基本的には通院可能な範囲で治療されることをお勧めいたします。

セパレート

日付、時間:2004年12月21日 10:51  氏名:  はな   
所在都道府県: 茨城   職 業:  会社員  年 齢: 39歳      性別:   female  

セパレート 質問:
 第1大臼歯について,99年に歯髄まで犯されかけていた様子ですが,とりあえずだい じょうぶだろうことで処置していただきましたが,その歯の内側の歯茎際も虫歯に犯され ていました。
当時妊娠がわかった時期でその虫歯の処置をせずセメント様のもので塞ぎました。産休・ 育児休暇も明け,会社復帰した後,放っておいた虫歯治療に行きましたが,かつての担当 だった先生が移動されていなくなっていました。せっかく処置していただいたところを開 けてみると言われました。神経をせっかく残してくれたのにそれだけはやめて欲しい旨を 伝え,虫歯治療できなかった部分を処置していただきました。
 先週,別の歯で根管治療済みの歯が痛みましたので昨日レントゲンを撮ってもらいまし た。その歯には異常がないとのことで安心したのですが,第1大臼歯がレントゲンでみて 二股になって根の股部分に空洞があると言われました。かつての歯茎際の虫歯処置が不完 全だったのだと思いました。確かに数週間前からその歯の頬側歯肉にポツっと穴が開いて いました。膿が出たのかもしれません。先生が言うには根管治療でもセパレートする方法 を考えた方がいいと言われました。今回指摘して頂いた先生は千葉在住の方です。この治 療をするには1週間間隔で6回ほど通院が必要になり,その交通費を考えたら地元で探し たほうがいいとも言われました。ですが信頼できる歯医者さんが見つかりません。河田先 生のところではこういったケースの処置にどれくらいの時間を想定しますか?
根の治療は1日で終ると書いていたように思いますが,1日で終るならいっそのこと河田 先生に処置してもらった方がいいかとも思っています。即日治療して頂きたいと申し上げ ましたら,いつ診ていただくことが可能ですか?
仕事もしていますし,小さい子供もいますので思うように時間も取れないのですが,条件が 満たされれば無理してでも診てもらいたいと思います。

感想:
 確か6年ほど前に質問させて頂きました。藁をもすがる思いでこちらのコーナーを見つ け,迅速に返答いただいて安心したことを憶えています。こちらで知らなかった常識を色 々知りえて,歯医者さんにもなぜそんなに詳しいの?と聞かれたこともあります。私が住 むような田舎にいる者のにとってこれまでの歯科治療に対する考え方そのもの(ダメだと 思えば即刻抜歯)が間違っていると,自分の歯は自分で守らなければならないのだと思い ました。それは歯だけでなく医療全般にかかわることなんでしょうが。

回答
 確かに99%の根管治療は1日で終わります。後の経過を含めても90%以上の確率で1日で 対処しておりますが、確実に1日で終わらせるという期待は想像以上にプレッシャーがかか ります。基本的には通院可能な範囲で治療されることをお勧めいたします。

 時間的には、診断と説明に2時間以上。大臼歯一本の根管治療に2時間くらい必要にな りますので、他の患者さんの合い間を縫って通常丸1日かかります。 セパレートが必要だとしても時間的にはほとんど変らないと思いますが、それ以降の治 療は地元でということになります。今は年末・年始で休みも多く、遠方からの来院が多いの で予約されても1月半ば以降になってしまいます。


返信:2004年12月22日 8:33
 おはようございます。早々にご返答頂きましてありがとうございます。再度質問させてく ださい。
仮にこれから予約をして1月半ば以降に処置して頂くことにした場合,この状態で歯は保て る(保つは正しくはなく,痛みがおきないor抜歯状態にならない)でしょうか。河田先生の Q&Aをひととおり拝見させて頂きましたが,もしかしたら歯随が死んでしまったのではな いかと思います。歯髄が死ぬ=抜歯のようにも思われ,どうすべきか悩んでおります。でき ればすぐにでも処置していただきたい思いは強いのですが河田先生を信頼され遠方から来ら れる方も沢山いると思いますので予約がとれる時期まで待とうかと思います。何度も通院す ることを考えれば,また1日がかりで総合的に歯の診断をしていただけるのならばその方が betterかと思いますので。

