日付、時間：Sat Jan 22 0:18:11 Japan 2000 　　 氏名： naomi　　　
所在都道府県：東京　　 職　業：その他 　 年　齢：歳　　　 　 性別：　female　　

下顎骨の長さ

成長期における何らかの原因で長さと形態が非対称 15歳　女性

質問：
　顎関節症の治療について質問します。
20歳頃，口が３センチほどしか開かなくなり，約１週間後「カキン」という音とともに口が開くように なったのですが，下顎を左にスライドさせた後でないと大きな口を開けることができなくなりました。
そのころは，「まあ開くようになったんだからいいわ」と，別に気にしなかったのですが，25歳くらい になると，顎が痛んだり，顎から首，肩，頭にかけての不快感やこりを感じ，以前から気になってい た顔のゆがみも目立つようになってきました。
近所の歯科医院で診察してもらうと，「顎関節症」といわれ，就寝時にマウスピースをつけて寝る という治療を１年ほど続けましたが，いっこうによくなりませんでした。
そこで，本で専門に治療してくれる病院を探し初め，，27歳のとき，大学病院と提携して顎関節症 を治療している矯正歯科医院にいきました。レントゲン検査の結果，「左右の下顎骨の長さが 違う。たぶん小さい頃顎をぶち，ずれたまま成長したので長さが変わったのでしょう。」「歯の 矯正をしてから（乱杭歯だった），長い方の骨を削る手術（全身麻酔手術，その後顎保定のため ２〜３週間入院）をし，そして正しいかみ合わせする」という診断でした。はやくこの不快感から逃 れたいため，すぐに，矯正治療を始めました。
ところが，最近体調不良で（不妊，ストレス，全身倦怠，意欲の低下など），漢方を出してくれる病 院で診察してもらったら，「あなたが私の姪だったら，手術はやめさせます。あなたは，背骨，体が ゆがんでいるから顎が悪くなるんです。整体などで背骨のゆがみを治せば手術しなくても治ります。 やめた方がいいですよ。」と言われました。 私は以前本で「顎がずれると，首の骨から背骨，そして 体全体がゆがんでくる」と見たので，この先生の言うことが納得できません。けれど，この先生も医 師免許を持っているちゃんとした医者なので，心が揺れました。
この夏手術予定ですが，本当にこのまま手術をしていいのか，かえって悪くなるのでは・・とかなり 不安になっています。 先生のご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

　下顎骨の形態異常に伴う“顎関節症”の治療は、非常に厄介な問題を含んでいます。 形態異常があっても、不快症状が発現しないとか程度が軽い場合には、自然治癒する可能性も ありますので極力積極的な治療は避けるべきだと思っています。
　当初（25歳当時）の症状が積極的な治療に値したがどうかも問題ですが、これからの手術を含 めた治療にも一抹の不安を感じます。何分顎関節症治療の経験・実績を豊富にお持ちの先生方 がお決めになった処置方針ですので“それなりの勝算”があるようにも思います。

　顎の変形の原因が何であるかは不明ですから対応のしようがないし、変形が 諸症状の原因になっている限り変形を解消（手術）することは決して間違った方向でもあり ません。ただ、手術をするとなると、顎関節付近を走行する神経に一時的とはいえ傷害が起こる ことは避けられないことのように思います。従って、その神経の支配下領域の麻痺は程度の差は 別にして間違いなく発生するでしょうね。麻痺の回復には数年かかります（程度による）ので、その リスクをどう判断するかは難しい問題です。

　「顎がずれると，首の骨から背骨，そして体全体がゆがんでくる」ことも事実ですが、反対に背骨 等にズレがあるために顎がずれたり変形を助長することも考えられます。整形外科やカイロプラク ティック等での診断を参考に慎重な対応をするようにされた方が宜しいかと存じます。

一言：
　顎関節の外科的処置は、部位的にも大きなリスクのある手術ですが、当然それに見合うメリット もあります。良好な経過、心よりお慶び申し上げます。