体内の臓器に病的な変化が起こったとき、その部位に痛みを感ずることなく、その器官と
隔たった特定の部位に、痛みまたは知覚過敏が感じられることがあります。
“鬼の撹乱”とも言える歯の痛み、何処が痛いのか本人ですらはっきり解らないこともあります。
「下の奥歯が痛い」との訴えに対して、「上の親知らずを抜きましょう」と言うのは
大変勇気のいる決断です。
痛みの種類,経過、周囲の状況とレントゲン診査などを総合しての判断と、
治療内容による鎮痛効果の優劣、治療の必然性などを加味しての診断です。
翌日の結果がとても気がかりですが、過去の実績ではほとんど的中です。
右の治療を始めるのにあたって、まず親知らずを抜きましょうとか、親知らずを抜く前に
手前の歯の神経を取りましょうと言うことがあります。
治療上の操作手順とでも言いましょうか、あとあとの展開を考えての判断です。
「いや、こちらを先にしてくれ」との要望は時として大きな失敗につながったり、
回り道になる場合もあります。
一度は要望として言われるのは、治療方針を決める上でも大変結構なことですが、
それでも医師の判断が変わらない時は出来る限り従うようにして下さい。
医療は、経験と確率です。医師の判断
が常に正しいとは限りません、ただ正しい確率が非常に高い
ことだけは申し上げられます。
痛みの種類,程度,経過などは必ず正確に伝えて下さい。判断と治療方針が大きく変わる
可能性があります。信頼のこじれからくる感情的発言は決して良い結果を生みません。