この位置で折れていたら、絶対回復の見込みはありません。

また腫れた

日付、時間：2004年11月23日 12:43　氏名：　すず　　　
所在都道府県：東京　職　業：　会社員　年　齢： 42歳　　　　性別：　 female　　

また腫れた 質問：
　はじめまして。上顎　左中切歯の事で悩んでおりますので、相談よろしくお願いします。
もう15年位前より、さし歯にしているのですが、平成16年6月にぐらつき始め（その頃、変な臭いもしていました）、とれてしまったので、かかりつけの歯科医で確認していただき、肉眼で確認できる破折はないとの事で再度そのままつけました。
　その後8月に歯茎の部分がプクッと腫れてしまい、かかりつけ医より抗生物質を処方され内服、一旦　腫れはおさまりました。が、10月になってからまた腫れたため、今度は総合病院の口腔外科を紹介され受診、横からのレントゲン写真も撮影し、歯根が折れている可能性があるとの事で歯根端切除術をすすめられました。でもこのホームページを拝見して、とても疑問に思っています。
　抜歯しかないようであれば、インプラントにしようかと考えておりますが、河田先生がご覧になって、何か他によい方法はありますでしょうか。現在は少し腫れはおさまっていますが、風邪など体調の悪いときに腫れる傾向にあります。口腔外科で撮影したレントゲン写真も別に送付させていただきますので、どうぞよろしくお願い致します。

　根尖部には病巣もありますが、術後15年経過していることと合わせて犯人とは考え難い状況です。一方、病巣の中心部分が歯根中央であり、そこに該当する歯根部分に破折らしき像が認められます。何時歯根破折を起こしても不思議ではない太い金属ポストと、最近になって急にぐらつきだしたという証言を合わせて歯根破折を疑うのに十分な証拠が揃ったと診断いたします。
　“歯根が折れている可能性がある”という所まで診断しておきながら、この後に及んで歯根端切除を勧めることに対してあきれ返ってしまいます。この位置で折れていたら、絶対回復の見込みはありません。残念ですが抜歯です。
　無駄な事はしないで抜歯を決断すべきだとは思いますが、最善を尽くすとなれば金属ポストを除去して破折を確認してから抜歯。折れていないことが確認された場合には、根尖部の病巣を疑って根管治療を行なうことですね。それと合わせて、抜歯→インプラントを視野に入れて即時義歯をあらかじめ作っておくことも必要だと思います。

返信：2004年11月23日 22:43
　本日「また腫れた」でご回答いただいた者です。早速のお返事に感動しております！
質問の際、言い忘れましたが、左上１は、さし歯にしたのは15年程前でしたが、その後2度ほどトラブル（5年後位に歯茎の腫れ、10年後位に変な臭いの滲出液）がありました。その都度それなりに対処はしてもらいましたが、どういう治療がなされたかは説明もあまりなかったので、よく理解しておりません。そうした経緯もあり、今回は抜歯も覚悟しておりましたが、こうして先生のホームページに出会わなければ、すすめられるままに歯根端切除術を受けその後抜歯、すすめられるままにブリッジを装着していたかと思うと恐ろしくなります。。
もう少し教えていただきたいのですが、ホームページを拝見してインプラントにしようと思っているのですが、私のような状態でも可能でしょうか。また、どのような点に注意してインプラントを行うクリニックを選べばよろしいでしょうか（今のかかりつけ医ではできないので紹介になるとの事です）。また、抜歯は急いだ方がよいのでしょうか。申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いします。

回答：
　今の歯槽骨破壊程度ですと急いで抜歯することもないけれど、今後の頻度とどの程度腫れるかによって覚悟を決める必要があると思います。将来インプラントは可能だと思いますが、大切なことは責任の所在も含めてメンテナンスとインプラントは同じ歯医者でする方が無難です。また、インプラントには何百種類ものタイプがあって、使用する器材がメーカーによって全て異なります。従って何らかのトラブルが生じた場合、他院で適切な対応ができないので、できるだけ生涯を通してお付き合いできそうな医院を探しておくべきです。

返信：2004年12月1日 0:27
　11月23日に「また腫れた」でお世話になった者です。河田先生には親身なご助言をいただき感謝しております。現在、腫れの方はおさまっており、今後インプラントを行う歯科医院選びの難しさを実感しつつ、考えている日々です。たびたび恐れ入りますが、あと２点質問させてください。
　私は高齢ですが、できれば妊娠したいという希望をもっています。上顎のインプラントは長い期間を必要とするようですが、もしも妊娠した場合はインプラントはできないようですので、希望をもっている間は治療を開始しない方がよろしいでしょうか。それとも妊娠中は治療が難しいので、先にインプラントを済ませてしまった方がいいでしょうか（年齢的にかなり厳しい事ではありますが・・）。
　もう１つは、現在のかかりつけ医では、歯石の除去を超音波の器械ではなく、器具を使って（こすり落とすように）手で行っています。そうしたやり方は初めてなので、エナメル質は傷んだりしないものなのか少し心配になりました。今後、定期的に歯石の除去をしていきたいので、ご回答よろしくお願いします。

