歯周疾患も他の歯牙疾患同様、その予防が重要な治療法である事は申すまでもありません。
しかし、歯周組織がすでに破壊され咀嚼機能を営むことが困難になってしまった症例に対し
従来の抜歯→義歯という治療では、患者にとって必ずしも満足のいく現状とはいい難いようです。
歯周疾患の治療として従来歯肉剥離掻爬術が行われておりますが、それだけでは喪失した
歯槽骨の回復に悲観的であると同時に、歯肉の退縮後に生ずる補綴との関係でも問題が
残っていました。
このような状況の下、近年種々の人工骨補填材が開発され、それに伴い数々の歯周疾患への
応用が行われてその安全性と有用性が認められつつあります。
このたび、昭和60年7月より、昭和62年12月の2年6ヵ月の間に、重症度歯周疾患患者 129名
(201症例、558歯)に対し、ハイドロキシアパタイト人工骨補填術を施行し機能回復を計り、
最長3年間の観察を行いましたところ、根管治療の不備3歯、歯根破折3歯、二次カリエス5歯を
含め、15歯の予後不良を除き歯牙の機能回復に成功し、若干の知見を得たので報告いたします。