日付、時間:Wed Jan 26 11:36:43 Japan 2000
氏名: K.A.
所在都道府県:東京
職 業:その他
年 齢:41歳
性別: female
質問:
はじめまして。12年程前、妊娠6カ月の時に歯ブラシ中突然かなりの出血をし、近所の
歯医者さんで歯石取りやブラッシング指導を受けとりあえず沈静化していましたが、出産後2年程
の間に上の前歯4本がぐらつき始め、歯並びも崩れ出っ歯の状態になってしまいました。
歯槽膿漏と歯並びを何とかしたいと思い再び通院し始め(この時紹介されて訪ねた矯正専門の先
生の話では、この4本は1〜2年の間に抜くことになるから今更…と主治医の先生に返事がありまし
た)スケーリングをする一方根管治療・連結固定、奥歯を高くしたり、内側に倒れ気味に生えていた
左上3をワイヤーでおこしたり咬合調整をしながら、主治医もなんとか少しでも自分の歯を残せるよ
うにと治療にあたっていました。
前歯に限らず、体調を崩すとあちこちでトラブルが出てきて、根管治療・歯茎を切開しての治療。
1年前より、左上 2と左上1(根管治療済み・メタルコアが入っている)と右上1(根管治療済み)を
仮歯で連結中。
ところが左上3の根元(小鼻の下あたり)が矯正とは違うの痛みを感じワイヤーを外して根管治療を
しましたが、レントゲンで見ると根管充填されたところ以外(22ミリ位の根管の中央横あたり)にも
病変部があり歯茎を切開して治療しました。
その後3カ月忙しく通院できずにいると再び小鼻の下あたりがズーンと痛むようになり、よく見ると
左上3の歯茎が口唇の根元までぱっくりとえぐれていました。犬歯は根元まで見えています。
上顎112の仮歯をそろそろ取ってと言っていた矢先のことなのでショックでしたが、
●えぐれた歯茎は治らないのでしょうか。
●仮歯をとって上顎112の動揺の状態にもよりますが、1123の連結、21123の連結等は可能なの
でしょうか。今はとりあえず112と3を固定してあります。
●本気で3の抜歯を考えなければなりませんか(また腫れてきています)。抜歯せず連結しても抜歯
してブリッジにしても、ダメもとの112でしたがその歯への負担はどうなのでしょう。
3でうずいている歯茎の影響も気になります。
先生のご意見をお聞かせください。もし直接お見せした方がよければ姫路まで駆けつける気持ち
です。よろしくお願いいたします。
メールアドレス: QWN00515@nifty.ne.jp
ホームページURL: http://
“ちょっと気になる症状”から“実質的な障害”が現れるのに10年かかります。
この間、徹底したスケーリングを継続していれば20年近く進行を先延ばしすることが可能だった
ように思います。
済んだことはさて置いて、これからの対応を考えなくてはいけませんね。
文面からだけでは、|3の炎症を引き起こした原因が分かりません.穿孔とか亀裂のような
ものが原因のように思いますが、いずれ生体にとっては好ましくない状況があるものとおもわれます。
生体は、その異物部位を生体外へ排出(歯肉破壊)することにより解決しようとしているみたいです
が、手術等により異物性が排除できれば元のサヤに納まる可能性もあります。この問題を解決しな
いままでの連結固定は無意味なものになってしまいます。
犬歯の咬合負担能力は大きく、できることであれば保存方法を模索すべきですが、もっと大切な
ことは全体の歯牙保存方法です。全ての歯が現状維持できるのであれば、犬歯1本の存在はそれ
程大きな問題ではありません。特に、上顎前歯存続の鍵を握っているのは、臼歯部の咬合支持で
す。体調を崩すと現れるトラブルの原因を一つ一つ消去して、臼歯部の存続を維持すれば犬歯の
存在の如何に関わらず前歯部の保存が可能になると思います。
質問:
26日に質問を送ったものです。すぐお返事をいただけ心強いです。先日の内容に関して
の質問なのですが、
●犬歯3に対する手術等の治療とはどんなものなのでしょうか。一般の歯科でも行える程度のもの
なのでしょうか。正直なところ私の主治医は犬歯に関してこれ以上の治療は行わず112との連結で
保存させていく方針だと思います。歯茎がえぐれてしまったことでも、なぜこんなになってしまったの
か……という感じで治療に迷っていると言った印象です。
歯茎を切開した治療の予後がよくなかったのか、不十分だったのか。他の先生に抜歯と言われて
