三谷 亨
たしかに無農薬といえば害虫に食われて穴があいて見かけが悪くまずくて栄養価も低いという
イメージがあります。実際そういう無農薬のイメージを逆手にとってわざと穴のあいた菜っ葉を
そのまま出荷したり土のついたまま出荷したりする業者もいます。
実際は、ただ無農薬・無化学肥料だけで栽培してるわけではなく科学の知恵を駆使して無農薬
有機栽培を行っているのです。長年の科学 肥料の使用によってやせた土壌を農業微生物学の
発達により開発された有効微生物群を使用することにより数年で調和のとれた自然界の状態に
もどせる様になり、農作物が害虫や雑草の被害にあうことは少なくなくなりました。
従って穴があいていたり寄生虫がついたりした農作物は、本物の無農薬・有機栽培ではありません。
ただ、狭い範囲で無農薬栽培を行ったり、周りが農薬を使って栽培していると土壌をはじめ、周り
の環境が自然界の状態にならないので害虫や雑草の被害にあってしまいます。
科学の発展の結果開発された農薬や化学肥料による農業革命は、生産性の向上や労働時間の短縮
をもたらし、戦後の食料不足から経済復興や高度経済成長をももたらす原動力になったことは間違い
ありません。しかし、今だに農家の人が農薬中毒症状に悩まされているのも現状です。
農家の人は、直接農薬をすったり目や皮膚から体内に吸収されるのであたり前かもしれませんが、
そうやって育てられた農作物を食べる我々も微量とはいえ毎日食事とともに体内に吸収されるわけ
ですからなんらかの影響を受けていると考えるほうが自然だと思います。
できれば農薬や化学肥料を使用しなくて安全でおいしい食べ物を口にしたいと思う方が自然では
ないでしょうか。たしかに化学肥料を使用すると生産性が向上し、たくさん採れるのですが、
長年化学肥料浸けにされた土壌は、微生物が減少し、痩せた土地となってしまいます。
従って現在スーパーなどで売られている農薬と科学肥料をたっぷりと使用した野菜は、
きれいですがビタミンやミネラルなどの含有量も食品分析表(1965年頃作製)に
記載されている量の20-30%ぐらいしかないものが多いのです。
農業科学の発達にともない有機堆肥も進歩し、農作物別に有効な有機堆肥が開発されました。
EM菌(有効微生物群)の開発により生産性も向上し、作物によっては、無農薬のほうが
丈夫で多く生産できるものも出てきてます。
つまり、無農薬有機栽培のほうが安全でおいしく栄養価の高い農作物も多いのが現状です。
ただ、手間がかかったり生産が安定するまで4-5年採算が採れませんのでその分値段が高いのが
残念です。
私が関っている完全無農薬有機EM栽培米ももう6年になります。もともと町全体が低農薬有機栽培を
行っていたこともあり、雑草はあまり生えませんし害虫の被害は、低温の冷夏でなければほとんど
ありません。もちろん味はおいしく、栄養価も普通のお米よりずっと高いようです。
岩手EM研究会の農家では、EM菌を使い無農薬有機栽培でいろいろな野菜や果物をきれいで
おいしく栽培してます。
ただ残念なことにまだまだ無農薬で栽培できない農作物もたくさんあります。私が問題にしてるのは、
消費者の健康・安全志向にのって無農薬栽培だ有機栽培だと称する農作物のなかに除草剤を
使用していたり消毒薬を使用したまがい物があることです。いずれ科学がもう少し発達すれば、
全ての農作物が無農薬有機栽培されスーパーで安く売られる時代が来るでしょう!