日付、時間:Wed Nov 3 11:21:41 Japan 1999
氏名: T.S
所在都道府県:静岡
職 業:会社員
年 齢:49歳
性別: male
質問:
20年前、上前歯2本と右上側切歯1本の計3本が差し歯になりました。
今日までの間、右上前歯と右上側切歯は2回歯肉を切開し根切、根の長さは通常の
半分です。根切理由は根っ子の先周辺が痛み膿んだからです。
さて、最近激しいストレスのためか根っ子の上がまた痛くなり、続いて歯肉からの排膿もあり、
再発の兆候となりました。6年振りの再発です。
10月1日に病院での診察結果、レントゲンは根切した根っ子の先周辺が透過状態。
また、左上前歯の上にも根っ子の残骸らしき物が認められたが痛みのある2本だけ対象とする。
抜歯や歯肉切開を避け、差し歯を取り根っ子の治療から入る旨説明あり、了解を求められた。
1週間強ポンタール、セフゾン、ロキソニンで様子見するも症状は鎮静化せず。最初は経過良好と
思われたが、仕事がきつかったのが災いしたと思っている。
10月15日に差し歯2本を取り、根管を開けて根っ子の治療に入る。右上側切歯は良い経過を
示したが、右上前歯の症状の鎮静化が見られず。10月29日には開放したので痛みは抜けたが、
根っ子の中を触ると痛く拝膿もある。
同時に右下6番の治療もしており、かみ合わせが変化し左上前歯に当たりが強く、左上前歯の
根っ子の上も少し痛くなり漏孔が見られる。しかし、歯をたたいても痛くはない。
11月2日他の医師から「根っ子3本抜歯・・・」の打診話があり、11月5日に主治医交えて再検討
に入る予定。
将来の再発は覚悟の上、今回は出来るだけ保たせたい考えです。よろしくご指導の程お願い
します。勝手ながら11月4日の夜までにご返事頂けたら有り難いです。
初診時 | 根管充填時 | 10年後 |
根管口カットで処置なし | 根充後根尖部掻爬 | |3は寿命かな? |
そうなると打つべき手立ては2つ。再度根尖部からの綿密な封鎖を試みるか、不完全ながら
通常の根管治療と根管充填を行うかです。
私の臨床では、根尖部からの完璧な閉鎖は不可能だと思っています。従って、このようなケース
では根管内の清掃を十分に行ったのち、根管充填材をはみ出すくらい押し込んで可能な限り根尖
部の閉鎖を行います。
はみ出した根管充填材や汚物の量にもよりますが、必要であれば根管充填後に
根尖部の掻爬を併用すれば多くの場合が良好な予後が得られる
と確信しています。
ご意見・ご感想:
河田先生こんばんわ。こんなに早くご回答頂いて、驚きと嬉しさで
いっぱいです!
先生のHPは病気が始まり、すぐ真剣になり拝見させて頂いておりました。ご評判の通り、
ご丁寧で非常に理解しやすく、とにかく「すごい心強さ」を持ちました。
昨日初めて担当をされた他の医師からの「即抜歯の打診」は(覚悟はしていたが)非常に
ショックでした。(その前に担当した医師は「組織と歯根は短いがしっかりしている」と言って
いる)主治医は河田先生同様「根管治療の徹底」「場合によっては根尖部の掻爬」との方針
できています。
この病院は複数の医師がいますので様々な見解もありましょうが、主治医は右上側切歯は
良い方向にあると言っていますし、主治医によく相談して根気よく対処して行こうと思います。
進捗状況についてまたメールしたいと思います。それではこの辺で失礼します。本当にあり
がとうございました。
<経過報告>
11月5日がその後の診察日。
(恐る恐るでしたが)「根管治療の徹底」「場合によっては根尖部の剥離」、「最終的にどうしよう
もなかったら抜歯」との結論でした。(医師と患者の気持ちが一致しました!)
