今あせって治療する必要はないでしょう。

17年前の根管治療

日付、時間:2004年11月16日 17:44  氏名:   H.Y.    
所在都道府県: 東京   職 業:  会社員  年 齢: 34歳      性別:   male  

17年前の根管治療 質問:
 はじめまして。歯根のう胞をわずらっているものです。
現在他の歯科医にかかっておりますが、もし可能でしたら専門である河田先生のご意見を いただきたく、下記に状況、症状を書かせていただきました。お忙しいところ恐れ入りま すが、ご意見、ご指南いただきたく、よろしくお願いいたします。

 2004年の2月、米国留学中に上顎左側の前歯2の歯茎に痛みを感じ、現地の歯科医を訪問 したところ、レントゲン検査にて歯根付近に細菌感染があるとの診断を受けました(その際 のレントゲン写真をデジカメで撮影したので、別途お送りしたいと思います)。なお、この 歯は17年程前に千葉の歯科医にて差し歯にした歯です。
 現地の歯科医の診断では外科手術をして細菌感染部(歯根嚢胞?)の切除及び歯根末端の 切除をした方が良いと言われましたが、その後河田さんのホームページを見て思いとどまり、 その後痛みがなくなったのでしばらく放置しておりました。
 その後、日本に帰国し、2004年8月に、東京にある行きつけの歯科医と相談したところ、 河田さんのホームページにあるご主張に近い意見で、歯根端の切除ではなく、歯の中から の根管治療を薦められました(あいにくそのお医者様は歯周病の専門医ではありませんが・ ・)。

    ただしRiskとして、太く長いポストの除去の際の歯根破折を指摘され、
  1. 今のところ痛みが無いことと、
  2. レントゲンの所見から他の歯に対する悪影響を及ぼしていない状況の2点から、施術せ ずに定期的に様子見ながら放置するという選択肢も提示され、結局2−3ヶ月に一度検査の 為通院し、痛みが出始めたら施術する方向としました。
 またその際、歯の中からの根管治療を行う場合、完治には2−3ヶ月か、それ以上かかる と言われました。理由は、完治するまで、何度か薬を入れながらやる必要があるからといっ たことでした。長い付き合いで、信頼感のあるお医者様ですが、この点については河田先生 のホームページにある
「的確な根管清掃と根管充填が行なわれさえすれば一日でも治療は終わります。的確な 根管清掃を行なわないでむやみに毒薬みたいな薬を長期間作用させているのが今の歯科治療 です!!」という意見との差異を感じました。

もし、河田先生が私を診察された場合、上記のような症状を考慮すると、どういった処置を 薦められますでしょうか?
また、レントゲン写真による所見から、もし河田先生のところで治療をお願いした場合の処 置日数などを見積もっていただくことは可能でしょうか?
(新たな差し歯を作ったりすることも含め、そちらへ行く日数や回数がわかると たすかります。)
以上、お忙しいところ恐れ入りますが、ご意見、ご指導のほど、宜しくお願いいたします。

感想:
 先生のホームページを見つけたおかげで、歯根端切除手術を行わずに、思いとどまる ことが出来ました。ありがとうございます。

回答
 大筋としては、現在の担当医と同じ意見ですし、あなたが感じられていることそのままが 私の意見です。

 左上1番にも小さな根尖病巣らしき像があります。根管充填そのものは2番より不完全に 見えますが、結果オーライ的に病巣も小さく今のところ症状がでていないけれども、将来的 には2番同様症状を現して来る可能性があります。では今すぐ治療すべきかという問題ですね。 焦点を2番に代えます。一見かなり綿密に根管充填が施されているように見えます。事実、 17年経過してそれまで症状もなく病巣も緩慢な成長であったと言えます。この程度の大きさ であれば、根管充填の状況が悪いと半年くらいで成長してしまいます。それが17年かかった ということは、根管充填そのものがかなり完成度の高い治療であったことを意味しています。 従って今後も従来のペースで緩慢に成長していくことでしょう。
 病巣の大きさに関係なく、的確な根管治療さえ行なうことができれば何時でも治癒の可能性 があります。治療にあたっては金属ポストの除去リスクがありますので症状が比較的軽く、 臨在歯への影響懸念のない今あせって治療する必要はないでしょう。ただし、症状が頻繁に 現れてくるようだと、その時点で治療に踏み切る必要が生じてきます。

「的確な根管清掃と根管充填が行なわれさえすれば一日でも治療は終わります。的確な根管 清掃を行なわないでむやみに毒薬みたいな薬を長期間作用させているのが今の歯科治療です!!」 という見解はそのままですが、毒薬みたいな薬を長期間作用させても根本的な治療が的確であ れば同じような結果が得られることも事実です。近くにそれだけのことを言ってくれる先生が いらっしゃるのですからそちらで治療されても良いとは思いますが、私の医院にいらっしゃった 場合、根管治療に要する日数は原則として一日です。さし歯までとなると、更に最短で2日 必要になります。根管充填後約1か月経過をみてから、補綴処置に取り掛かります。ただ今 での経験から、根管治療以降の補綴処置は地元でされることをお勧めしています。


返信:2004年11月17日 12:51
 早速のご返答、ありがとうございます。将来治療に踏み切る時には、お世話になるかもしれ ませんが、その際はよろしくお願いいたします。