初診時 パノラマ | 5年後 パノラマ | |
歯槽骨吸収は中程度以上で進行傾向は強い 50歳 女性 |
メインテナンスが悪く全体にやや進行 | |
術前 Dental写真 根管治療済み |
術中 写真 抜歯→根面処理(レーザー)→再植 |
術後5年 Dental写真 完全な回復ではないが歯槽骨再生 |
初診時口腔内およびX線所見:
口腔清掃状態はやや不良。喪失歯は1本のみであったが、全体に中程度以上の歯槽骨吸収が
認められた。主訴の「4は、上行性歯髄炎によると思われる歯槽骨破壊により、根尖部に至る骨
欠損が認められ動揺も著明であった。
処置および経過:
全体に歯槽骨吸収が認められるものの、即座に歯周外科処置を行う程でもないと判断し、
歯周疾患初期治療と伴に「4の感染根管治療(即日充填)を行った。
「4は根尖に至る骨吸収があり、明らかに抜歯もしくは歯周外科処置の対象となる状態であったが、
両隣在歯の骨吸収は軽度で周囲の歯を含む歯周外科処置を行うには抵抗があった。
そこで、Nd/YAGレーザーによる根面処理を行って歯槽骨の再生を期待しすることとし、「4を
一旦抜歯した上で歯周疾患罹患部の根面処理を行って再び再植を試みた。
術後3年間ほどは毎月のメインテナンスに応じていたが、その後来院が途絶えていたが近年
再び来院。
考察:
根尖病巣によって破壊された骨は再生するが、歯周疾患に
よって破壊された骨は原則として再生しない。本性例において、歯槽骨が完全に
回復した歯根1/2以下の部分は歯石沈着もなく根尖病巣による骨破壊であったと思われる。
一方、歯周疾患罹患部分であった歯頚側1/2については、Nd/YAGレーザーによる根面処理
を行った結果象牙質内の腐敗有機質が不完全ながら蒸散された結果完全な骨再生には至らな
いものの一定の骨再生と新たな進行を抑制する効果があったものと思われる。
感想:
現在の歯科界を揺るがすくらい画期的な症例だと思いますが誰も注目してくれません。
この事実の延長線上に、もっと有効な歯槽骨再生があると思います。
術前 Dental写真 | 術中 口腔内写真 | 術後3年 Dental写真 |
骨欠損が著しい、動揺度3 59歳 男性 |
Nd/YAG LASER による根面処理 焼却後根面研磨 |
わずかに骨再生が認められる 動揺度2 |
初診時口腔内およびX線所見:
口腔内全体にプラークおよび歯石の沈着が著明で、全体に中程度以上の歯槽骨吸収を
認める。
処置および経過:
歯周疾患初期治療終了後、残存歯を全て抜髄(感染根管治療を含む)した上で歯周外科手
術を施行。歯周外科手術に際して、Nd/YAG LASER による根面処理を併用し、最終補綴物
としてブロック毎に連結冠を装着して咬合の安定を図った。数か月の空白を度々はさみながらも、
1か月毎のメインテナンスを何とか継続中。
術後3年目に上顎前歯部の補綴物が脱離したため、補綴物の再製治療を行った。
歯槽骨の再生とともに、動揺度の著しい改善が認められる。
考察:
歯周罹患部分は原則として歯槽骨の再生は不可能である。現状維持を目的とした歯肉
掻爬剥離術(Fop)だけでもわずかに歯槽骨再生が認められるが、骨再生のあった部分の
根面はおそらく感染によって汚染を免れた部分だと思われる。
一方汚染された部分に対しても、根面研磨のような機械的処理や薬剤による処理も検討さ
れているが所定の効果を得るには至っていない。Nd/YAG LASER による根面処理は、歯根
表面を高温(おそらく1000℃以上)にすることにより象牙細管内に存在する腐敗した有機
質を蒸散することを目的とした術式である。罹患根面を焼却し、研磨処理したあとには無
機質だけが表面に現れるものと推定される。
感想:
Fopだけでは考えられない歯槽骨の再生がある!!
初診時 Dental写真 | 5年後(手術時) | 術後3年 |
6|抜髄時、4|骨欠損軽度 61歳 男性 |
6-4|骨吸収が著しい FOp+HAP施行 |
ココまでは経過良好 こののちアパタイト流出 |
術後5年(初診より10年) | レーザーによる根面処理 | 再手術後5年(初診より15年) |
4|アパタイトは完全に排出され根尖に至る骨吸収進行 | 脱落した歯牙をレーザー処理して再植 | レーザー処理の行きすぎか近心側より根吸収 |
初診時口腔内およびX線所見:
口腔清掃状態はやや不良。全体に中程度以上の歯槽骨吸収が認められたが、年齢の割には比較
的良好ではあった。主訴の87|は、歯槽骨吸収が根尖に至る状態で、今後は他の歯にも急
激な歯周疾患の進行が起こり得ることが伺われた。
処置および経過:
主訴の87|は抜歯、6|上行性歯髄炎と思われる症状を呈していたので抜髄
して一旦治療を終了。その後5年間は、年に1度程度のメインテナンスを行っていたが、6-4|
の歯槽骨吸収が著明となり動揺も認められるようになったので、抜髄の上歯周外科処置(FOp+
人工骨移植)を行い補綴物による連結固定を行った。
術後は月に一度のメインテナンスを行うこととし10年後の現在に至る。その間、4|の
歯槽骨吸収は一段と進行し、ついに自然脱落寸前になった時点でNd:YAGレーザーによる根面
処理によって活路を見出すべく追加処置を行ったが、再手術後5年目に処理根面の歯根吸収
により排膿が著明となりついに抜歯。現在はED4B|Bridgeにて咬合を回復して
メインテナンスを継続中。
考察:
アパタイトにしてもレーザー処理にしても、他の長期保存症例に比べことごとく満足な結果を出せ
なかった症例です。それでも初診時抜歯した87|の状況から考えると何とか15年機能保持
を計れたことは、臨床的に意義のあることだと思います。
忘れてはならないメインテナンスの効果として、初診時24本だった残存歯が15年経過した現在
(76歳)、22本残っており65|を除いて堅固な骨植を維持していることだと思います。
進行傾向の強い歯を何とか15年もたせるための努力は、他の歯の追随を抑えて“8020”も
可能な状況へ導く効果をもたらせたものと確信しています。
感想:
毎月のメインテナンスは“8020”をもたらすことを確信!!
日常の臨床で感動したこと・腹の立ったこと…患者さんに言えないこと…
自慢や非難と誤解しないで
下さい。自らのレベル向上の糧となることを願います。