感想:
　今回、このホームページを拝見して、改めて自分の歯を一生保つことの大切さを実感しました。これ以上、歯を失わないよう、定期的に歯石の除去を行い手入れをしていきたいと思います。

回答:
　スケーリングに関しては、ハンドの方が丁寧で高等というイメージがあって結構支持者も居ます。超音波の方が効率的で、効果がありそうに思いますが、気にする程の差はないでしょう。

　インプラントは基本的に抜歯後一年半ほどかかります。抜歯して１年骨回復を待って植立、その後半年間くっつくのを待ちます。医院によって多少術式も異なりますので実際に行なう担当医に期間的なことは相談してみて下さい。植立時期はできれば妊娠中を避けたいけれど、絶対条件ではありません。
　割れていることが確定としてシュミレーションしてみましょう。未練があるのは分かりますが、諦めがつくまで放置しておくとそれだけ骨破壊は進みますのでインプラントに必要な骨量の確保が徐々に難しくなってきます。またいよいよ抜歯を覚悟する時期が体調の悪い妊娠中に重なる可能性が高くその時点で抜歯かどうかの選択を迫られることになってしまいます。抜歯もインプラントも妊娠中に与える影響は同じようなものです。どちらも避けたいのも同等ですが、インプラントなら時期を選ぶこともできるけど痛みがヒドクなった抜歯は時期を選べません。早く決断した方が、何かと精神衛生上も良いのではないでしょうか。

返信:2004年12月1日 21:38
　１１月２３日の「また腫れた」です。とてもデリケートな質問に的確なご助言をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。覚悟をきめて、さっそく抜歯→インプラントの方向で考えたいと思います。そこで質問ですが、河田先生のところでインプラントを行うには、東京からでは遠すぎるでしょうか。もし無理であれば、インプラントは結構トラブルもあるようですので、たくさんある種類の中でおすすめのメーカーや商品名を教えていただければ助かります。すみませんが、どうぞよろしくお願い致します。

感想：
　仕事をしている私にとって、こうしたホームページで一流の先生に診断や助言をいただける事は、本当に助かります。河田先生ありがとうございます！

回答：
　できれば後々のメンテナンスを含めてやってくれる地元の歯医者さんがいいと思います。一本20万円は安いけれど、交通費を考えれば決して安くもないし、メンテナンスができないので無責任な結果になってしまいます。私はインプラテックスのインプラントを使っていて満足していますので他のメーカーのことはわかりません。メーカー指定をした場合、そのメーカーを扱っている歯医者を探すのが大変だと思います。メーカーによる差はほとんどないと思いますので、先生の人柄とか治療システムなんかを優先して選ぶべきだと思いますよ。

返信:2004年12月8日 22:01
　11月23日の「また腫れた」です。とても誠意のある的確なご助言をいただきありがとうございました。先生の近くに住んでいないのが残念ですが、がんばって少しでも河田先生のように良心的で腕のいい歯科医院を探したいと思います。またインプラントの事で相談させていただく事があるかもしれませんが、その際はどうぞよろしくお願いします。

返信:2004年12月14日 22:33
　11月23日の「また腫れた」です。たびたびの質問で申し訳ありませんがよろしくお願いします。その後、左1番のインプラントについて、かかりつけ医に相談したところ、大学病院なら紹介できるが、そうでなければ自分で探すようにとの事で、通えそうな場所にあるインプラントができる歯科医院を2ヶ所ほど受診してみました。
するといずれの先生も、隣の歯（右１番）も差し歯だし、ブリッジが一般的、わざわざインプラントをしなくてもいいのでは？といった見解でした。確かに隣が差し歯で、反対の隣も削ったりしているので、もったいなくないような気もしますが、後々のことを考えるとどうしたらよいのかわからなくなってしました。
最初ブリッジにしてから、それがだめになってからインプラントという選択肢や、またその逆もあり得るのでしょうか？
やはりインプラントがよいようであれば、大学病院で行うというのは、後々のメンテナンスを考えるとどうなのか、少し心配です。かといって、近医はなかなかインプラントをしている所が少なく、やっていたとしても症例が少なかったりで、探すのに苦労しています。ふんぎりがつかず困っているので、どうぞ率直なご助言をいただければ幸いです。

回答：
　周囲の歯が“もったいなくない”状況というのは、ブリッジを選択するには好都合な条件です。左上２番の抜髄はもはや時間の問題という状況にみてとれます。ブリッジだと保険も効きますので、治療期間と金銭面を優先すればブリッジも有力な選択肢だと思います。この場合、インプラントが唯一勝ると思われるのは総合的な歯の長持ちだけです。私だったら、過去の実績と価値観からインプラントをお勧めしますが、実際に担当する歯科医の実績と価値観からブリッジを勧められるのであればそれに従うのが良いのかもしれません。