日付、時間:2004年10月5日 18:35
氏名: T.K
所在都道府県: 神奈川
職 業: 会社員
年 齢: 26歳
性別: female
質問:
はじめまして、相談させて下さい。小さい頃転んでしまい前歯(中切1)が1本か
けてしまいかぶせていました。大きくなったら差し歯にしたほうがいいといわれその
後その前歯を差し歯にしにいきました。
しかしその前歯の神経が少し残っているということで神経を取る治療をしたところ
その日の夜前歯の根が腫れてしまい大変なことになりました。その治療していた歯医
者さんではその治療のせいではないといわれ夜になっても痛くなる一方で救急で口腔
外科に運ばれました。その口腔外科で歯医者さんを紹介してもらい炎症がおさまった
あと結局歯茎をあけて膿をとる手術をしたところとりきれずまたしばらくするとはれ
てしまい手に負えないということで(歯茎の裏の方も膿んでいてとりきれなかったと
いうこと)、また口腔外科に戻りました。
口腔外科で歯茎を開けて手術したところあまりにも膿が大きくこのままとじてもま
た膿がたまるということでしばらくあけたところに詰め物をしてあけっぱなしにして
詰め物をだんだん小さくして骨が形成させるという手術をしました(一年くらい、詰
め物はしていました)。しかし、結局歯茎のなかの骨が形成されることがなく大きい
空洞があいている状態になりました。口腔外科の先生いわく膿が大きすぎたのでなか
なかうまらない、ということでした。
そしてその穴が埋まるかわからないがその前にまた膿がたまる(再発)可能性があ
るということです。再発したら最悪抜歯するそうです今も歯茎に小さな穴があいてい
て(目でみてわかる)歯茎の中は大きい空洞になっている状態です。(詰め物をとって
1年くらいたっています)レントゲンでは(中切1の上の部分)黒い状態になっていま
す。。(今は穴が開いているからか、炎症がないのかほとんど痛みません)
あたしはこのまままた膿がたまるのをビクビクしていなければいけないのでしょうか?
空洞のままで問題ないのでしょうか?
妊娠とかすると歯が炎症しやすいと聞いたことがあります。抜歯したほうが楽なんじ
ゃないかと思います。抜歯をしたら完全に治るのでしょうか?
他になにか完全に治る方法はないのでしょうか?
そちらにお伺いしたらなにかかわったりしないでしょうか?
長くて申し訳ありませんがご回答お願いします。
要は歯根端切除の失敗です。
根尖部の病巣は根管治療の不備が原因ですので、適切な根管治療なしにどう手術しても治る
見込みは全くありません。そこまでつつきまわった後ですので、今更適切な根管治療ができ
るかどうかはわかりませんが、可能性があるのは適切な根管治療ただ一つです。
最終的に抜歯をすれば必ず炎症は治まりますのでご心配なく。また、姫路まで来られても
適切な根管治療が不可能な状態であれば治りません。可能な状態であれば、かなりの確率で
治る可能性はあります。
回答:
現状がどのような形態のクボミかで、歯根先端部がどの辺に位置するかを診ていないので
問い詰められると困ります。異物である根管の処置を的確に行えば正常な治癒が期待できる
のに対して、大きな骨の欠損を作って異常な形態になったという点では失敗と断言して良い
でしょう。一方、骨を大きくくぼませてでも異物である根尖部分を体外に露出させるような
形で炎症を起こさせないもしくは起こし難くした?という観点からみれば結果オーライ的に
一応成功と言えるかもしれません。
回答:
基本的にくぼんだ骨は治りません。そのまま痛みもなく、くぼんだ部分も気にならないよう
ならそのままお使いになることをお勧めいたします。もし抜歯という決断がでそうになったら、
その前に根管治療を行なえば抜歯しなくて済むかもしれません。そして、抜歯もしくは根管治
療が成功したあとであれば、二次的にくぼんだ部分の再建手術という選択肢も生まれてきます。
感想:
いつも本当にありがとうございます。先生には本当に感謝しております。
回答:
私の医院に置いてあるインプラントで一番細いのが3.3mmです。4mm のスペースでは植立は
不可能です。両サイドに最低1mm づつの余裕は必要です。歯頚部で4mm ということは、歯冠
部分だと3mm 程度ということですか。中切歯でしょ。側切歯が重なって前か後ろに出っ張って
いるということでしょうか。余裕のある今の内に中切歯を削って隣の歯を誘導しておくとか、
何か工夫のしようもありそうにも思いますが、実際に診ないとどうにも考え様がありません。
感想:
いつも迅速かつ的確に質問に答えていただき本当に感謝しております。なぜ関東は人口密
度が高いのに河田先生みたいなお医者様がいないのかな?と思います。ほとんど隅から隅ま
で読ませていただきました。ほんとにすばらしいホームページだと思います。これからも自
分の歯のためにも勉強させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
回答:
“菌が入って炎症をおこす”という考え方は止めましょう。口腔内ですので、細菌は何処
にでもいますが、異物の存在しない場所では化膿することはありません。ところが生体内に
異物が存在すれば、その異物性の量や強さと生体の抵抗力の強さに比例して炎症を起こしま
す。異物が全くなければ生体抵抗力に関係なく炎症は起こりません。つまり抜歯すれば、異
物は根こそぎなくなるので二度と炎症をおこしません。抜歯は当然極力避けたい選択ですの
で、歯を残したまま異物を排除するというのが根管治療です。
切開(手術)して膿を出しても異物は残りますので根本的に治ることはありません。しか
し、偶然にも?異物の量が減ることもありますのでやや改善したかのように見えることもあ
るでしょう。従って根本的な治癒を目指すならば的確な根管治療しか方法がないわけですが、
一度根尖部分を切り取った根っこに対して、的確な根管治療ができるかどうかは実際に治療
してみないと分かりません。また、その前に歯根破折リスクというものも当然伴うわけです
が、破折頻度は言うほど高くはありませんが、割れてしまったら抜歯しか選択の余地はあり
ません。
見た目の確保という観点から申し上げますと、過去に急遽抜歯という経験が全く?ないの
で普通は残った歯根に即日仮歯を作ります。もし抜歯したとしても臨在歯に直接接着する
仮歯を作ることも可能ですので時間さえあれば何とかなるでしょう。後の補綴的な処置は地
元で行なうとして、基本的な通院回数は1回です。というか、診療椅子に5時間以上座って
いただけるだけの時間が必要です。
回答:
完璧にするにはどうすれば良いかが分かっているのだから、完璧にすればいいのにね。最も
必要な処置は、アマルガムが飛び散っているので根管治療と根尖部異物除去手術が正解に近い
と思います。従って、約1週間後に抜糸をしなくてはなりません。これをわざわざ来ていただ
くか、それとも地元の歯医者さんに頼むか考える余地があります。新年の診療は6日からです
が(土日祝休診)、予約の方は18日以降になってしまいます。「インターネットで質問済み」
と受付に伝えてください。пF0792-88-4682