回答:
 “総合的に歯の診断”という意味では間違いなく値打ちがあると思います。問題の歯です が、おそらくすでに歯髄壊死しているものと想定しております。仮に生きていたとしても 瀕死状態ですので抜髄(根管治療)を前提として治療を進めます。“歯髄が死ぬ=抜歯”は 今でも発展途上国では常識的な選択だし、昭和20年代の日本でも常識的な選択でした。今は 100%の成功率ではないけれど、未だ使える可能性を求めて抜髄という選択をとっています。
 別件で、根分岐部の大きなむし歯があるようですのでセパレーションというオプションも 考慮しなくてはならないのかもしれません。処置のタイミングとしては早い方が少しでも 条件が良いことは当然ですが、“セメント様のもので塞ぎました”という時点で根本的な処 置を行うべきだったことを考えると今更一か月の違いは大勢には影響しないでしょう。現状 の歯科医療レベルを正しく把握されていたとすれば、それより更に数年前に異常を見つけ出 して治療しておくべきだったということを反省してください。そして、この失敗を二度と繰 り返さないことが、少し大げさですが今後の人生を大きく変えることになるでしょう。私が 皆様に強調しているのは実にこの点で、主訴である歯が治療の結果どうなるかよりも、以後 の人生をどのように歩んでいただくかを知ることが重要だと思います。そのような観点で来 院されれば、間違いなく有意義な旅行になるでしょう。


返信:2004年12月23日 14:14
 河田先生,ありがとうございます。勇気づけられました。
私は過去に誤った処置によって抜歯せざるを得ない環境(家族の理解・医者の理解), また私自身の知識不足から中学生の頃に抜歯したことがあります。それ以来,歯医者を 信用できなくなり(それは歯医者だけではありません。医者全般です),かかりつけだ った歯医者から転院しました。それでも未成年であれば,医者にかかるにも親の了解を 得なければならなかったり,親がそういう知識が全く皆無であれば,理解できるわけも なく,失わなくて済んだものを失わざるを得なかったりと。私が治療をしてもらうにあ たっては,どうしてもその医者を疑う姿勢で臨むようになりました。

 何のためになぜこの治療が必要なのか,自分が納得のいく説明をしてもらった上で治 療すること,そうやって自分の身を守ってきたように思います。奥歯の治療に関しては, 私のそういった姿勢が仇となってしまったのだと私自身も反省しています。昨日,早速, 先生のところに予約をお願いしました。誤った選択で自分のこれからの人生をダメにす るより,思い切って行こう!と決めました。予約は1月11日です。朝から伺うつもりで いますので宜しくお願いします。

回答:
 (^_^)/ ハーイ 了解しました。お待ちしております。

初診時パノラマ
8年前の根管治療
8年前の根管治療
|6 術前
8年前の根管治療
|6 術後


診断:
 左下6番の根分岐部に漏孔がありましたので、病名としては根分岐部病変ということで も良いのかも知れません。ただ分岐部にむし歯や亀裂などがの原因があって起きた炎症で はなく、歯髄壊死に続いて引き起こされた根尖病巣が、分岐部に向かって成長したために 生じた漏孔ですので分類上は根尖病巣と言うべきでしょう。

 99年に歯髄まで犯されかけていたということのようでしたが、結果として当時の治療後 に歯髄が死んでしまったものと思われます。以後分岐部にもむし歯があったということのよ うですが、これは無関係であったと考えられます。従って処置としては、死んで腐ってしま った根管内の汚物を清掃して充填する、いわゆる感染根管治療ということになりました。 通常3根管ですが、4根管の形態でそのうち1根管が閉鎖状態でした。最終的に何とか治療 することができましたので回復の可能性は十分あると思います。

