日付、時間:Mon May 15 18:08:26 Japan 2000
氏名: 匿名でお願いします。
所在都道府県:愛知
職 業:学生
年 齢:22歳
性別: female
質問:
私はすべての歯が虫歯(治療済み)と言っても過言ではない状態です(右下7番と左下
6番の2本は神経を取っています)。
私は矯正をしていましたので上の4番2本は抜歯しています。この矯正をきちんと最後まで治療して
いれば今のように虫歯だらけにはならなかったのかもしれません。しかし矯正部品をつけたまま長
期間放置していました(情けないです)。
特にひどいのが左上の奥歯の7番です。虫歯でほとんど欠損しています(この歯は神経は残ってい
ます)。その状態を長い間放置しておいたので、左下の7番が「ていしゅつ」してきてしまって
います。
十代の頃にその状態になっていたのですが、歯医者に行くのは怖く、それに自分自身ではたいし
た事ないと思っていました。しかし、現在はそれが原因になっていると思うのですが顎関節症とな
り、食事をするのも苦痛です。この左上下の7番を抜歯してインプラントにするべきでしょうか?
また、親知らずはまだはえてきていません。この親知らずを移植することは可能でしょうか?
最近ではこれからどうなるのか常に心配で他の事が身に入らず、夜も眠れません。精神的にかな
り窮地に陥ってます。歯がこんなに大切な物ととは気付きませんでした。自業自得ということはよく
わかっていますが、これからの人生を健康に送るためにもアドバイスをお願いします。
左上顎の7番は抜髄の上クラウン装着、左下顎7番はすでに抜髄済みとのことですので挺出
部分を削って高さを揃えるか低めの(高さの揃った)クラウンに作りかえるのが最善の方法です。
何も上下7番の存在が顎関節症の原因ではないと思います。7番および周囲の歯を含めた咬合
関係の不調和による顎関節への障害ではないでしょうか。まだまだ使える上下7番を悪者に仕立て
て抜いても何の解決にもならないばかりか、状況をますます悪化させてしまいます。
インプラントも歯牙移植も万策尽きた時の救世主にはなり得ますが、大切な7番の代りとしては
はなはだ役不足な代役です。
ムシ歯で失う歯は10年に1本程度ですから少々悪くっても80歳で20本以上の歯が残るはずです。
ところが80歳になってほとんどの歯がなくなる最大の原因は歯周疾患で、50歳を過ぎたころから
残った歯のほとんどを喪失させてしまいます。
この歯周疾患をコントロールしておけば、ほとんどの歯を生涯機能させることが可能です。幸いに
も22歳ということですので、今から毎月歯石を取り続ける(プロフェッショナル・トゥースクリーニング)
習慣を身に付ければ十分間に合います。
私は右下顎7番と左下顎6番の歯の抜髄をしており、虫歯でほぼ欠損している左上顎7番と「挺出」し
てしまっている左下顎7番の両方とも神経は生きています。私の通っていた歯医者さんが良心的な
方だったのか神経は取らないで治療してくださいました。
欠損してしまっている左上顎7番にはペラペラの薄い金属が被さっています。
このような場合どうすればよいのでしょうか?
しかし先生の返答を頂いて少し安心しました。虫歯よりも歯周疾患が怖いこともわかりました。(勿論、
虫歯も怖いですが・・・)ほとんどの歯が虫歯で治療済みの私ですが少しでも長く歯を残せるように
口腔内を清潔に保ちたいと思います。
それにしても顎関節症はつらいです・・・。
忙しい職務が続いておられると思いますがご返答お願いします。
回答:
顎関節症の主たる原因は、矯正治療と治療放置に伴う咬合関係の乱れが原因だと思います。
左側上下7・7の咬合関係が関与するとすれば、早期接触部分の削合によって解消するはずです。
しかし、“挺出”も考え様によっては歯牙疾患です。我々歯医者を始めとして、ムシ歯を削ったり
神経を取ることには抵抗がありません。挺出した歯を削ったり神経を取ることには抵抗もあります
が、そこは割り切って健全な咬合関係を再構築するために、必要となれば抜髄してでも咬合関係
の保持に努める決断が必要ではないでしょうか。
抜髄の上手なことが前提です。“ペラペラの薄い金属”では“健全な咬合”とはいえません。上下
あわせた治療が必要です。
返信:
河田先生、こんばんわ。ご返答ありがとうございます。
せっかく残っている神経をとるのは少し気が引けますが健全な咬合関係を再構築するためには仕方
ないと思いました。今まで治療放置していた私が悪いのはわかっていますが、最近は歯について悩み
すぎているのもありますが、かみ合わせが悪いためか腰痛と背痛などにも悩まされ生きているのもつ
らいです。22歳という若さなのに情けないです。
どうにかして心身ともに健康を取り戻したいと考えています。河田先生の医院に治療に通いたいのは
山々なのですが距離の都合上、お伺いすることができません。どこか名古屋市内で良い医院をご存
知ないでしょうか?
本当に勝手なお願いばかりして申し訳ありません。よろしくお願いします。
追加:Fri May 19 01:14:36 Japan 2000
先生は歯石除去のためにもメンテナンスが必要とおっしゃいますが、私みたいにほとんどの歯が虫
歯だらけでクラウンだらけでギラギラした歯でもメンテナンスの必要はあるのでしょうか?
また私はきちんとメンテナンスに通いたいと考えていますが歯科の方はそんな歯の歯石取りは嫌が
るのではないでしょうか?
素人考えで申し訳ございません。
また、以前治療に通っていた歯科医院の先生に「クラウンだらけもしくは虫歯だらけだと長生きでき
ないよ。あと噛み合わせが悪いのもね。」と言われてしまいました。
本当でしょうか?心配です。
本当に河田先生の医院が近くにあったらなぁーと思います。先生のような方だったら歯の心配事も
包み隠さずにお話できるのに・・・。どうして他の先生は患者の悩みや治療方針(インフォームドコン
セント?)をきちんとせずに、やれ抜歯だの。この歯はもうだめなどいうのでしょうか?
本当に河田先生のHPはわかりやすいです。ほとんど毎日のようにチェックしています。
これからも歯で悩んでる患者さん(インターネットでの質問含む)の力になってくださいますようお願い
します。
回答:
現状の平均が“50歳まではそこそこ歯はあるが、60歳になると入れ歯人生”です。生涯“自分の歯で”
と願うならば全ての人にメインテナンスが必要です。ましてやクラウンを装着している歯には必ず
天然歯との間に段差があります。そこには汚れが貯留し易く、ムシ歯や歯周疾患の温床となって
いるはずです。“一度死にかけた歯”を少しでも長持ちさせるためにはメインテナンスが必須です。
“銀歯を被せたからもう大丈夫”なんて大間違い!
例えメインテナンスに力を注いでも被せた歯の寿命は短い。
若くしてクラウンを被せなくてはならない状況を改善しなければ、今大丈夫な歯もその内同じ運命。
確かに 歯石をちゃんと取ってくれる歯医者は少ないように認識してい
ます。その理由は、採算が合わないこと以上に除石の効果が認識されて
いないからだと思います。そのもっと根本を言えば、歯周疾患の原因を誤って認識しているからかも
知れません。いずれにしても現状の手入れだけではほとんどの人が生涯自分の歯を保てないこと
だけは歴然とした事実です。