必要なことは、歯肉縁上・縁下を問わず歯石を完璧に取り去ること。
P-CurとSRPの相違点

日付、時間:Sun Feb 6 4:16:18 Japan 2000    氏名: K.K   
所在都道府県:東京   職 業:歯科衛生士   年 齢:22歳      性別: female  

歯石の除去
スケーリング 歯肉縁上の歯石除去
ディープ・スケーリング 歯肉縁下の歯石除去
スケーリング&ルートプレーニング(S&R) 歯肉縁下の歯石除去
+根面の処理
歯肉掻爬術(P-cur) 歯肉縁下の歯石除去
+不良肉芽の除去
質問:
 はじめまして。先生のHPは内容が充実していてとても勉強になります。私は歯科 医院に勤務して2年になる者です。
前から気になっていた事なんですが、スケーリングとルートプレーニングの違いとは?
P-CurとSRPの相違点は?
それぞれの適応症を教えて頂ければ幸いです。(特にSRPの適応症について)無知な者でお恥 ずかしいです。当医院では歯周治療は歯周基本検査、スケーリング(超音波スケーラー)ブラッ シング指導。その後歯周基本検査でだいたいポケットが5mm以上の患者さんに対してルートプ レーニング(キュレットスケーラー)を行います。
P-Curは再検査後まだポケットの改善、根面の滑択化が図られなかった時、実質的にはSRPを 再度行うことをしています。スケーリングは歯石除去。ルートプレーニングは根面の滑択なんで すが、実際問題麻酔科で行うSRPは不良肉芽もソウハするのでP-Curを行っていると思うので すが・・・。
保険治療の流れとの兼ね合いもあるからなのでしょうか?

メールアドレス: kanako1@anet.ne.jp   ホームページURL: http://

回答  “保険治療の流れ”以外の何ものでもないでしょう。
必要なことは、歯肉縁上・縁下を問わず歯石を完璧に取り去ることと、再び付着するのを阻止する ためにも根面の処理を行うことです。また、一度除去しても必ず歯石が付着しますので、メインテ ナンス時に新たな歯石を取り続けることです。
 歯石を取るにあたって、深さや周囲の状況に応じて、麻酔をしたり、クラウンを除去したり、 最終的には歯肉をめくって(剥離)でも、より完璧に取ることが要求されます。

 これを“お役所的に”文章にまとめると、
「効率良い治療を進めるために、歯周検査結果に基づいて必要と 認められた場合に、スケーリングを行い、更に必要であれば麻酔を 使って根面の滑択化を含めたスケーリング(S&R)を行う。」と表 現されています。

 つい先ごろまでは、根面の滑択化の概念が希薄で不良肉芽の除去に重点をおいた考え方 だったので根面の滑択化を優先するために新たな名称を提唱したのが実態だと思います。 “不良肉芽の良性転化”という言葉もあるように、原因を除去すれば不良肉芽は正常に治癒する わけですから不良肉芽の掻爬は全く不要と考えられます。ただ、実際には、根面を処理するに当 たって不良肉芽の除去も行っていることになります。
 “P-Cur”って誤った認識の元に生まれた名称ですので、さっさと消滅させれば良いものを面子を 保つために残しているように疑ってしまいます。

 学会では、スケーリングからP-Curまでを、歯周疾患初期治療。それ 以降の種々の手術を歯周外科処置と大雑把に区別しています。
 「かつて衛生士は“スケーリング”だけ。今は、“ベテランの衛生士ならS&RやP-Cur”も可。」と 解釈も変わっていますが、衛生士の業務範囲を規定するための名称のようにも思います。 歯周組織検査も重要な資料ですが、歯肉炎症の残っているところには必ず歯石が残っています ので如何なる手段を使って歯石の除去を行うことが大切です。

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