日付、時間:Wed Feb 16 19:58:01 Japan 2000
氏名: M.Y
所在都道府県:京都府
職 業:主婦
年 齢:28歳
性別: female
質問:
今まで歯に関するHPを沢山読んできたつもりですが、先生ほど合理的で信頼できる
考えをお持ちの方には巡り合えませんでした。お忙しいとは思いますが、先生にご指導して頂
けると大変心強いです。よろしくお願いします。
私は顎が小さく、上の前歯が左右対称に45度程傾いて並んでいます。気にならない程度の出
っ歯です。下は左右とも側切歯が犬歯とクロスするように並んでおり、特に右2が前に押し出さ
れています。右2は舌があたって気持ちが悪くストレスになっています。
審美性の追求というよりは前歯の重なった部分の虫歯が急に増えてきたことや、ブラッシングし
にくく将来の歯槽膿漏への危惧下右2の舌癖の理由で矯正を考えて専門のドクターに相談しに
行くと、「あなたの場合上を2本抜いてしまうと今整っている上唇が貧弱になるかも知れないので
抜歯せず、上の歯を全体的に少しずつ小さく削って(「ストリッピング」と教えられました)矯正しま
しょう。
下は右2の一本だけ抜歯して前歯3本になりますがこの方法だと一年くらいで終わりますよ。」と
のことでした。「ストリッピング」と言う言葉は始めて聞きますし、最新の方法(?)というこ
とでどんなリスクがあるか不安で決心がつきません。削るということは虫歯になりやすくなってしま
うのでしょうか?
今のところ噛み合わせや歯茎にさほど問題はないそうです。
1 矯正後、下の歯が奇数になることによって噛み合わせが悪化することは結構ありうるのでしょうか?
2 ストリッピングをすることで将来却って虫歯が増える可能性は?
3 矯正による歯根吸収の可能性を先生はどうお考えでしょうか?
HPの内容と重複する所もあるとは思いますが今一度先生のご見解をお聞かせ頂ければ心強いの
ですが・・・。ご多忙とは思いますが何卒よろしくお願いいたします。
P.S. お体に気を付けてこれからも頑張ってください。
歯並びが悪いと、ムシ歯や歯周疾患になり易いのは事実です。またムシ歯になっても
治療しにくく、納得のできる治療ができません。納得しても後々不都合が生じる場合が多
いのに、納得のできない治療ではなおさらです。
ご指摘の矯正方法は、治療期間も少なく合理的で好感が持てます。抜歯する数が少なく、
歯の移動量も少ないので“歯根吸収の可能性”は最小限に抑えられます。抜歯後奇数本に
なることは何も弊害はありません。
また、“ストリッピング”は何も新しい手法でもなく、昔からある矯正手法の一つです。ご指
摘の通り、エナメル質を少し削除しますので、ムシ歯になり易いと言えばそれもあるとは思
います。しかし、それよりも、今の状態の方がもっとリスクがあるわけですから治療効果とし
ては十分有効性が勝っています。
歯を抜くリスクよりも格段リスクが低く賢明な選択だと思います。
返信:
お忙しい中、早速お返事を頂き感激いたしました。本当に有難うございます。
今日は矯正に備えて右下6番と7番の2次カリエスの処置を始めました。まだ詰め物を外して、
仮のインレーを入れてある状態です。「結構深いので、様子を見て痛むようであれば神経を取
ってしまうしかありません。」と言われました。神経は極力残しておきたいのですが・・・。
先生のHPのお陰で歯に対する意識が変わりました。(当たり前のことですが)失ったら二度
と戻ってこない自分の歯を大切にしていきたいと思います。
私は上の前歯二本が蝶のように45度斜めに左右対称に並んでいますが、唇・顎・口元の形には
問題がありません。矯正することにより口元の感じが変わると聞いたことがあるのですが、もとも
と整っている場合は却って審美性が損なわれることもありうるのでしょうか?
気にならない程度の出っ歯であり、審美の面でも現状は問題ないことから専門医は上は全く抜歯
せずにストリッピングで矯正するよう(下は右2側切歯を一本のみ抜歯して矯正)勧めてくれている
のですが、それでも今の口元の感じがどう変わるのかと思うと心配で決めかねてしまうのです。
歯が磨きにくく虫歯が増えてきたことや、右下2の側切歯への舌癖と不快感、将来の歯槽膿漏・虫
歯への心配のために矯正を考えているのですが、現状は問題のない審美性が却って損なわれるく
らいなら矯正を諦めることも考えております。
答えにくい質問になってしまって申し訳ないのですが、是非先生のご見解を頂きたくてメールさせて
いただきました。ご多忙とは思いますが、よろしくお願いいたします。
回答:
審美性追及の矯正をして、審美性が損なわれることはないと思います。
ただ、矯正期間中の苦痛は無論のこと、矯正することによって引き起こされるムシ歯や歯周疾患
へのリスクと、後々に得られる審美性やムシ歯・歯周疾患抑制効果にはそれ程大きな差がないみ
たいですね。
元々、成人の矯正には否定的な考えですから、「審美性の要求がとっても強いのであれば仕方
ない」と助言していますが、今回のケースでは無理して矯正する必要がないと思います。