歯牙保存の可能性を高めるアイテム…アクトセラムK

歯科用骨補填材          

アクトセラムK臨床症例集
〜その適応と限界〜

                            


臨床的効果

一次的効果         

二次的効果         

・術後の歯肉退縮の防止    

・術後の補綴処置が容易になる

・骨の確実な増量         

・歯牙の延命           


・口腔全体の環境向上     


適応部位

禁忌部位

適応のポイント

 以下の点に留意して補填手術を施行する。


【症例】

52歳、女性

全歯牙残存するも、動揺、排膿が著しく、ときに腫脹を繰り返し、近医より全歯牙抜歯→義歯を 勧められていたが、歯牙保存を希望して来院。

6│7
7│ は根尖に至る骨欠損のためヘミセクション

残存する全ての歯に対し、根管処置を施したのち、Fop→補綴を行い、1年半後に治療を終了。

図1.初診時 1988年11月2日 図2.初診時 スタディーモデル 図3.初診時 パノラマ

図4.初診時 1991年7月2日
(2年8ヵ月後)
図5.初診時 スタディーモデル 図6.初診時 パノラマ


本例の臨床的効果

初診時、全歯牙に歯石の沈着と動揺が認められ、排膿が著しく、唾液の性状も粘性であった。 初診時の盲嚢は、平均 5.5mmで最大は 8mmで、治療終了時の盲嚢は平均 1.8mmであった。

歯肉退縮量約 2mmを差し引くと 1.7mmの骨新生、あるいは類似の効果があったとも推測される。 治療終了後は、月1回のメインテナンスを継続中であるが、臨床症状の消失と、完全な機能回復は、 患者・術者双方が満足するものである。



以降にHAP術成した部位7654│と、予後不良であった部位│4567を供覧する。

部位 1) 7654│

図7.術直前(初診後4ヵ月後)       
処置:6│近心根ヘミセクション、  
7654│Fop+アクトセラムK補填
図8.術直後                
頬側の骨は比較的高い位置まで残存して
いたが、口蓋側では根尖1/4相当部まで
骨が欠損していた。 X線的にも歯槽硬線
の破壊が著明であった。       
図9.術後2年4ヵ月          
歯槽硬線が明瞭となり、一定量の骨
新生があったものと推測される。     


部位 2) │4567

図10.術直前(初診後7ヵ月後)       
処置:│7遠心根ヘミセクション、  
│4567Fop+アクトセラムK補填
図11.術中                 
頬側に比べ口蓋側の骨欠損がやや
著明ではあったが、 ほぼ水平な骨
欠損が認められた。       
図12.術直後              

図13.術後1年6ヵ月             
患者が違和感を訴えることがあり、
│6近心頬側根部から排膿が 認め
られるようになった。         
図14.術後2年1ヵ月             
│6近心頬側根の根尖病巣が明瞭と
なってきた。            
図15.術後2年1ヵ月            
近心根のヘミセクション施行

この予後不良は、根管治療の不備に起因するものと推定されたが、一般にHAP補填術直後に みられる疼痛等の不快症状は、根管治療の不備によることが多い。 一方、術後数年に発現する予後不良は、二次カリエスや歯根破折が原因である場合が多いようである。

また、 ロ多開はHAP補填による血行不良のためか、多くの症例に見られたが、 洗浄等により1〜2ヵ月後にはすべて自然閉鎖し予後には影響しない。


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