日付、時間:2004年11月9日 11:29
氏名: S.K
所在都道府県: 神奈川
職 業: 主婦
年 齢: 45歳
性別: female
質問:
初めまして。 根管治療の件でお伺いさせてください。長いですが、今の状態を説明して
から本題に入ったほうがと思い。必要なければ、読まずに本題のみ読んでください。
前置きA (私のいままでの歯の状態)
子供の頃は歯医者通いの日々を送り(臼歯の類は殆ど治療済み)、24歳のとき”結婚前に歯
を全部直した方がいい”と言う先輩主婦の話を聞き、(子供を生むと歯が悪くなるから)紹介
してもらった歯医者で、保険外でお金をかけて徹底して治しました。抜髄したのは、多分大
人になってからのその時と記憶してるのですが・・。
抜髄した中で下顎左第2臼歯の延長線下?の下顎あたりが、以前ごくごくたまぁ〜に気になる
痛みと言うほどでもない、なんか神経に障る感じがすることがありました。最近はないです
が。そういった事があったなぁというほどで,体調が悪い時だったのかとかは全く覚えてい
ません。
前置きB (今かかりつけの歯医者さんがどういう治療をする歯医者か)
虫歯になる前に抜いた方がいいと、上の親知らず2本をある歯科医院で抜き、だいぶたってか
らそこで、ポケットの深さを測る器具で上顎第2大臼歯の後ろをブスッと突き刺され、その瞬
間激痛が走り、一気にダーと血が流れ出たところ、”歯槽膿漏ですね。今、10ミリはいりまし
たよ。血も出てるし”と言われました(突き刺す前は歯磨きの時も血など出なかった)。もと
もと自覚症状もなかったし、すっと入ったのではなく明らかに突き刺された・・ところの痛み
は翌日まで続きました(以前その医者とは、”ここが痛いので”と言うと”あ〜虫歯になって
るのでちょっと削って治します”と言われ、やけに長く削るな〜と思って治療後鏡を見たとき、
”(削った範囲は歯の3分の1近くと広範囲)、先生こっちが痛かったんですけど””あ、で
もここも虫歯になってましたよ”といった事がありました。治療前に、私が鏡で確認して指差
すべきでした。但しそれも素人判断であてになりませんが)。
卒業したてのような若い医者だったので(その医院に来て間もない医者)、”10ミリもポケット
があるので抜くしかない”とあっさり言われ(少しもぐらついていないし、8020運動で歯を残
そうとする動きがでているのに)おかしいと思った私は、以前の虫歯治療ですでに信用しなく
なっていたので、歯槽膿漏の本を何冊か読み、ポケットが10ミリもある場合の症状が自分の
状態にはあてはまらず、その医者にとって私がただの実験台でしかないことを確信して、即医
院を替えました(8年前)。
今通っている所で、事情を説明してかなり丁寧に、はじめは月に何回か通い次第に間隔を広げ
て通うと言った対応をしてもらいました(ブラッシングを徹底し、行く度衛生士さんにチェック
してもらったりする)。結果、10ミリと言われた所は実は8ミリくらいのもので6ミリになりま
したが、顎が小さくブラシが届きにくいし、根っこ3本のうち1本を切り取り器具が入りやすい
ようにして汚れを取りやすくするという手術をしました。保険外のような治療をしている所で、
同年齢の先生で、信用しています。今は、半年に1回の検診でクリーニングしてもらってます。
月1回にしようかと思いますが。
【本題】
この間行った時、”左下顎の第1、2大臼歯の冠と歯の間に隙間があるので虫歯になってるか
もしれないのではずして、根の治療も一緒にやりましょう”と言われました。 ”前置きA”
のような事が以前あったものの、特別今、何も自覚症状(痛みもなにも)がないのに根の治療ま
でする必要はあるのか?と疑問なのです。
ある歯医者さんのサイトでは、(根の治療をもう10年もまえだったからと再度やったためにか
えって治療後のほうが痛くなったとか言う例が多い)と言う話を読み、どちらがいいか分かり
ません。衛生士さんに言わせると、虫歯だけ治しても、後で根の方に異常が見つかって、また
新しい冠をはずして直すことになったらまた作り直さないといけなくなるので今両方やってお
いた方がいいのではと言われました。根の治療は、何年が寿命とかいった事ははっきり言えな
いということですし。私のはもう21年も経ってますが。
もう1点、治療済みだらけの歯並びの悪い私でも、1月1回のスケーリングで歯の寿命は伸ば
せますか? (抜髄歯は4〜5本有り)先生のお考えをお聞かせ下さい。 宜しくお願いします。
長くて済みません。
感想:
デンタルフロスや歯間ブラシを使ったブラッシングもサボりがちだった時、先生の1ヶ月
1回のスケーリングが必要と言う本を読んで、怖くなり丁寧なブラッシングを再開しました。
スケーリングの方は予約済みです。
まず第一に、完璧な根管治療は存在しないという認識が必要です。その上で、根管治療の
完成度に比例して予後が決まるという原則があります。更に患者さんの抵抗力に比例して
予後が決定されます。ただし患者さんの抵抗力というのは我々の手で左右することはできま
せんので、根管治療の完成度に比例してその人なりの予後が決定されるということ
になります。
抜髄後の平均寿命は約10年。但し一般の統計に見られるように中央に集中するのではなく、
術直後にダメになるものから30年以上機能するものまで大きな開きがあります。その中で、
10年以上、症状もなく経過したものは成功とみなされます。
問題の歯は、レントゲン的に根尖病巣が確認できるのだと思います。但し、21年間症状が
でることもなく緩慢に成長してきたのでしょう。当時の治療がそれくらい完成度が高かった
といえます。おそらく今後も緩慢に成長していくものと推測されます。しかし、何時かは症
状が出現してくるであろうことも予想されます。それが1か月先なのか何年も先なのかは予想
できません。ですから「後で根の方に異常が見つかって、また新しい冠をはずして直すことに
なったらまた作り直さないといけなくなる」というのも間違ってはいないのですが、では今
治療すれば心配がなくなるのかというと全く別問題です。21年も無症状な治療よりも完成度
の高い治療が確実にできるのであれば話は別ですが、根か治療の現実をみたらそんなこと期
待する方が間違っています。仮にそんな実力があるのであれば、何年か先に症状が出てから
でも治すことが可能です。
また作り直さないといけなくなったらその時はその時。例え1か月先だったとしても除去
しても何ともない金額の補綴物を入れておくのが最善の選択だと思いますよ。
すでに致命的な損傷のある歯は何れダメになると思いますが、それでも間違いなくメンテ
ナンスにより延命されます。そして、一定以上の条件を保った歯については生涯機能保持す
る可能性が高いと予想します。とにかく、少しでも条件の良い時からメンテナンスを始める
べきです。