54歳 男性 | 術後3年 |
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初診時 パノラマ | 動揺もなく100%機能発揮、経過良好。 |
口腔内およびX線所見:
口腔内全体に縁下歯石の沈着が著しく、ほとんどの歯が動揺度4。清掃状態も不良で、排膿・
口臭が著明。X線的にも歯槽骨の破壊が著しく、常識ではほとんどの歯が保存不可能と思われる。
しかし、下顎に入れた義歯に対しての不満から残存歯牙の保存を強く希望。治療と
メインテナンスに深い理解を示していることもあり、可及的に歯牙を保存することとした。
処置および経過:
初期治療終了後、全顎の抜髄と歯周外科処置をおこなった、尚、手術に際して
Nd:YAGレーザー照射による根面処理を併用した。
全顎の補綴処置終了後、1か月毎のメインテナンスに移行。7」にしばしば腫脹が認められる
ものの残存歯は動揺は一切なく咀嚼機能を果たしており、臨床上経過良好。
考察:
X線的には、歯槽骨の回復した所と破壊された所とが混在しており一概に良好とはいえないが、
7」を除き歯肉腫脹もなく順調に経過している。「何でも咬めます。」と言う本人の笑顔は、
何よりである。
感想:
ちゃんと治したはずなのに、咬合平面の乱れが気になります。5年以上保って欲しいとは
思いますが、何時どうなるか分からないので今のうち掲載…
術前(初診時) パノラマ | 術後(治療終了時) パノラマ |
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歯周疾患末期 47歳 女性 |
上顎は手術不能 |
初診時口腔内およびX線所見:
清掃状態、歯槽骨の残存状況ともに不良。
特に上顎前歯部の骨植は悪く、手術をすれば必ず数本が脱落しそうな状況であった。
処置および経過:
上顎は、歯肉を剥離しての手術は不可能と判断し、根管治療およびルートプレーニングバー
による根面処理を行ったのち残存可能な歯を全て連結固定。
下顎は、Fop + Nd:YAG LASER による根面処理を行ったのち連結固定してメインテナンスに移行。
術後5年を経過した現在、歯肉が再び腫脹傾向を示すものの機能上は問題なし。
考察:
根面処理と連結固定。間違いなく歯の寿命を延ばす治療だと思います。でも、患者さんの
強い意思と協力がなければ長期保存の価値は失われてしまいます。治療の良し悪しは、
治療するドクターと患者さんが決めるものだと思います。
感想:
「上顎は最善は尽くすけどあきらめてね。その代わり、下顎だけでも入れ歯にならないよう
頑張ろうね。」と言って始めた治療です。それでも、上顎は5年、下顎は10年以上もつだろうな
と思っていました。5年経過した現在、初期の約束は果たせたものの、さぁ何時までもつのやら?
術前(初診時) パノラマ | 術後(術後5年) パノラマ |
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上顎でまともな歯は7|35だけ 49歳 男性 |
7|3を残して歯槽骨完全破壊! |
初診時口腔内およびX線所見:
初診は今から17年前(38歳の時)。口腔内清掃状態が悪く、年齢の割に歯槽骨の吸収が
著しかった。当初より歯周疾患の危険性を説明するも、主訴の治療が終わると来院が途絶える
こと2回。3度目の正直で、いよいよ上顎前歯部の動揺が著明になっての再来であった(49歳の時)。
相変わらずの清掃状態と、中程度以上の歯槽骨破壊に愕然とする思いであった。「前から言うてた
歯槽膿漏の手術をして!」と今更言われても…。
処置および経過:
上顎はやや諦め加減で、それでも気を取りなおして全顎のFop+HAP(人工骨移植)を行い、
補綴物による連結固定を施した。治療終了後は、それまでと打って変った様に毎月の
メインテナンスに応じて5年ほどは経過良好のように思われた。しかしそののち、上顎の
あちらこちらに腫脹が見られるようになり、いよいよ今回、7|3を残して上顎残存歯
を抜歯して義歯にすることを決断。
下顎は、「8を除いて経過良好。
考察:
メインテナンスが真面目だった割に、上顎の歯槽骨吸収を阻止することができなかった。その
理由として考えられるのは、以下の通りである。
感想:
メインテナンスが真面目だっただけに、もう少し永く機能して欲しかった!!
術前(初診時) パノラマ | 術後(治療終了時) パノラマ |
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最悪→歯周疾患・二次カリエス・根管治療 57歳 女性 |
使える歯を最大限残して連結固定 |
初診時口腔内およびX線所見:
装着された補綴物の形跡から、治療に多くの労力を費やしたにも関らず、カリエス・歯周疾患
伴に進行が著しい。「全部抜いて、総入れ歯」と言われてから歯医者に行くのが怖くなって数年間
放置していたとのことである。歯槽骨と全く接していない歯も随所に認められる。
処置および経過:
比較的骨植の良好な下顎に対しては、Fop+Nd/YAG LASER(根面処理)を施行することとし、
上顎は手術不能と判断してルートプレーニングバーによる根面処理を行ったのち連結固定。
欠損部分にかんしては、インプラントの含みをもたせて一旦は義歯による咬合回復を計った。
約10ヵ月の治療期間を経て、メインテナンスに移行。
考察:
臼歯部の支えを失った上顎前歯部の末路は悲惨です。手術をして進行をくい止めたとしても、
過剰な咬合圧による破壊を阻止することはできない。臼歯部インプラントと連結することにより
多少延命を図ることは可能だとは思いますが、保険の効かない現状では出費と延命効果との
バランスがとれません。
感想:
上顎って、咬合方向が悪く、歯槽骨が緻密でないので条件的に不利?
もう少し早く来院していれば・・・・・。
術前(初診時) パノラマ | 術後(治療終了後3年) パノラマ |
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カリエスが少なく綺麗だけれど… 59歳 女性 |
右下臼歯部を除いてFop→連結固定 |
初診時口腔内およびX線所見:
歯肉出血と疼痛のためブラッシングができないので、歯肉腫脹とプラークが目立つ。反面、カリエス
および治療痕跡も少なく、かつてはブラッシングが行き届いていたことが伺われる口腔内である。
59歳ということもあり歯槽骨の吸収は著明で、根尖側1/4以下の骨量部分が大半を占めており、
残存歯の動揺が著しい。
処置および経過:
歯周初期治療終了後、「6遠心根・|6頬側根をヘミセクション、1|は抜歯する
こととした。右側下顎臼歯部を除いて、連続波 Nd/YAG LASER による根面処理を併用したFop
(歯肉剥離掻爬術)を施行。術後は2ヵ月間の治癒期間を待って補綴物による連結固定を行い、
約1年の治療期間を経てメインテナンスに移行。
考察:
術後3年を経過して、全般に若干の歯槽骨再生と骨の緻密化が観察される。正常な歯周
組織の再生かどうかは不明であるが、歯周外科手術に際して、連続波 Nd/YAG LASER に
よる根面処理を併用した結果であると思われる。これは、象牙細管内に残存するであろう
壊死組織を蒸散することにより、根面処理をより完璧にしたものと思われる。
感想:
残存歯の数が多いだけに、治療期間も長くなったけど末永く機能してくれると思います。
日常の臨床で感動したこと・腹の立ったこと…患者さんに言えないこと…
自慢や非難と誤解しないで
下さい。自らのレベル向上の糧となることを願います。