抜髄したけど痛みが取れない。半年経って歯茎が腫れた(根尖病巣)。
抜髄後の歯はもろくなりますので、数年後に割れたとか、気がつけば被せの中は大ムシ歯。
結局抜歯になるケースの多さは折り紙付です。これが歯科治療の限界であることをもっと
認識して下さい。
その限界を知り尽くしている歯科医は決して神経を取りたがりません(全国共通)。
だけど、患者さんが来院された時点では神経を取らざるを得ない状況なのです。かろうじて
抜髄を免れそうなムシ歯を必死になって保存しても「治療前は痛くなかったのに、治療した
とたん痛み出した」というケースも少なからず見受けられますが、この件に関しては歯医者
は全く“白”。歯髄保存に最善を尽くしても全ての歯が救われるものではないことを正しく
理解してください。
誤解のもう一つが「ついでに隣の歯も治療しておきました」という発言でしょう。
患者さんサイドからすれば「何もない歯を治療された」と思われるケースが非常に多いように
思います。ムシ歯は、歯が錆びるようなものですから、一方がムシ歯であればそこに接する
部分が全く健全なはずがありません。
「ついこの前検診したばかりなのに…」という言葉もよく聞きます。簡単に見つけられる
ムシ歯は抜髄寸前のムシ歯。
私も多くの分野で、現状の歯科治療に非難めいた発言をしていますが、歯髄保存と早期
治療に関する歯科医の情熱は信頼に足りるものだと認識しております。
信頼できる歯科治療とは、「ちょっと削って詰めるだけ」
放置しておけば2〜3年で抜髄になるムシ歯も、この手の治療により10年以上進行を食い止
めることができます。多くの歯医者が最も得意とする治療であると同時に、治療効果が目に
見えて実感できる信頼の治療です。
これとても最後まで使いきると抜髄になってしまいますので、その前にムシ歯の進行を見
つけ出して再治療する必要があります。