いた前歯4本に関しても治療に迷いながらも10年保持できたのは今の主治医の先生のおかげと
思っているので、結果として歯石除去が不十分だったとは思いますが、転院というのはつらいもの
があります。ただ河田先生のおっしゃる通り3の治療なくして云々は何とかしなければと思います。
今の先生から大学病院などを紹介していただいた方がよいのでしょうか(紹介してもらえるかは
解りませんが)。近隣の歯医者さんで果敢に治療してくれる所を見つけるのは、かなり難しいです。
メールアドレス: QWN00515@nifty.ne.jp
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“犬歯に対する手術”は、原因を排除するための外科的手法という抽象的な意味です。
教科書に書かれたような一般的な手術方法ではなく、原因と思われるものを、現存する材料を
用いて可及的に排除して、歯牙保存を試みようという可能性を追求したもので、実物を前にして
始めて浮かぶ妙案ですのでとても文章で表現できることではありません。また、必ず妙案が存在
するとも限りません。
ですから、経験の異なるドクターに同じ妙案が可能かどうかも分かりません。可能性を究極まで
突き詰めることも必要ですが、折角信頼できる先生に診ていただいているようですのでトータル的な
ケアをお任せされてはいかがでしょうか。
左上犬歯は、根尖部まで完全に歯肉から露出しています。周囲骨との健全な結合も全くなく
保存の可能性は全くありません(抜歯)。同様に1|1の歯槽骨吸収も著明ですが、僅か
ながらも周囲骨との結合が残っていますので保存の方向で考えたいと思います。
最終的には3-|-4を手術して連結固定することにより10年近く機能させることが可能
かもしてません。
将来的には上顎前歯部の喪失は避けられないものと思いますが、その時点で臼歯部が現状
維持できているようですとインプラントによっての回復も考えられます。
質問:
先日はどうもありがとうございました。この何カ月か犬歯が「抜けてしまった!」と言う
悪夢にうなされていたので、そのストレスからやっと解放されたという感じです。無くなってしまっ
たのは残念ですが、残った歯を大事にしていきたいと思います。
で、先日治療したところのことで2点お聞きしたいことがあります。
●根管治療した右3の歯茎に鈍い痛みがあります。根に添って、上から指をあてるとよくわかり
ます。小鼻のちょっと下あたりでしょうか。
●連結した仮歯が歯茎にかかっているので、掃除がしにくく(歯間ブラシが入りません)ゴミの入る
のが気になります。右3と4の間の歯茎もジンジンと少し痛んでいます。そこは一番細い歯間ブラシ
で掃除していますが。3月下旬には次回の治療に伺うつもりなので、様子を見ていてもいいものな
らば(いまのところ大変腫れてきたとか、薬を飲んだり痛くて我慢できないほどではありません)そ
のままにしておきます。近所の先生に様子を見てもらったほうがよければ……根性据えて行きた
いと思います。
根管治療時の状況からは、根管治療には問題なかったと様に思いますが場合によっては
何らかの不備があるのかも知れません。レントゲンを見て一つ思い当たるのは、犬歯の近心
側(手前側)の骨欠損が深く、その深い位置(根尖側1/3)に歯石が残っていました。根尖部と
はかなり近接していますのでちょっと見分けがつきにくいかもしれません。
仮歯については、時間の関係で最後にちょっとあせったようですね。もう少し清掃性を良くして
おくべきだったと思います。痛みのある部分は、不適合か仮着セメントの残留だと思います。
普通仮歯は1週間ごとに除去して清掃しますのでそれ程問題になることもないのですが、治療
空白期間の長さを考慮すればちょっと問題でした。
不可逆性のダメージはないと思いますが、ただでさえ根尖部付近に歯石が残っていて炎症を
起こしているかも知れない状況ですので炎症がヒドクなる可能性もあります。現状のまま推移
しているようですとそのままでも結構ですが、炎症がヒドクなって歯肉が腫れるようですと“清掃
+排膿”みたいな処置が必要になります。さしあたっての対応は、ブラッシングを丁寧にすること
です。
近所の先生には、後々のメインテナンスの問題もありますので経過と今後の予定(前歯だけは
手術をする旨)を伝えてご意向を聞いておかれた方が宜しいかと存じます。