日付、時間:2004年11月10日 10:21
氏名: S
所在都道府県: 北海道
職 業: 会社員
年 齢: 34歳
性別: female
質問:
根管治療のことで相談させて下さい。よろしくお願いします。
今年の3月から大学病院で左上1番右上1番の根の治療を行っています。この2本は
12歳の頃、虫歯になり差し歯にしましたが、差し歯にひびがはいっていたので、作
り直すことにしました。レントゲンでみると、左右とも根管充填が不十分(左は中間
に根管充填がされていない、右は根の先端に根管充填がされていない)という
ことで、病巣などなさそうだったのですが、根管治療することになりました。
左は一度、根管充填したのですが、ガッタパーチャーが根の先端に出過ぎて、
腫れたので、はずしました。その後、腫れがひいてから、ガッタパーチャーをいれ、
1週間様子をみて腫れなければそのままセメントでつける予定だったのですが、また
痛みが出たのではずしました。その後、痛みがとれてから、堅いものがいけないのか
もしれないということで、とりあえず根にガッタパーチャーに代わるものを入れ様子
を見て、痛みがでなければガッタパーチャーで根管充填予定だったのですが、痛みを
感じるようになりはずしました。その後、根の細菌検査をするため、根の中に消毒液
をつけた綿を数回つめかえたりしました。その前までは、根の先端を触られて痛みや、
腫れることはなかったのですが、この時から根の先端を触られると痛みを感じるよう
になりました。綿で根を触ると少し血がつくと言われました。細菌検査後はビタ
ペックスが貼薬してあります。今も痛みが少しあり鼻の下をおさえると痛いです。
右は根の先端を開けられてから痛みが1ヶ月くらいありました。痛みが落ち着いたと
ころで、根管充填をしましたが、1週間ぐらいして、突っ張るような強い痛みが出て
きたので、はずしてもらいました。その後も、口を動かすと突っ張り感があり、ビタ
ペックスを貼薬したり、細菌検査をしたり、根を触られるたびに強い痛みと突っ張り
感があり、2週間くらいすると少し強い突っ張り感もやわらぐのですが、その後も少
しの突っ張り感が続いていています。今はビタペックスが貼薬してあります。
左右、病巣もなく、排膿なども無いということです。破折も顕微鏡で見ると、なさそ
うだということです。細菌検査もしてもらいましたが左右とも異常はありませんでした。
また左下6番が抜髄歯で最近食べ物を噛むと違和感があります。レントゲンでは黒い
陰が写っています。この歯も可能であれば診ていただきたいと思います。治療日数はど
のくらい必要になりますか。補綴は地元でと思っています。どうぞよろしくお願いします。
上顎洞炎もしくは鼻腔炎に発展している可能性はありますが、原因はあくまでも根管
治療の不備だと思います。根管充填材の除去は、皆さん色々な方法でトライされている
ようですが、概して下手だと思っています。全国の難症例を手がけている私の場合、多
少なりとも手馴れておりますが、それでも除去にはプレッシャーを感じています。誰が
上手かとなると根管治療の成功率の高い先生ということになるでしょうね。
私の場合全て原則即日充填ですが、出血や排膿の多い場合は日を改めます。基本的に
同日に根管充填まで行いますので、痛みがでたので充填を見送るということにはなりま
せん。また、病巣があっても痛みのない場合には根管治療を原則として行いません。
所詮完璧な根管治療なんて存在しないので、長年無症状な歯は
むやみに治療すべきではないという考え方です。
抜髄後の象牙質は石灰化程度を更新して硬くなりますが、これはあなたが考えていら
っしゃるような成長ではなく治療結果とは関係ないと思います。抗生物質は一時的な症
状の緩和は見込めますが決して根本的な解決方法ではありません。状況によっては、再
植によってのみ解決方法が見出されるケースというものもありますが、大学で勧められ
ている歯根端切除や再移植では回復の見込みはまずないでしょう。
ビタペックスやカルシペックスが
誤った理論に基づく間違った治療であるために、どれほど多くの患者さんが無用な痛み
をあたえられているかを大学レベルでも気がついていないと思います。戦うべきでない
常在細菌に対して、細菌こそが悪と思うから細菌検査も行ないます。細菌検査で陰性と
なると、どう解釈してよいのか分からないのでしょう。元々戦うべきでない常在細菌を
殺す為に使った劇薬が災いしていることが理解できないと思います。
治療するとなると、問題の歯は原則として一日で処置できます。左下6番も治療する
となると二日は必要になります。最低一泊二日、できれば二泊三日欲しいところです。
健全牙質が確認された#120程度の太さまで拡大清掃を行い充填操作を行いました。懸念
された排膿はなく十分な根管充填が行うことができました。根尖部にはレントゲンで確認し
た以上の骨欠損があったようで、一部充填材が押し出されていますので術後の痛みが多少あ
るものと予想されます。問題は、その一時的な痛みがどの程度でいつ頃治まるかということ
です。一か月程度経過をみて、症状がない、もしくは緩和傾向にあるようですと治療を次の
ステップに進めてください。