観と必然性は私には理解できないので、絶対に すべきではないと申し上げますがあなたの価値判断で決定してください。最後に誤解があ るようですのでもう一言。麻酔をして月々クリーニングではなく、麻酔をしてブロックに 分けて口腔内全体を歯石除去。そののちは麻酔をしないで毎月全顎の歯石除去です。矯正 装置を入れてから不十分な歯石除去をしても無駄。矯正を始める前に麻酔を使った全顎の 歯石除去を済ませておくべきです。