私の場合ですと、歯周疾患の手術をする時には必ず抜髄して行います。
術後の知覚過敏

日付、時間:Sun Nov 21 3:05:50 Japan 1999    氏名: ss   
所在都道府県:千葉   職 業:会社員   年 齢:38歳      性別: male  

質問:
初めまして。インターネットを利用することのできない私の友人からの質問です。 彼女は、私と同い年です。
2週間程前、都内の歯科医院で歯槽膿漏の手術を受けました(左右の糸切り歯の間全て)が、 その後、冷たい飲み物がしみるようになってしまったとのこと。
特に、グラグラした歯はなかったのですが、膿んでいる部分があるので処置をした方がいいと 言われ思い切って受けたところ、体質のせいで麻酔があまり効かず、かなりの痛みがあり 精神的にダメージを受けてしまいました。
「しみるなどと言ったら、今度は何をされるやら・・・。」との不安で歯科医に言い出せず、 また、膿んでいたところの状態は相変わらずだし、今度は下の歯(1ヶ所グラグラしている)も 3回に分けてほぼ全部行う必要があると言われました。
これ以上、下の歯もしみるようになってしまったら非常に困るし、何よりあの痛みはもう味わいた くないと、どうしたものかと不安になっています。先生のご意見をお伺いしたく存じます。

ご意見・ご感想:
先生のホームページは内容が濃く、たいへんに参考になります。 これからも、いろいろ勉強させていただきたく存じます。
今回、質問をさせていただきましたが、メールアドレスの公開はご容赦いただきたく、あえて 記入致しませんこと、お詫び申し上げます。何卒よろしくお願い申し上げます。

回答  知覚過敏は歯周疾患治療を進める上で非常に厄介な存在です。 一方で、この知覚過敏の病態を正しく認識されていないために状況を悪化させるケースも 見受けられます。

 歯周疾患進行に伴う知覚過敏を“象牙質知覚過敏症”といいます。歯周疾患がある以上 徹底した歯石除去(時として手術)が必要ですが、除石を行うことにより知覚過敏がヒドクなる ことも稀ではありません。象牙質知覚過敏に対しては 薬剤塗布やレーザー照射により歯髄保護を最優先して治療を進めることは言うまでも ありません。
 ところが時として、 歯の神経があるが故に歯周疾患症状を 増悪する症例も多く存在します。また、上行性歯髄炎 という病態では、急激な歯槽骨破壊を許し、わずか半年程で歯牙喪失の危機に追い込みます。
 従って、知覚過敏処置を行いながら歯周疾患処置を行うのは当然ですが、状況によっては 知覚過敏のヒドイ歯の神経を取ることが必要です。しかし、この考え方は一般に理解されて いないので積極的な抜髄は難しいかもしれません。

 私の場合ですと、歯周疾患の手術をする時には必ず抜髄して行います。それは、手術を 選択する時期が一般と大きく異なって、“抜髄しても勿体無くない→通常抜歯”状況下で 選択するからです。手術後の経過が良い秘訣はここにあります。

 “膿んでいたところの状態は相変わらず”というのはいただけませんね。 「すでに手術したところに関しては状況によっては抜髄。これからのところに関しては、 手術を見送っても最低徹底した歯石除去と知覚過敏処置→状況によっては抜髄。」 それとグラグラしているところは、何らかの連結固定が必要ですね。

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