歯の周囲の歯肉が痩せて、ブラッシング等により歯頚部が楔状に刷り減るのが楔状欠損ですが、
長年の咬み合わせにより歯の頭の部分(咬合面)が磨耗している状態を咬耗と呼びます。
咬耗自体、進行が比較的緩慢で、歯の変化に伴い顎関節やその他の顎機能も対応してくれます
ので特に問題はありません。ただし、表面のエナメル質が刷り減って象牙質が覗いてくると、
その部分の象牙質磨耗は極端に早い場合が多く、あたかもムシ歯になった様に穴が開いてしまいます。
この時点でも治療の必要でないケースもありますが、ムシ歯を併発したり、切端が尖って舌を
傷つけたりします。
かつては良質の治療材料のなかったこともあり、積極的な治療が為され
なかったこともありましたが、最近の材質の向上により、容易に治療が可能となりました。
同様に加齢と伴に象牙質の石灰化が更新され、歯が硬く,脆くなった結果、歯冠部が欠けてしまう
ことがあります。歯の崩壊自体は決して喜ばしいことではなく、素早い修復を必要としますが、
歯が欠ける位長く使えたことに感謝すると伴に、硬く(ついでに黄色く)なった結果ムシ歯にも
なり難く,歯周疾患の抑制効果があったことを認識して下さい。
歯が健康なまま年をとると、咀嚼機能等を失うことはありませんが、硬く,
黄色く変質した結果審美性は損なわれます。若かった頃の白い歯…それよりも硬く,
黄色く変質した何でも咬める使い込んだ健康な歯が何よりです。若い人も将来、
そんな健康な歯を維持できるよう努力して下さい。