 一方セパレーションの可否ですが、原因が分岐部の異常ではなくあくまでも根尖病巣である ことから必要性はないものと思われます。但し一度歯界された分岐部の骨回復が期待できない ことから、将来的にも分岐部には汚れが貯留しやすい状態が残りますので、形態修正という 意味ではセパレーションもしくはそれに類した追加処置を行った方が良いかもしれません。

報告:2005年1月12日 10:21
 おはようございます,河田先生!
昨日は丁寧な治療とそのご説明,ありがとうございました。過去の処置をしていただいた とき,何だか変だな?と思ったことをきちんと歯医者さんにお伝えすべきだったのだと今 更ながら反省しています。色々お聞きしたいこともありましたが,先生が1日にこなす患 者さんのことを思うとあまり図々しく聞くこともできませんでした。本来の主訴である治 療と私自身が日々疑問視していたことが少しでも払拭できたことは遠方はるばるうかがっ た甲斐があるというものです(ここまでする私はやはり異常でしょうか?)。

 先生のご説明の中で歯科医としての姿勢にとても安心し,かつ共感できたこと,また先 生の1つ1つの作業が自分がもっている知識の中で理解できたこと,とてもよい先生にめ ぐり合えたと思いました。先生のような考え方をお持ちの方が増えていって歯科医界を改 革していって欲しいと思います。とはいえ,私自身,サラリーマンですが,昔ながらの固 定観念に固執した体制や考え方そのものに不満を抱く日々であり,何度言っても変わらな い体質(これまでこうやってきたのだからそれでよい)に嫌気がさすことが多々あり,先 生のお話しを聞く中で立場こそ違いますが,先生自身の考えを浸透させていくことの難し さ,私なりに理解したつもりです。

 さて,肝心の治療した歯はいまのところ痛みもありません。
念のため就寝前に化膿止めと痛み止めは服用しましたが,夕食後朝食後痛み止めは服用し ていません。おそらくこのまま落ち着くような気がします。それから定期的な検診と歯周 治療ですが,特に歯周治療についてはこちらの歯医者では専門的にやっているところはな いような気がします。岩井にお知り合いの方がおられるとのことですが,東京近郊にはい らっしゃいませんか?

 1件,聞き忘れたことがあります。
95〜96年頃に歯列矯正のため東京医科歯科に通院していたことがあります。その際に, 今思えばどうしてあの歯を抜歯したのか納得していないのですが,私の第1,2大臼歯と 言われるものは右下(第1大臼歯),右上(第2大臼歯)は第3大臼歯(いわゆる親知ら ず)でした。
その時には親知らずに対する知識がありませんでしたので虫歯になっていない歯を使うも のだと安易に考えながらもどうして抜く必要があるのかと思いました。河田先生の親知ら ずに対する部分を拝読させて頂いて根管治療が困難である点がとても不安でなりません。 親知らずに対する延命処置としてはどうしようもないことで諦めて抜歯せざるを得ないの か,また日々のケアをどうすればいいのかを教えてください。

回答:
 場所的にも、むし歯になり易く、抜髄となれば困難を極める退化傾向の親知らずです。 退化傾向という部分はどうし様もないけれど、正常位置(7〜7の間)にあれば、清掃 し易く治療もし易いということになりますので一応普通の歯と同じと考えて下さい。 その上でどうケアしていくかといえば、毎月の歯石除去を中心としたメンテナンスです。 東京だと小山歯科医院 に行って見て下さい。


