日付、時間:Fri Apr 14 14:52:34 Japan 2000
氏名: RM
所在都道府県:東京
職 業:学生
年 齢:24歳
性別: female
質問:
右上顎7番の抜歯のことで質問させていただきたのです。
この歯は3年ほどまでに抜髄し、2年ほど前に歯の一部が欠けて虫歯になってしまったのでA
歯科にいったところ、抜歯するといわれました。その歯医者さんは説明をしっかりしてくれず
信頼できなかったので、実家の近くで開業しているもう一人の歯医者さん(B歯科)に相談
したところ、その先生は根管治療をしっかりすればまだ持つと判断されたので治療を行ないました。
先日違う歯のことで近所の歯医者さん(C歯科)にいったところ、簡単な歯間掃除のような
ことをされました。その翌々日から急に7番の周囲の歯茎がはれて夜も寝れないほどの痛みになり
ました。そこでその先生に再度診察してもらったところ「B歯科は7番をあきらかに2年前に抜歯する
べきだったのに、適当に根管治療をして痛くなれば抜歯すればいいと思ったんだろう。この歯は抜
歯するしかありません」と厳しい口調でいわれました。
しかし私としては抜歯は極力避けたかったので、個人的に知り合いの歯科大学の先生にお願いし
て、もう一人の先生(D歯科)を紹介してもらいました。その先生は非常に丁寧に診察して
くださったのですが、やはり7番は抜歯したほうがいいとのこと、というのも7番の歯茎のうち外側、
親不知に接した面のみの歯茎がぐにゃぐにゃで、レントゲンでもそこの骨だけが半分になっている
ので、おそらくそこで歯が折れているか割れている、そういう歯は抜歯したほうがよいとの
ことでした。
その先生はもともと歯科大学で歯の神経の研究と治療をされていたかたで、「抜歯前の治療が得意
な先生と抜歯後の治療が得意な先生がいて、自分は抜歯前の治療のほうが得意だが、やはりそれ
でもこの歯は抜くしかない」とのことでした。
確かにC医院では抜歯したほうがいいといわれた下顎右5番については、きちんと根管治療をし
ましょうといってくれました。私はD歯科は知人に紹介状まで書いてもらったこともあるし、また
先生も非常に信頼の置けそうな人ですぐに抜歯をする方針ではないようなので、その先生がそうお
っしゃるならやはりこの歯は抜歯するしかないのではと思っているのですが、できればその前に河田
先生のご意見も伺いたくメールしました。よろしくお願いいたします。
ご意見・ご感想:
このページを読むと、河田先生が東京で開業していたらなあと無理なことを
考えてしまいます。これからも悩める患者を救ってください。
メールアドレス: rykmugi@m.u-tokyo.ac.jp
ホームページURL: http://
根管治療に対する認識がドクターの技術と経験によって大きくことなりますので、“治療 or 抜歯”
の判断が異なります。
問題の上顎7番が単純に根尖病巣が原因であるならば根管治療を徹底すべきですが、腫脹して
いる場所と骨欠損の状態からD先生のご指摘のように“歯根破折erc.”の可能性が高いように思い
ます。もしそうだとすれば根管治療では回復が見込めないとあきらめるしかないですね。
骨欠損の形態は“歯根破折erc.”のように思いますが、根尖病巣からでも同様の欠損形態を起こす
可能性もありますので、ムダな労力になるかも知れませんが、1度はD先生に根管治療をしてもらう
価値はあるように思います。実際に歯を触って治療をすれば、根管の状況・破折の有無や位置など
が把握できますので、上顎7番という一番厄介な歯ではありますが、悪い部分だけを部分的に抜歯
するヘミセクションという手段がとれるかも知れません。
そこまでしても結論が抜歯であれば、その決定に従うしかないでしょうね。
7番一本の喪失であればそれ程大きな障害はありません。それよりも今後二度と同じような不幸を
繰り返さないように、歯周疾患進行を抑制する毎月のスケーリングと検診を実践して、その中で極力
早めにムシ歯の治療を繰り返し抜髄しなくて済むような努力をして下さい。
それと、根管治療に熱心なD先生にめぐり合ったことは、長い将来を考えると何よりの収穫だった
と思います。
返信:
先日、上顎右7番の抜歯について質問した者です。お忙しいはずなのに、丁寧な御返事をいただき
ありがとうございました。
本日、D歯科医院に行ってきました。D先生に「抜歯は避けられないのか」と、もう一度確認したとこ
ろ、「今から土台をとって中の様子を見てから結論を出すが、抜歯しないでいい状況というのは本当
に幸運な場合だと思ってください」といわれました。それから、実際に土台をけずって中の様子を見て
いただいた結果、先日腫れていた、親知らずに接している前面の部分の歯が7mmほど欠損し、
土台がむき出しになっていました。歯が欠損していることから、残念ながら抜歯は避けられない
とのことでした。
しかし、D先生がわざわざこの歯の土台をとって中を見た上で判断してくださったのと、なぜ抜か
なければいけないのかを、歯を鏡に映しながらきちんと説明してくださったので、私も納得して抜歯す
ることを受け入れられました。今後は河田先生のおっしゃる通り、残っている歯をちゃんと大切
にしていこうと思います。本当にありがとうございました。