日付、時間:Sat Mar 25 21:49:07 Japan 2000
氏名: T.Y
所在都道府県:大阪
職 業:その他
年 齢:28歳
性別: male
質問:
歯茎が全体的に痩せてきています。特に下の犬歯のあたりは正常な位置より5ミリ程
下まで歯茎が下がってきています。腫れたり、しみたりということはないので歯槽膿漏ではないよ
うな気がします。
子供の頃に左の上下の歯(どの位置かは不明)を各1本ずつ抜いて矯正しています。そのせいか、
特に左の下の犬歯は歯茎から歯の根元が透けて見えています。このままほっておけば歯茎を突
き抜けてくるのではないかと思うほどです。
かかりつけの歯医者さんには「歯磨きの方法が悪いのでは」と言われました。たしかに力任せに
磨いていたので「そうかな?」とも思うのですがこのままほっておいてよいものかどうか、さらに元
には戻らないのか等思いはつきません。どうかよきアドバイスをお願いします。
一般に“歯茎が痩せる”という表現を使いますが、この表現が結構誤解の元になっているように
認識しています。
「歯磨きの方法が悪いのでは」というのも、一部では事実として存在するかも知れませんが真理
でもないような気がします。正確には、歯槽骨の破壊が歯肉退縮の原因だと思います。
生体の基本的な構造として、骨や内臓が体表に露出することはありません。例え、ケガなどで露
出したとしても、周囲の条件に応じた一定の厚みの皮膚(粘膜)が再生して露出部分を覆い隠すの
が原則です。また、一定の厚み以上の表皮が回復しないのも原則です。
歯の周囲を覆う歯肉もこれと全く同じで、存在する骨形態に応じて一定の厚みの歯肉のみが存在
し得るのが原則です。従って、“歯茎が痩せる”という現象は、その下に存在する歯槽骨が痩せたと
いうか、破壊された結果としての形態です。
この度の歯槽骨破壊の原因が、矯正であったか歯槽膿漏であったかは別にして、今後起こりうる
歯槽骨破壊は間違いなく歯槽膿漏です。従ってこれ以上の退縮を抑制するためには、歯槽膿漏の
コントロールが全てです。→現在付着している歯石を徹底的に除去して、毎月歯石を取る習慣を
身に付けましょう!
失われた歯肉形態を回復する方法として、 歯肉移植という術式が
あります。しかし、根本的解決法である歯槽骨の再生法が確立されていない現状においては、生体
の摂理を無視した誤った術式ではないかと認識しています。