日付、時間:2004年1月24日 20:59
氏名: M K
所在都道府県: 西ヨーロッパ
職 業: 学生
年 齢: 36歳
性別: female
質問:
以前に2回ほど右上3番、4番付近の歯茎の腫れについてアイルラン
ドから質問させて頂いたものです。河田先生に質問初めて質問をした後、根管治療を
してくださる歯科医に出会い、根の掃除と充填をして頂きました。しかし、すぐに膿、腫
れの状態が戻ってきて、1週間ほど前、改めて根管治療をしてもらいました。しかしなが
ら、充填済み、その上抗生物質を服用しているのにもかかわらず、いまだに腫れ、歯茎と
歯の隙間から、そして歯茎の腫れたところから膿が出てくる状態です。
担当の歯科医も充填前に「経過がよくない・・」と言っておりました。この歯科医によ
ると、「腫れている付近の骨がほとんど崩壊されており、その炎症がどんどん広がってい
る。膿もたくさん出ているし、今回の治療で改善が見られなければサージェリーに行って
もらうしかない・・。歯を抜かなくてはならない可能性も多いにある・・。」といわれま
した。その後に充填を行なったのですが1週間近くたった今も歯茎の腫れ、痛み、膿がひか
ない状態です。サージェリーに送られた場合の治療が、歯根切除なのか、歯茎を切っての
排膿のことなのかよくわからないのですが、河田先生が反対されている歯根切除は受けた
くないですし、出来ることなら歯を抜きたくありません。問題の歯の両隣の歯もブリッジ
を出きるほど強くないと・・いわれ、そうなると部分入れ歯かインプラントしかありませ
ん。貧乏留学の最中でとてもインプラントをできる、経済的余裕がありません。
河田先生、先生は私の現在の歯の状況をどのようにみられますか?
私は重度の歯槽膿漏なのでしょうか?それとも根管治療がちゃんとなされていないのでし
ょうか?
あと1年ほどで日本に帰国します。それまでなんとか、歯を残し、帰国の際、河田先生に
診療していただくことは可能でしょうか?
その場合、これから1年間、どのようにして、腫れ、痛み、膿に対処していけばいいのでし
ょうか?
先生がご多忙であることを承知しながら何度も質問をして本当に申し訳ありません。
感想:
河田先生のホームページに出会うことができて本当にうれしく思います。先生の暖かい
お心に、感謝の気持ちでいっぱいです。いつも本当にありがとうございます。
年齢的に或る程度の歯槽膿漏はあるでしょう。これについてのケアは絶対必要ですが、
ご質問の腫れについては根尖病巣だと思います。しっかり根管治療が為されているにも
関わらず腫れるということであれば、歯根亀裂や破折を疑います。この場合の処置は、
残念ながら抜歯しかありません。しかし、最も疑うべきは根管治療および根管充填の不備
です。
根の弯曲や閉鎖というケースもあって、必ずしも全ての歯が治療できるものではありま
せん。それにしても世界的に?根管治療の技術はどうも今一みたいですね。世界的にとい
うことは、これが現代の治療水準だからあきらめなさいというアドバイスがひょっとした
ら適切なのかも知れません。望みを託すとすればこの世界水準を上回る根管治療の技術と
熱意を持つ歯科医を探す必要があります。大げさに“世界水準を上回る”と申しましたが、
現実問題10人に1人くらいの割合、考え様によっては結構高頻度で存在するはずです。こ
の水準の歯科医(これを見極めるのはおそらく無理)に治療してもらってダメならあきら
めなさいと言えるかも知れません。
現実的な対処にもどりましょう。腫れたり痛みがでた時の対処方法としては、抗生物質
や切開・排膿が有効な手段です。歯科医にかかった際、予備として多少多めの抗生物質を
処方してもらうことが一つ。疲れは絶対禁物ですので、できるだけ睡眠をとるよう心がけ
ること。パンパンに腫れた時には自分でも針か何かで潰せば随分楽になるはずです。ポイ
ントはパンパンです。ニキビを潰す時によくよく熟してから…みたいな調子です。ちなみ
にサージェリーに送られた場合の処置はおそらく歯根切除です
ので絶対回避してください。
回答:
拡大のリスクはあります。拡大の速度は、炎症を起こすべき原因の大きさとそれに対抗
する全身の抵抗力の力関係によって決まります。その意味で、出来るだけ睡眠をとって疲
れを貯めないことが重要です。拡大した時最も大きな被害は、隣の歯の神経を取らなくて
はいけないことです。
あつかましく考えれば、レントゲン的に隣の歯を巻き添えにしたかに見えても、案外生命
力が強く結構な期間は耐えてくれています。1年くらいなら大丈夫だとは思いますが、レント
ゲンで常に観察するわけにもいかないのでちょっとした賭けかも知れません。