当院では、歯周疾患の日常臨床に、Fopとともに骨補填材を積極的に応用し、歯肉退縮の防止、
歯牙の延命、口腔内全体の環境の向上に好成績を得ている。
歯周疾患の原因はプラークであるといわれているが、深い骨欠損を伴う症例では歯根そのものが
異物化しているため、その異物化した歯根に対する適切な処置が必要であると思うが、
現段階においてはルートプレーニング以外に良策はなく、ここにFopの限界がある。
つまり、すでに異物化した歯根部位では、骨との付着は勿論、一定範囲の骨の新生は望めないが、
逆に周囲の骨レベル以下で歯根が異物化していない所までは新生骨の造成が期待できるようである。
汚染等により異物と認識されたごく一部を除いて大部分のHAPは、その特徴である親和性の
良さのため、生体の中で異物と認識されず骨および歯肉の中で長期にわたり残存する。
これにより歯肉の退縮を大幅に防止し、永久固定ともなる補綴処置が容易となる。
ところが、ここに臨床上大きな意味があり、放置すれば1〜2年で脱落するような症例でも、
骨補填材を積極的に応用することにより、5〜10年、あるいはそれ以上歯を保存し機能させることが
可能で、口腔全体の機能保持の上でも重要な意義があると確信している。