このコーナーでは、日常臨床で心に残った症例を紹介します。臨床こそが、私の恩師です。
基本は神経を取らないこと
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良く保ったと思っても…
50歳 男性 年齢の割には良好
20年後 70歳
 この症例も結構良い方だと思います。
50歳の時点で結構立派だったのが災いして、以後の10年間はメインテナンスも本気ではなか ったことが悔やまれます。その間に歯周疾患やムシ歯が進行して抜髄になった歯もありまし た。それでも根尖病巣もなく20年保っていると言えば立派なもんですが、次の10年に不安 が残ります。

 全体としては歯周疾患も抑制されて8020(ハチマル・ニマル)達成は間違いないとは思い ますが、抜髄した歯が今にも割れそうです。初診当初、結構立派と思った症例にこのような 傾向が多く見られます。当時「せめて年に1回は歯石を取りにきてね」とよく言ったもんで す。実際に年に1度来た患者さんは数える程です。それが、5年・10年経って来院された時 には等しくガッカリしました。「良かったはずなのに…」

 神経も取らずに、そのまま生涯を送ることが最善であることは分かっていますが、現実の 問題として「神経を取らざるを得ない状態」が日常です。何とか神経を取らずに済ます方法 は…?






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