日付、時間:Sun Nov 28 6:33:35 Japan 1999
氏名: TM
所在都道府県:東京
職 業:歯科医
年 齢:34歳
性別: male
わずかに残る異物と根充剤の異物性が慢性炎症の原因だと思います。でも実際の臨床ではここまで持ってくれば合格では? |
私は細菌とかバイオフィルムの存在は、炎症の発生に全く関係ないと思っています。
“全く”というと語弊があるかもしれませんが、細菌との共存を前提とした地球環境で生存する
限り細菌(雑菌→特殊細菌は別)を排除することは出来ないしすべきではないと思っています。
例えば釣り針の刺さった鯛を想像してください。異物である釣り針の周辺ではアレルギー反応
が起こって、細菌の力を借りて炎症を起こして周辺組織を破壊することにより、釣り針を排除
しようとしています。生体の防御反応として、異物排除を行っているのです。
細菌を全て排除すると釣り針が刺さったまま、鯛は餌を採ることができないまま死んでしまいます。
それよりも異物である釣り針を取ってやれば、例え細菌がいても炎症は治まります。
話を口腔内にもどします。チタンのように生体親和性の良い材質ですとアレルギー反応も少なく
炎症を起こすことは稀です。また、根管内の汚物を含まない歯根破折片は、通常炎症を起こすこ
となく生体組織の一部として取り込まれ生涯存在し続けます(異物性のある場合には吸収される
こともあります)。
最大の異物である根管内の汚物を機械的に除去して、再び汚物の貯留場とならないように
生体親和性の良い物質で綿密に封鎖してやれば、細菌の有無に関わらず炎症は治まる
はずです。
「現在使われているガッタパーチャーとシーラーが全く異物性がないか?」「永久に不変である
か?」についてはやや問題もありますが、操作性も含めてかなり満足のできるものであると思い
ます。勿論更なる改善を望んでいます。
異物性が全くなければ完全治癒も望めると思います。しかし、現実には、異物性がかなり低い
もののわずかな異物性が残っているはずです。それがわずかな炎症として存在しているのが、
ご指摘の慢性炎症だと認識しています。
上記の操作が完璧に行われていれば“ 歯根端切除”という操作は
全く不要なはずです。ところが実際の臨床では、根管内の汚物や根充剤を根尖口外に押し出してし
まいます。その量が少なければ吸収されますので問題は起こらないでしょうが、量が多いとやはり
異物に対するアレルギー反応が起こって、異物の排除機構としての炎症が起こってしまいます。
従って炎症がきつい場合には、異物除去としての“根尖部掻爬”
が必要となります。その場合でも根尖部を除去する“ 歯根端切除”は不要です。というよりも、
綿密な封鎖を破壊する余計な処置だと思います。