日付、時間:Wed Feb 9 0:03:17 Japan 2000
氏名: F.Y
所在都道府県:東京
職 業:自由業
年 齢:31歳
性別: female
質問:
初めてお便りします。思ってもいなかった病気の可能性を示されて動転している者です。
治療法等をご説明いただけると幸いです。
我ながら臆病者だと呆れるのですが、二年越しに定期的に痛んでいた右下親知らずを先日やっと
抜歯しました。少しだけ顔を出しているため、隙間の掃除がやっかいで歯間ブラシを使っては、出
血、をくりかえしていました。大学病院でレントゲンを撮ってみると、手前の7番に食い込んで虫歯
になっている、下の骨が炎症をおこしている、親知らずと7番の間の歯肉が濁って写っている、との
ことで観念した次第です。
骨の炎症とは、なんでしょうか?
下あごの骨を削り取るのでしょうか?
濁っている歯肉はのう胞か腫瘍、不良××(動揺して聞き取れませんでした)であろう、とのことで
した。先日抜いて見たところ、どうものう胞ではないらしいとのことです。検査結果を待たねばなりま
せんが、腫瘍だったらどうしようと不安でしかたがありません。
治療のプロセスを教えていただけないでしょうか?もし腫瘍だったとしても心構えが出来ていると違
うと思うのです。どうぞよろしくお願いします。
ご意見・ご感想:
歯が痛い晩に、「親知らず」「口腔外科」「抜歯」という単語で検索をかけました
。河田先生のHPがHITして本当にラッキーでした。おかげさまで、親知らずを抜こう、そして歯石を取
りまくろう、と固く決心できました。これからもよろしくお願いいたします。
“もし腫瘍だったら”…おそらくそのまま治癒を待つだけでしょ。
癌のような悪性腫瘍だったら、入院して化学療法・放射線療法を行わなくてはなりませんし、それは
大変な大騒ぎになります。それ以外の良性腫瘍や嚢胞であれば、すでに外科的に取り去っています
ので経過を観察するだけです。
とはいっても、99.9%は単純な不良肉芽ですよ。大学病院勤務時代に、1度だけ抜歯窩(親知らず
以外の歯)に癌があったのを経験していますので遠慮して99.9%ですが、普通の親知らずを抜いて
腫瘍だのがあることはほとんど考えられません。大学病院ですから病理検査を行いますが、普通は
何の疑いも無く不良肉芽として対処して何事もなく治癒しています。
“骨の炎症”も騒ぎ立てなくても、日常茶飯事に全ての口腔内で起こっています。歯槽膿漏も骨
の炎症です。親知らずも口腔内に一部でも露出すると歯石が沈着したり汚れが貯留します。場所柄、
他の歯以上に貯留しやすいので炎症も頻繁で激しいのが特徴です。炎症は、歯石などの周辺で起こ
りますので、骨や歯肉が炎症領域に含まれます。炎症領域に存在するのが不良肉芽です。不良肉芽
の拡大に伴い周辺骨は破壊されます。親知らず周辺の炎症を“智歯周囲炎”と呼びますが、これと
同じメカニズムで破壊された骨欠損を歯槽膿漏と言います。
何があっても不思議のない世の中ですので、ご心配の件を完全に否定することはできませんが、
あまり過剰な反応はかえって身体に悪いですよ。