一度破折した歯は絶対再生が不可能です。

ガリッと音がして

日付、時間:2004年10月12日 23:36  氏名:   K.K   
所在都道府県:  埼玉  職 業:  会社員  年 齢: 34歳      性別:   male  

ガリッと音がして 質問:
 初めてメールをします。私は、大人になってからほとんど歯医者さんには縁がなく、 たまに歯石を取ってもらう程度でした。ところが、今年の8月の終わりに夕飯を何気な く食べていたところ硬いものを噛んでしまったらしく、突然奥歯(上顎左側第1小臼歯) からガリッと音がして、猛烈な痛みがありました。私は、歯が欠けたと思い、 すぐ鏡で確認しましたが見たところ異常がありませんでしたが、痛みは続いたので翌日 に地元の歯科へ行きました。
 そこの先生は、レントゲンをパノラマで撮影し、「異常がないので神経を少し、刺激 したのでしょう。痛みが続くようであればまた来て下さい」と言いましたので、私は安 心して帰りました。ところが数日してから、痛みがひどくなり、特に味噌汁等の熱い物 を口に入れますと、ジワーと鈍い痛みが発生し、思わず口を押さえてしゃがんでしまう ようでした。また、その歯を叩くと痛みが響きました。そこで、再度同じ歯科へ行き、 様子を話したところ、先生は即座に、神経を抜きましょうと言いました。そこ で私は少しビビッてしまい「先生、異常がないのに神経を抜くんですか?もう少し痛み を我慢すれば、直るのであれば痛み止めを飲んででも我慢したいのですが。ただ素人的 に思うに、歯が歯茎に食い込んでしまっているような感じの痛みなのですが、関係ない でしょうか」と質問したところ、「痛みは、あなたにしか分らないので、私はなんとも 言えない。ただ、我慢するのであれば痛み止めを出してあげます。でも多分、神経を病 んでしまっているので、眠れないような痛みがでたらすぐ来て下さい」といわれ薬をも らいました。すると不思議なことに、痛みは少なくなりました。ただし、噛むと痛いの で違う歯で噛んでおりました。

 その10日後位から、今度はその歯の脇の歯茎がプクッと腫れてしまい、押すと柔らか く、痛みがありました。これはまずいと思い歯科へ行ったのですが、今度は都合により 別の歯科へ行きました。すると、先生は、かんしで押すと少し動くので、ひびが 入っており、おそらく神経に達しているでしょう、多分その神経は死んでおり、そこか らばい菌が入って、炎症を起こしている。治療方法は、出来るだけ歯を温存し、片方の 歯根を残し差し歯でやりたいが、ひびがどこまで入っているか分らないので、最悪抜歯 することになる」と言われました。私は、ちょっと考えさせてくださいといい帰って来 てしまいました。

 長々と書いてしまいましたが、このような症例で、歯を傷める前に、どこまでひびが 入っているのか分る方法はないのか?本当に欠けている部分の歯がくっつくのか?
また、だいたいそのような歯は何年くらい持つのか?を教えてください。
 また、このような治療は、一般的なのか?口腔外科が出来る歯科や総合病院のような 大きな設備のある病院で治療したほうがよいのかを教えてください。もし、埼玉県川越 市近辺で先生のご存知の病院があれば教えてください。
 歯茎の腫れは退いておらず、早急に治療を受けようと思っています。大変お忙しいと ころ恐縮ですが、ぜひお教えください。お願いします。

感想:
 虫歯以外の初めての症例で、大変戸惑い、インターネットでいろいろと勉強していた ところ、先生のホームページを拝見しました、非常に沢山の症例がありまた先生の分り やすいアドバイスが大変参考になります。今回の私のような症例は見受けられないと思 いましたので、全国の皆様の参考とさせていただければ幸いです。

回答
 “ガリッと音がして、猛烈な痛み”という時点で、破折を疑って診断をつけないとダメ ですねぇ。そして最後の先生の説明にもう少しプラスした説明が為されていれば、それほど 悩まずに済んだように思います。

 一度破折した歯は絶対再生が不可能です。従って、カケラ部分を取り除かなくてはなり ません。しかし事前に破折の位置を確認することが出来ないので、取ってみた結果治療方 法が決定されます。多くの場合、破折は斜めに割れていますので浅ければ神経をとって被 せることにより機能回復が見込まれます。しかし、不幸にして真っ二つ、もしくはそれに 近いくらい深い位置に破折が及んでいる場合回復手段がないので抜歯になってしまいます。 放置しておくと“今のような事態”になるから早く治療すべきと付け加えておくのが正解 でしょうね。
 問題は破折がその中間に位置する場合の対処が、歯科医の技術と価値観によって別れる ことです。つまり破折位置がかなり骨より下の場合、外科的処置が得意な歯科医は骨を 削ってでも保存させることができます。従って外科が得意、そして根管治療が得意という 先生が最も理想的な選択ということになります。

 私の場合、根本理論が他の歯科医と異なりますので同じような価値観や技術をもった仲間 という者がおりません。その中であえてお伝えするとすれば、鶴ヶ島の駅前に江場歯科医院 (正式名称は忘れましたがロータリーの前のビル3F ?)です。彼なら口腔外科出身で、起用 だから根管治療も上手いと思います。