返信:2005年1月17日 16:38
 こんにちは!忙しくて河田先生の診断部分を拝見するのが遅くなりました。一時鈍痛もあ りましたが,いまのところ問題ないようです。2日くらい前まで口内がただれて食事も思う ようにとれませんでしたが今はなるべく右側で咀嚼し,治療部分が落ち着くのを様子見して います。
さて,診断部分を拝見させていただきましたが,先生のところで処置して頂いた結果を以っ て,こちらの歯科医院で処置してもらう場合に診断部分に記されている「形態修正という意 味ではセパレーションもしくはそれに類した追加処置を行った方が良いかもしれません 」 についてはどのように伝えて治療していただくのがいいのでしょうか。
@とりあえず,現状で被せ物をする
A上記診断を鑑みセパレート,もしくはそれに類した追加処置を行った上で被せ物をする。
また類した追加処置としては何が考えられるのでしょうか?
質問ばかりですみません。

それから前回紹介していただいた先生はそういった部分も含めてケアしていただけるでしょ うか。先生に処置してもらったのはいいが,事後処置がまずくてとんでもないことになって しまったら...と思うとかかりつけの歯医者もいないので間違った処置をされないかと足が 遠のきそうです。

回答:
 とにかく一旦普通に被せて治療を終了させてください。それで分岐部の症状が過剰に残る ようであれば、追加処置として分岐部のカリエスに配慮した形態を付与すれば解消するかも 知れないということです。経過が思わしくないようなら、小山先生だったら電話してきます ので相応の指示を出します。細かい形態の付与については、状況に応じた対処となりますの で、状況の分からない現時点で具体的な指示はできません。過剰な心配は止めましょう。


返信:2005年1月18日 17:32
 ありがとうございました。小山先生のところには土曜に予約を入れました。


返信:2005年1月26日 11:09
 お世話になります。河田先生。先日,河田先生のところで根管治療していただいた者 です。
先週土曜にこの後の処置とメンテナンスを兼ねてご紹介頂いた歯医者さんに行きました。 あまり具体的にどうこうの説明がなかったのでメンテナンスをしたのかしないのかよくわ かりませんでした。通常のスケーリングだったのか,PMTCのパンフを頂いたのでそれ をしていただいたのかよくわからないところです。

 さて,その歯医者さんで歯茎の状態をチェックしていただいたのですが左上歯茎が少し 腫れているということ,また右下第1大臼歯は(これは昔第1大臼歯を抜歯したため第2 大臼歯なのですが,抜歯した後,しばらく(10年くらい)放っておいたため第2大臼歯 が手前に倒れてしまい,そのために歯肉退縮した様になりました。歯列矯正した際にこの 歯を起こし,第1大臼歯として矯正もしましたが退縮したものは元に戻るわけではないこ とをその後知りました)気をつけて歯磨きするように言われました。腫れたときにはよく 使っていた市販薬:アセスをまた使用するようにしたのですが,注意して歯磨きするよう になったせいなのかスケーリングをしたせいなのか右上の歯茎がちょっと腫れ,歯が浮く ?ちょっと痛いような感じがします。また第1・2大臼歯の間の歯茎が腫れているような 感じがします。(自分で右側を念入りにやったせいもある?)歯肉退縮が激しい部分だけ に非常に心配ですし,歯が浮くような感じがするのはどうしてなのか?がわかりません。
 また今週土曜に行くのですが,どういうメンテをしてもらえばいいのかわからないので す。河田先生のところでは通常,歯周病のケアを4ヶ所に分けて処置すると仰っていたよ うに記憶していますが,そういった説明もなかったのでどこまでお任せしていいのか,非 常に心配です。宜しくアドバイスください。

回答:
  保険の規則によると、初診時に全体的なスケーリングを行なって一か月以上経過した のちに、更なる歯石除去が必要と思われるモノについて麻酔をして深い歯石除去を行ない ます。いきなりメンテナンスと言っても保険には訳のわからない規制がありますので、あ まり懐疑的に考えるべきではありません。

これらのことがどのように行なわれるかよりも大切なことは、その先継続して毎月の歯石 除去を行なうことです。それさえやってもらえば良いという気持ちで受診しましょう。 矯正したり抜歯して歯肉退縮をしたところをどうすると言っても特効薬的に素晴らしい解 決方法があるわけではありません。他の部位同様に習慣として歯石除去を継続することだ けが唯一のケア方法だと思います。