もう少し寛容になって正しい判定を下すようにして下さい。

インレーの下に虫歯

日付、時間:2004年11月17日 23:01  氏名:   KK    
所在都道府県: 愛知   職 業:  会社員  年 齢: 30歳      性別:   female  

インレーの下に虫歯 質問:
 こんにちわ。私が受けた治療のことで御相談申し上げます。
平成15.7月 A医院
左上6の歯がインレーの下に虫歯があるとのことで削ってインレーを詰めなおす治療を 受けました。歯髄を保護するクッションのようなものを詰めてからインレーを装着した とのことでした。その治療後、噛むと痛い症状が出現しました。

平成16.2月 B医院
噛むと痛いのがおさまらないので受診。インレーを外して、その先生いわく『断熱剤の ようなもの』を詰めてから新しいインレーを装着したとのことでした。以降、噛むと痛い 症状はなくなりました。

平成16.7月 B医院
検診で、この歯の一部分が噛み合わせが強すぎてインレーの一部が磨り減って穴があき、 そこから少し虫歯になっていると指摘され、インレーを外して治療を受けました。

同じ歯を短期間に何度も治療して歯にダメージを与えてしまったのではないかと思っています。 治療を受けた歯科医院での処置に不適切な点があったのでしょうか?
そんな風には思いたくありませんが。。。

先生のお立場から、私のこのようなケースはどんなことが考えられますか?
宜しくお願いいたします。

回答
 “歯髄を保護するクッションのようなもの”と“断熱剤のようなもの”は伴に裏装材 で、メーカーが異なっても同じ様なものだと重います。いずれも虫歯が深く歯髄に炎症が 起こるのを防ぐ目的で使用されています。色々あったみたいですが、抜髄になりそうな歯 を延命することができたことは喜ばしいことだと思います。一発でビシッと決まるのが理 想的ですが、かんを便りの手作業ですのでなかなか理想どおりにはいきません。3回治療 したダメージはそれ程大きくはないと思います。それよりも何もしていなければ、数か月 もしくは1・2年後に抜髄になった時のダメージの方がはるかに大きいと思います。

 一度目はインレーが高すぎた? であれば咬合調整だけで解決したかもしれません。
痛むという訴えを受けて二度目の治療は、裏装材を厚めにしてインレーの高さを抑えた為 に金属が薄くなりすぎて穴が開いてしまったのではないかと想像します。他に何かあった かもしれませんが、あまりこの手のトラブルに対して不信を持つことはマイナスになりま すよ。というよりも、明らかに歯の平均寿命を短くしています。患者さんの為を思って 不採算覚悟で治療しても、結果が思わしくなければ不信に思われることを一番知っている のは歯医者です。

 例えばこのケース、インレーの下に虫歯があるのを見つけて治療しても2回の治療合計が 6000円(3割負担で2000円)ほどです。例えば小さな虫歯を見つけて3本ほどまとめて治療 すれば9000円(3割負担で3000円)ほどです。簡単でリスクはありません。
 一度治療したあとの虫歯ですので、神経に相当近いはずです。患者さんにとっては痛みも ないので治療の必然性を感じていません。しかしこのまま放置しておくと数か月先には抜髄 になってしまいます。そのことを説明して、なおかつ虫歯が深すぎた場合には抜髄になって しまうリスクも説明しなくてはなりません。下手をすれば即刻抜髄、抜髄を逃れても術後の 知覚過敏が半分以上。知覚過敏の説明や言い訳に費やす時間などを考えれば全くの赤字で、 しかも患者さんの信用を失ってしまいます。上手くいっても事の重大さを知らない患者さん に感謝されることはありません。

 大半の歯医者はこんな割に合わない治療はパス。痛みを訴えてきた時に抜髄して、失敗 すれば抜歯。ブリッジや入れ歯にすれば売上10倍増です。そんな中であえて治療をされた 先生の熱意をつまらないミスで帳消しどころか烙印を押してしまう傾向が全国的にあります。 良心的な歯科医を望む一方で、知識や理解不足でどんどん烙印を押していけばますます歯科 事情を悪化させてしまいます。もう少し寛容になって正しい判定を下すようにして下さい。