歯を磨き過ぎたり、スケーリングをして刷りへってしまわないかと心配する人も多くいます。
ハブラシはスポンジ、スケーリングは金タワシで磨く様なものですから、
確かに歯は刷りへってしまいます。しかし、いくら刷り減っても100年やそこらでは
穴が開くほど刷り減りません。それより、汚れをそのままにしている方が
早く錆びて穴が開いてしまいます。
乳歯や子供の頃の歯は、萠出して年月が新しい為、歯石の沈着も少なくたとえ
歯肉の炎症があったとしても周囲の骨を破壊する程ではありません。
従って、口の中に覗いているのは表面の硬いエナメル質だけです。
エナメル質は非常に硬く、少々のことではどの様な磨き方をしてもすり減ることはありません。
ところが、20歳あるいは30歳を越える頃になると、長年の歯石沈着等から歯を支える
周囲の骨(歯槽骨)が破壊され、それに伴い周囲の歯肉が下がり(退縮)エナメル質の下,
つまりセメント質が露出してきます。
「年をとって歯茎が痩せた」と言う状態です。
歯茎が下がってやわらかいセメント質がのぞいてくると、ハブラシによって歯の付け根の
部分が楔状に刷り減ってきます。これを楔状欠損と呼びますが、
特に障害がない限り治療の対象とはなりません。
歯が刷り減るほど磨いて、
もし折れる様な事があっても歯は本望です。しかも、治療すれば又使える状態に復帰します。
歯が刷り減るからと言って歯磨きやスケーリングを怠ると、即座に歯槽骨の破壊を招き歯を
失う結果となります。
ただし、楔状欠損部分に汚れが溜まりムシ歯を併発する様だと出来るだけ早く修復する
必要がありますし、知覚過敏や楔状欠損が著明でブラッシングの妨げとなる場合にも同様に
修復する必要があります。