日付、時間:Mon Dec 20 22:41:53 Japan 1999
氏名: T
所在都道府県:東京
職 業:主婦
年 齢:38歳
性別: female
質問:
3年前に歯並びをよくしたいため、前歯4本を削って、作った歯をはめこみました。
その際、神経を2本とりました。
その後から前歯の付け根がときどき痛み、1週間前に上顎が腫れてすごい痛みに2日間おそ
われ、大学病院にいき、レントゲンをとりました。上顎に膿がたまり、その袋が大きくなり鼻の
方にもふくらんでいるといわれました。膿は鼻から外へ出たようです。
今は痛みはないのですが、前歯の付け根が気持ち悪く、鼻の奥がクチュクチュと時々いって
います。
病院では切開して膿のたまる袋を全て摘出しないといけないと言われたのですが、なんとなく
心配です。治療方法はそれしかないのでしょうか?
そして、その手術をしたあと、また何か調子悪くなることはないのでしょうか?
手術は1ヶ月くらい先になりそうですが、そんなに先に延ばして大丈夫でしょうか?よろしくお
願いします。
手術を1か月先に延ばすことは、今更問題はありません。それよりも!
今のまま根尖部の嚢胞を全部摘出しても絶対良好な予後は見込めません!!!
さしずめ病名としては「歯根嚢胞」ということになるようですが、発生原因は歯根膜炎や根尖
病巣と同じく根管治療の不備です。神経を取った時の処置に由来して、根管内に多量の汚物
が貯留したために、根尖部に炎症が起こったものですから、根管内の汚物を完全に除去しない
限り根本的な治癒は見込めません。
まず該当歯に装着したクラウンを除去して、根管内の清掃(感染根管治療)と綿密な封鎖
(根管充填)を行うべきです!それだけでも快方に向かって完全治癒も可能です。しかし
現実の問題としては、根尖部に相当大きな病巣があるようですので「嚢胞摘出」も必要となる
可能性は高いと思います。
返信:
みず知らずの私に、さっそくの回答、本当にありがとうございました。
顔の中の手術で、全身麻酔でと、言われていますので、今まで病気一つしたことのない私ですの
で、本当に怖くて、精神的にまいってしまいそうです。知り合いにお医者さんもいないので、相談
する相手もいなく、インターネットで先生のページを見つけて少し救われた気分です。
今は昭和大学付属病院で検査をしながら、近くの歯科でクラウンの裏に穴をあけ、根の治療をし
ています。ほかの大学病院にも行ってみようかなとも思っていますが、診断はどこも一緒でしょうか?
顎の中の膿の袋をとることは別によくあることなのでしょうか?
ただ、私の場合は結構大きくなっているようです。鼻の方にもいっているようなので。そして、手術
が終わって、その後のことも心配です。手術後、どんな注意が必要なのかも教えてください。
よろしくお願いします。
回答:
根管治療をしているのであれば安心しました。根管治療および根管充填に問題がなければ
嚢胞摘出は大丈夫です。
大学病院レベルでは、嚢胞摘出は日常茶飯事です。しかも場所的にもほとんど問題のないと
ころです。一番簡単な手術といっても過言ではありません。手術の方法として、全身麻酔を選ぶ
か局所麻酔でするかは大学によって違うと思いますが、処置そのものは大差ないと思います。
手術後の注意は担当医からあると思いますが、「強く鼻をかまないように」、骨壁が薄くなって
いるはずですので→従って風邪をひかないよう体調の維持に万全を尽くしておくことが大切です。
返信:
ありがとうございました。先生のアドバイスで安心して手術を受けられそうな気がします
(まだまだ恐怖はありますが)。これからまだまだ検査などがありますが、1ヶ月先の手術に
向けて風邪を引かないよう体調を整えていきたいと思っています。
また、何かありましたら相談にのってください。お願いします。
返信:
12月20日に歯根のう胞の事で相談にのっていただいた者です。歯の根の治療をしながら、
大学病院に通っていますが、入院して全身麻酔でのう胞摘出の手術を受けることになりました。
それに先立ち、教授診察で手術の時歯の根を切る処置もすると言われました。先生のホーム
ページによるとあまりその処置はしない方がいいと言われているような気がしますが、(私の読み
違いかもしれませんが)私のように病巣がかなり大きくなっており、のう胞摘出手術の様な場合は、
その処置も仕方のないことなのでしょうか?
また、その処置をした後、数年後にその歯は抜歯という運命になってしまうのでしょうか?
それから約3週間後の手術までに、歯の根の処置は間に合うのでしょうか?またまた、新たな
不安が出てきてしまいましたので、よろしくお願いします。
回答:
1カ月の猶予をもって、根管治療の後に嚢胞摘出ということで一安心しましたが、私の理論
からするとやはり誤った治療方針だと思います。
しかしこれが、今の歯科界を支配する圧倒的な考え方ですから“困った問題”だと思います。
「教授までが…」というか権威の象徴である教授がそのような考えだから、一介の開業医の
意見などは通用するはずもありません。
せめて、「歯の根を切る処置」をしなければ…。無意味というよりは、有害な処置だと思います。
それでも、根管治療がしっかりしていればかなりの年月、大丈夫な場合もありますので任せて
みるのも悪くはないかも知れません。
この議論は、あくまでも治療理論に自信を持った一開業医と、歯科の正統派と名のる体制
との見解の相違です。どちらを信じるかはお任せします。
一つの提案をします。一度(2回)姫路まで来てください。根管治療と嚢胞摘出を1日で行います。
1週間後にもう一度抜糸にきてもらう必要があります。おそらくそれでうまくいくはずです。
ダメならそれからでも大学病院で何とかしてくれるはずです。「歯の根を切る処置」をしたあとでは
どうしようもありません。