聞きなれない言葉だと思います。歯並びが前後に乱れていれば歯科矯正の対象になることは
ご存じでしょう。上下に乱れている場合、頭痛、肩こり、腰痛等の症状があらわれますが、
普通、年のせいと思われがちです。
普通、歯の咬み合わせ部分をつなぐと綺麗な平面
になります。ところが、ムシ歯や歯のない期間が長くなると、対合する歯が伸びてしまって
平面がみだれます。通常、患者さんはこの事を知りませんし、不都合に感じる事も少ないと思います。
ところが、治療するとなると様々な問題が生じます。はずれやすい、こわれやすい、咬みにくい
…治療の限界です。半分はあきらめて下さい。しかし、全顎の治療をするとなれば話しは別です。
挺出した所は引っ込める、引き込んだ所は持ち上げる、狂った顎の位置は修正する、
これをしないとせっかく治しても長持ちしないし、快適性も半減です。
咬み合う歯も無く、顎の位置が一定せずフラフラした状態で力無く見える老人の姿、
何となく想像が付くと思います。
「奥歯に力を入れて!」力仕事をするときのかけ声です。奥歯の支えが無くなると、どこまでも
咬み込む様になります。それにつれて、顎関節に位置が異常な方向に変位し、筋肉の
異常緊張状態を招き肩凝り,指先の痺れなどの症状を呈します。
咬み込みが深くて、物を飲み込むのもしんどそう。こんな症状は、歯周疾患で多くの歯を失った方に
多く見受けられます。歯周疾患治療で全顎の治療が必要な患者さんの場合、是非この狂った顎の
位置修正を含めた治療をお勧めします。
この治療無くして全顎治療(フルマウス補綴)は不可能と言っても過言ではありません。