日付、時間：Tue Jul 28 14:20:38 Japan 1998 　　 アクセスポイント：210.166.101.102
氏名： 安藤典子　　
所在都道府県　東京　　 職　業会社員
年　齢２９
　　 female　　

質問：
お忙しいところすみません。メールでご判断頂くことではないとは思ったのですが どうしても一度ご意見をお伺いしたく思いメール致しました。
６月末に、一年ぶりぐらいに歯科（初めてかかる所です）受診しました。私は今までほとんど 虫歯になったことがなく一度別の歯科で親不知を抜いた時発見された虫歯を麻酔なしで削って 白いモノを噛んで詰めたという経験があるだけです（特に詰め物について選んだりはしていません）。 以降定期的にクリーニングを兼ねて虫歯がないか検査してもらっていましたが今回の受診で ごく軽い虫歯が上の歯左右の奥に一本ずつあると言われました。すぐにでも治療していただこうと 思いましたがまず検査とクリーニングと歯の磨き方の講習等で１カ月ぐらいたちまして さあいよいよ虫歯を、というところで私が長期の旅行に出ることになりました。 虫歯はその前に治しておいたほうが良いかどうか先生にご相談したところ軽いものだから 別に急がなくても痛みませんよ（実際自覚症状は全くなし）と言われたので、 結局最初の受診から３カ月後に改めて虫歯治療の説明を受けることになりました。

そこで、麻酔をかけて削った後詰め物をするが、その詰め物は金が良い、と勧められました。 再三軽い軽いと言われていたし全く痛みもないし、その程度で金を詰めたことはないと帰った後 周りの人達に言われ、少々不安になってしまいました。その歯科は前記の通り初めて受診した ところで、周りにも受診した人がおりません。今までクリーニング等は看護婦さんや衛生士さん にやっていただいているのでほとんど先生と顔をあわせておりません （レントゲンの説明と今回の虫歯治療の説明時ぐらい）。
前に削って詰め物をした歯がまた虫歯になっているようだったので白い詰め物を前にし たんですがそれはどうなっているのか、というようなことを聞いたのですがはぐらかされて 答えてくれませんでした（あるともないとも、なんとも言ってくれません）。
前に虫歯の処置をした時麻酔をかけなかった（全然痛くありませんでした） ので今度もそれぐらいの程度の虫歯なのか、それとももっとひどいものなのか知りたいと思い 麻酔はかけるんですか、と聞いたら普通虫歯治療で歯を削る時には当然かけるし、かけなければ 痛みを我慢して患者は治療を受けなければいけないのだ、と言われ（じゃあ、この間の虫歯より ひどいんだ、と思って）「この間はかけなかったので・・（その時より悪化してるんですね）」 と言いかけたら「普通はかけるんですよっ」と言われてしまいました。私自身が麻酔なしの治療を 現に受けているので、これはこれこれこのように削るので麻酔をかける、と言われれば納得できて も普通かけるもんだ、かけなきゃあなたが辛いだけ、という説明では納得できません。 ごく軽い虫歯、という説明だったので、「周りをぐるっと削っていくので麻酔なしではできない」 と言われて不安になってしまいました。本当はその担当の先生にとことん聞くのが良いのでしょう がなんだか聞いたことにそのまますぐ答えて下さらないのとすぐに退席されて看護婦さんだけに なってしまうので時間もなく帰ってきてしまい後で不安になってしまいました。

とにかく、あなたの歯のためには金がいい、としか聞かされず （他にも「セラミック」と「銀色をしたもの」があるが、とは聞きましたが）１０万円（２本分） 用意してこの次来て下さい、と言われて帰ってきました。歯ブラシ等の販売を熱心にしていたり することもあり、その歯科に対してちょっと不信感があるかもしれません。
ご不快に思われたらすみません。もちろんこの文章だけでお答えにも限界があると承知しては おりますが虫歯の治療にはどんなに軽くても削った以上金を入れるのが普通なのかどうか等 一般的な治療法をお教え頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願い申しあげます。

メールアドレス： anchang@mb.infoweb.ne.jp　　 ホームページURL： http://

　要約すると、以前麻酔なしでコンポジットレジンを詰めた歯を今度は麻酔をして削ってインレー を詰める。詰めるにあたって金が良いですよ。ということですね。

　ムシ歯を治療するにあたって麻酔を使うか否かは、ムシ歯の深さ（大きさ）と場所（神経との距離）、 それと神経が炎症を起こしているかどうかによって判断します。削ってもたいした痛みがないだろう と思われる場合には麻酔は使いません。麻酔（注射）そのものにも当然痛みがありますので、 少々の痛みだと我慢していただいた方が得策だと判断される場合です。
大臼歯の咬合面（咬み合わせ部分）の限局したムシ歯ですと麻酔なしで削った方が得策である 場合が普通です。ところが、今回の様に隣接面（隣りの歯との接点）にかかるようなムシ歯ですと 通常は麻酔を使った方が得策です。従って、麻酔云々の話しは別段問題にはならないでしょうが、 説明が不足 or 不適切であったことと思います。

　一度、咬合面にコンポジットレジンを詰めた後、隣接面に新たなムシ歯が見つかって インレーにすることは決して珍しいことではありません。隣接面を含むムシ歯の治療は 通常インレーを選択します。さて、その時の材質ですが、“金”は親和性や適合に優れ インレーの材質としては最適のものであるとほとんどの歯科医が信じています。 保険で使う金属は、金ー銀ーパラジウムの合金で一般には“銀を詰める”という言い方をしています。 問題は“金”と“銀”の費用の違いです。“金”は１本５万円ですか・・・高いですね。 かたや、保険適応の“銀”は１本\1000〜\2000です。
「少しでも良い物を患者さんに勧めるのが良医の勤め」と言う考え方もありますが、値段の違いと 得られる効果の違いを天秤にかけた場合、保険適応の“銀”で十分・・・というのが私の考えです。 “金”にしても二次カリエスにもなりますし、脱離もします。ご質問のケースですと “金インレー”にする必然性は全くありません。
“金”を勧めるのなら、もっと適切な説明をするべきですね。

結果：
結局、２本削ってインレー（金）を入れる、と言われていたものが ご紹介の江端先生に診ていただいたところ １本は削らなくても良いでしょう、とのことでしたので １本のみの処置となりました。
そのかわり、これ以上悪化しないよう 食べたらすぐみがく（フロスもちゃんと使う）ことを肝に銘じること、と。 丁寧に説明していただき、安心して治療を受けさせていただけること 感謝致しております。