ただし、歯の「長い歴史」があり「厳しい」ことは間違いありません。
(結果論ですが・・・20年前、最初に病気になった時からこの病院に来るべきでした)
でも「順序よく治療に専念できる」ならば悔いは残りません。
どうも年をとったら自分での治癒力が落ちてきました。(仕事がきついこともあるのかなぁ?)
しかし、『頑張っていく!』気持ちが表に出てきましたので、良い結果になることに期待しています。
これも先生のおかげです。本当にありがとうございました。
左上前歯の漏孔がありますが、吸収が始まっているようですので、この歯も取って根っ子の治療に
入りました。
<経過報告2>
上前歯差し歯3本の根っ子周辺が根尖病巣「再々々発」し痛みと排膿状態が最初。これまでは
当初差し歯を担当した町医者で「歯根端切除術」を2回も行い治療してきましたが、うち2本の
根っ子が正常の半分にまで短くなり、今回の治療を難しくし治療限界に近い状態。
20年前1本8万円の差し歯でしたからその町医者の処置は(こちらから高価な差し歯取ら
ないでとお願いしなかったのに)やむを得なかったのかな・・・?
さて、過去のことを言っても仕方ないので、現在は他のある病院にて治療しています。
その病院での治療は、差し歯3本を取り除き基本の根管治療を行い現在仮封状態です。
最近では根っ子部分を下から触っても痛みがなくなり、病状は以前より大きく改善の途が
見られます。
しかし、レントゲン写真が見せられなくて残念ですが、根尖病巣がかなり大きくまだ一部排膿が
収まらず、次回(11/24)は完全な根管充填と根尖部の剥離を併用する予定です。
今日までに、河田先生の掲示板でのレントゲン写真とコメントを見ていると、治療中の根っ子
3本は抜歯かな(?)と自己診断(そして挫折)してしまうこともありました。抜歯すれば全治療が
簡単に終了し再発もしないし高価な歯を堂々と入れられます。しかし、根っ子3本抜歯は
5本犠牲になることと一緒です。半分になってしまった根っ子でも自分のものには違いが
ありません。どうしても審美性を重視したい以外は自分の歯(根っ子)が何と言っても一番です
≪最悪最終結果は抜歯かも知れませんが、苦労しても自分の歯(根っ子)を残す努力をしたい≫。
有り難いことに「頑張る」姿勢を病院に見せたら、病院側も「頑張ろう」とのことで治療が続いて
おります。これも河田先生のアドバイスのおかげです。それが証拠に全くその通りの経過となって
おります。
まだまだこれから治療が続けられますが、次回の治療によりもっと良好な予後が得られることに
期待しているところです。
ご意見・ご感想:
上前歯の差し歯3本の根っ子周辺に根尖病巣が20年間に3回発生、うち
2回は「歯根端切除術」で処置済、今回は3回目となり困って河田先生の
アドバイスを受けて参りました。そして今回3回目は2月25日(金)に手術(河田先生として
は日常臨床ですね)を受けました。
今日までの間に河田先生に何かとご丁寧にアドバイスを頂きましたが、河田先生は綿密に根管を
機械的清掃後即日根管充填する方針に対し、こちらの病院では何回か清掃後根管充填するとい
う根本的に大きな相違こそはありましたが、私の症状自体がすごくひどくかつ歯根端切除術により
短い歯根となっており、最初は医師団側では抜歯か(根っ子を)助けるかとの見解が交錯していた
ことは事実です。
しかし病院側も「綿密な根管の機械的清掃と根管充填が決め手」の考え方は同じで、根尖部掻爬
を同時併用して手術は終了しました。差し歯3本の金属ポストを抜くのに町医者は消極的だったと
ころ(素人ながらわかります)、この病院では積極的に応じてくれたことは非常に感謝しております。
現在は良好な予後に期待しています。
思うに、やむを得ない場合を除いては「歯根端切除術」の処置は避けるべきだった、と無知だった
自分を反省しています。メール文章だけで診察なしの難しい相談受付に対して積極的に回答なさ
る河田先生に敬服、また今回すごく参考になったことに対して心から感謝させて頂きます。ありが
とうございました。
一言:
順調な回復をお祈り申し上げます。